INTERVIEW
FOO FIGHTERS
2014.11.11UPDATE
2014年11月号掲載
Member:Dave Grohl (Vo/Gt) Taylor Hawkins (Dr) Nate Mendel (Ba) Chris Shiflett (Gt) Pat Smear (Gt)
-たくさんの著名人が登場するドキュメンタリー番組のトレイラー映像にはPharrell Williamsもいますが、彼とのインタビューはどうでしたか?
Dave:素晴らしかったよ。Pharrell Williamsはヴァージニア・ビーチ出身で、俺の住んでたところからそう遠くはない。彼の成功を見ていると素晴らしいと思うし、本当にいいヤツで、実際にスゴく才能に溢れてるんだ。超有名人の中にはそれほど才能のないヤツだっているよ。だけどPharrellには彼ならではの音楽観があって、他の人とは違う見方でものを見ている。Pharrellみたいな人と話していると、インタビューなのにまるで彼らからレッスンを受けてるような感覚になるんだ。だから、ストーリーと歴史を共有するのはスゴく重要なことなんだよ。それは俺たちの先祖から受け継いだ文化なんだ。
-これだけの大きなプロジェクトをどのように形にしていったのですか?
Dave:まず最初に俺がこのアイディアを思いついて、何をやりたいのかをバンドのメンバーに話した。そこからマネージメントに話をして、スケジュールや制作費も含めてどのようにしたら実現できるのかを検討した。それからテレビ局に話をしたところ、HBOが"OK。やろう"って手を挙げてくれた。だけどこのアイディアって、企画書に書かれたのを見ると面白そうなんだけど、いざやるとなったときに、"これ、本当にできるのかな?"と思ってビビってしまってね。だけど、やり遂げたよ。"上手くいくぞ。上手くいくぞ"って暗示をかけて祈ったんだ。今までにやってきたどんなことよりも誇りに思うよ。本当にスケールの大きなプロジェクトだからね。でもまだみんなこれがどれだけ大きなことなのかを理解できてるとは思えないんだ。もうまるで映画を8本撮ったような感じだよ。映画8本分の仕事で100人もの人とのインタビューを行ったんだから。そこで過去100年に渡るアメリカ音楽について語り合った。と同時に、のアルバムの制作も行ったんだよ。どうやって制作をやったのかと言うと、ひとつひとつの都市に1週間行って、1日目は機材を持ち込んで、スタジオでマイクのセッティング等を行う。2日目はドラムの録りを始め、ギターの録りに取りかかる。そこで俺はスタジオから出て、インタビューを開始する。次の日はベースとキーボードを録って、そのあとにインタビューに出かける。4~5日間、レコーディングとインタビューを行って、ヴォーカル録りの前の日に、インタビューの起こしを読んで、そこから言葉や文章、フレーズをピックアップして歌詞を書き上げていったんだ。だから、レコーディングを始めるときに歌詞は用意してなかったんだよ。ヴォーカル録りの前日に歌詞を書いて、その翌日に歌を歌って、その曲をバンドで演奏したものを撮影したんだ。観ている人は、各エピソードのフィナーレで初めて曲を聴くことになるんだ。そこでスクリーン上に映し出された歌詞を見たら、インタビューの中の言葉を思い出すことになると思う。これって、今まで誰もやったことのなかったことだし、俺自身もこのやりかたで上手くいくかどうかわからなかった。だから頭の中で想像しなくちゃいけなかった。"上手くいくぞ。上手くいくぞ"って。結果、スゴく上手くいったから、本当に素晴らしいよ。
-アルバム冒頭のTrack.1「Something From Nothing」はシカゴの曲ですが、この曲をアルバム1曲目、そして1stシングルにした理由は何ですか?
Dave:アルバムの曲順を決めていたとき、シリーズの順番通りにしようと思った。だから、それをうまくやるのがちょっとした試練だったね。どんな響きになるのか考えないといけなかった。先に演奏するのはアルバムだから、それが音楽的にどんな響きがするか、それをどういうふうに各都市に当てはめるか。大きな試練だったよ。そして、シカゴが最初の都市になった。シカゴを最初の都市にすることに決めたときに、じゃあ、あの曲にしようと。1stシングルも絶対それにしようとね。
Pat:おまえが音楽の洗礼を受けた都市だから最初にしたかったんだろ?
Dave:そう。初めてコンサートに行ったんだ。インスピレーションをもらったよ。
Pat:じゃあシカゴのサウンドが何であれ、最初のシングルだったんじゃないか。
Dave:いいかい、意思決定はこういうプロセスでやるのさ。
-今回、アルバム制作をドキュメンタリー制作と同時進行で行ったわけですが、1番意識した部分はなんでしょうか?
Dave:まずこのプロジェクト全体で最も重要なのはアルバム制作なんだよ。それは常に俺の中で意識していたところだね。1日の終わりに何が1番重要なのかって考えたら、それはFOO FIGHTERSの素晴らしいアルバムを作ることなんだ。アルバム制作が第一だから、それ以外のことは二の次なんだ。アルバム用の新曲は2年間かけて書いていた。だから、結構前に作った曲もあるんだ。重要なのは、バンド全体で演奏して、形にしていって、FOO FIGHTERSのアルバムにしていくことだった。今回、俺たちはたくさんの疑問点を残しておきたかった。自分たちがこれから何を演奏するのかそのすべてを把握しておきたいとは思わなかった。"?"マークをたくさん残しておきたかったんだよ。ナッシュビルに行ったときは、着いてから曲を書き上げようっていう話になった。ニューオリンズではホーン・セクションを入れたいと思ったんだけど、向こうに行くまではそんなことは思いもしなかった。謎のままの部分を残しておきたかったし、実際にそうしたんだ。だからこそ面白かったね。今回のアルバムで俺たちはいろんなことに対して前よりもオープンだったと思う。通常アルバムを作るときは、自分たちのやりたいことをきちんと把握してから取りかかる。だけど、今回できあがったのは、まぎれもなくFOO FIGHTERSのアルバムだし、他のバンドのアルバムに聴こえることはない。俺たちは俺たちでしかないって感じなんだ。だけど曲の中には、今までに俺たちがやったことのないような要素が入っている。アルバムの1曲目「Something From Nothing」からしてちょっとクレイジーだと思うよ。聴いたらFOO FIGHTERSの曲だってわかるけど、アレンジにしろ、最初から最後までの曲の構成にしろ、最後の方で爆発する感じにしろ、今までとはどこか違う。俺はすごくエキサイトしているよ。ロックンロールのレコードが好きな人なら、FOO FIGHTERSを聴かない人でも、このアルバムは好きになってくれると思う。そこは自分でもすごく誇りに思っているね。
-今回もButch Vigをプロデューサーに迎えていますが、Butchと一緒に仕事をする魅力は何ですか?
Dave:Butchのことは大好きすぎるね(笑)。Butchのことはプロデューサーだとは思わないな。ファミリーの一員だよ。現時点で他のプロデューサーと仕事をするなんて考えられないね。すごくいい人だしね。
-8都市のレコーディングもずっと一緒だったわけですよね。
Dave:そうなんだ。今回のアイディアは全員に対してもチャレンジすることだったからね。みんなが居心地の良いと思っているところから引っ張り出して、今までにやったことのないことをやってもらったんだ。Butchには8都市のまったく異なるスタジオでレコーディング環境を作ってもらったわけだから、彼にとってもかなり大きなチャレンジだったと思う。だけど、アルバムの持つエネルギーを形にしてくれたことは大きかったよ。Butchに実際に会ってみればわかるけど、彼は冒険好きな男なんだ。