DISC REVIEW
-
国内ラウドロック・シーンにおいて一際異彩を放つ福岡発の5人組、彼女 in the displayの新作EP。バンド名の電波なイメージには似合わない、熱烈に語りかけるような稲木亮介のヴォーカルと、随所に散りばめられた美しいピアノの音色が涙腺を刺激し、アッパーなドラムとグルーヴィなベースが自然と体を揺らす。メッセージ性の強い日本語の歌詞を用いながらも、少しひねくれたリズムで遊び、バランスの良い温度感を保っているのもまた聴いていて不思議な印象だ。1曲の中にもジャンルに捕らわれない多様なルーツを感じさせる彼らの生み出す進化型J-ROCKは、ラウドロック・ファンにはもちろん、ギター・ロック好きにも、J-POPのファン層にもリーチしそうな懐の深さを持っている。 山本 真由