INTERVIEW
CANNIBAL CORPSE
2014.09.08UPDATE
2014年09月号掲載
Member:Alex Webster (Ba)
Interviewer:藤崎 実
-世界中のデス・メタル・ファン待望のニュー・アルバム『A Skeletal Domain』が完成しましたね。純粋なデス・メタルを貫き通している本作は、CANNIBAL CORPSEにしか作り出せない唯一無二の作品だと感じます。新作についてはメンバー自身、どう評価していますか?
完成したアルバムについては皆ハッピーだよ。完全なるデス・メタル・アルバムではあるんだけど、言ってくれたみたいに俺たちのアルバムであると分かるような作品になっているんじゃないかな。俺たちはなんとか自分たち自身のサウンドっていうものを確立できたと思う。そしてそれは俺たちが多くの人を惹き付けるためにすごくヘヴィなサウンドというのを作ろうとしてきてできたものなんだ。
-アルバムを制作する度に、成長と進化を感じるサウンドを提示しながらも、芯はしっかりとした王道デス・メタル・サウンドとして揺るがない姿勢は本当に素晴らしいです。デス・メタルの重鎮としてシーンからの期待が大きいだけにプレッシャーを感じることもあるとは思いますが。
正直、俺たちはあまりプレッシャーは感じていないんだ。良いデス・メタル・アルバムを書くことについては、そこそこ自信があるからね。それは、俺たち自身が本当に聴きたいと思うような作品を作れば、俺たちのファンも気に入ってくれるに違いない、っていうことなんだけど。俺たち自身が、ファンの皆と同じようにデス・メタル・ファンなんだ。
-ニュー・アルバム『A Skeletal Domain』のコンセプトやテーマについてお話頂けますか?また日本のリスナー向けに歌詞の要点なども解説して頂いてもよろしいでしょうか?
アルバムのタイトルは収録曲の「A Skeletal Domain」から来ているんだ。この曲の歌詞はドラマーのPaulが書いたんだけど、食人と暴力が溢れる恐ろしい非現実的な場所の話だと思うよ。でも、俺が書いた詞じゃないから詳しくは語れないんだよね!自分が詞を書いた曲について説明しよう。「The Murderer's Pact」は人を殺せと脅迫された人についての曲だ。彼は人を殺したくないけど選択の余地は無いんだ。「Vector Of Cruelty」は精神病質は遺伝子的に代々受け継がれていくっていう考えについて書かれた曲だ。暴力や邪悪の存在に対する考えられる原因について分析している。「Bloodstained Cement」は凶暴な殺し合いにまでいたるストリート・ファイトについての曲。「Headlong Into Carnage」は何のためらいもなく連続殺人を犯す殺人者の一団の話だ。
-幾つかの楽曲についての解説や、制作時のエピソードがあれば教えてください。
自分が書いた曲について話をしよう。すべての曲に関して、歌詞の内容と曲調をマッチさせるように努力したんだ。基本的には曲の方が先にできるからね。例えば「The Murderer's Pact」では変わったハーモニーやメロディを取り入れてるから、歌詞もそれを生かしたものじゃなきゃいけないと思った。速いところは精神的に苦しめられている人のイメージに当てはまると思ったから、ここに凶悪な犯罪を犯すことを強制されている人の話を入れたんだ。心をかき乱すような音楽に心をかき乱すような歌詞をつけたってことだね。ゆっくりしたヘヴィな音楽の部分には歌詞も壮大な内容のものをつけるし、速い部分にはもっと原始的で凶暴な内容の歌詞をつける、っていう感じで意識したよ。
-本作もブルータルでエクストリームな楽曲に切り込むギター・リフやクレイジーなギター・ソロが炸裂していますね。更に前作以上に攻撃的なGeorgeのヴォーカルが一種独特の爽快感すら生み出しています。あなたがたがマンネリに陥らない理由は、飛び道具に走らず常に自身の才能や地力の底上げに挑戦し続けているからだと感じます。
うん、俺もそう思ってる。俺たちは自分たちの音楽をエキサイティングに、そして新鮮にすること、そして100%のデス・メタルにすること、これらについては本当に努力をしているんだ。そしてメンバー全員がそれぞれミュージシャンとして常に成長しようとしている。それが作品の中で成長として見られるんだと思う。俺たちのアルバムは常に完全なるデス・メタルなんだけど、『Eaten Back To Life』と『A Skeletal Domain』を聴き比べると凄く違う、っていうことが起きる。それは俺たちそれぞれが成長しているからなんだ。俺たちが成長して、その成長した部分をアルバムを作る度に盛り込んでいっているからなんだよね。そのときに作れるベストのデス・メタル・アルバムを作っているんだ。
-デス・メタルやスラッシュといったジャンルには速さや激しさを求める余りに、似たような印象の楽曲が並んでしまっているバンドも多く存在してします。対して、CANNIBAL CORPSEにはメロディの質の高さやある種のキャッチーさがあり、すべての曲を楽しむことができる。20年以上ものキャリアの中で名曲が多く存在するあなたがたならではの強味ですね。
そうだね。曲のバラエティが豊富なのは俺たちの強みだと思う。全部の曲が同じテンポで同じ雰囲気の曲だったら、つまらないだろうなって思うからね。速い曲、遅い曲、テクニカルな曲、勢いのある曲、色々ある方が面白いに決まってる。うちのバンドの良いところは、曲を書くメンバーが複数いるってことだと思う。そして、みんな"純粋なデス・メタルで覚えやすくてバラエティに富んだ作品を作りたい"っていう、1つの同じゴールに向かっているっていうところも良いんじゃないかな。
-ニュー・アルバムをリリースする度に、国によっては検問の結果として差し替えに到ったりと、何かと話題になるCANNIBAL CORPSEのアルバム・ジャケットですが、本作のアート・ワークはとてもクールで芸術的でさえあると感じました。地獄絵や妖怪画、骸骨画をテーマにした作品を描き続けた日本が誇る天才画家である河鍋暁斎(かわなべ きょうさい)を御存知でしょうか?きっとあなた方ならば気に入る筈です。
河鍋暁斎は知らなかったけど、必ずチェックするよ!お察しの通り、俺は怪物、妖怪、骸骨のアートが大好きなんだ。CANNIBAL CORPSE向けにはVince Lockeがイメージ的に完璧にマッチしていたんだよね。彼の良いところはバリエーションが豊富なところなんだ。彼が今回『A Skeletal Domain』で描いたものはエクセレントだったね。とってもダークだし、独特の絵だ。