INTERVIEW
This is Not a Business
2014.01.08UPDATE
2014年01月号掲載
Member:否戸田雲仙(ピトタウンゼン) (Gt) 加藤小判(カトウコバン) (Vo) 陣下須(ジンシモズ) (Ba)
Interviewer:荒金 良介
-軌道修正も早いですね。
否戸田:柔軟性はあると思います(笑)。
陣:僕はもう1つバンドをやってるんですけど、凝り固まってくるミュージシャンって多いと思うんですよ。音楽はこういうもんだ、という思いが強くて。僕らの場合は、それを一度やめてみようと。突き詰めることも大事だけど、突き詰め方のベクトルは肌で感じながら、やっていくものだなと。
否戸田:お客さんが楽しくてナンボだからね。
加藤:そうじゃないと、お互いにとって良くないですもんね。
否戸田:衝動的に出てくるものも曲にそのまま使いますけど、バランスはこの5人でものすごく考えてます。
-曲作り自体は変わってきました?
否戸田:作り方はわりと一緒なんですよ。
加藤:一緒にいる時間が増えたから、いろんな話ができるようになって。フェスの移動中に曲のアレンジの話をしたり、前よりもバンドっぽくなったかもしれない。
否戸田:みんな仕事をしてるんで、かなり時間が合わないんですよ。
陣:スタジオ一発でせーの!で録ることもないんですよ。打ち込みのトラックがあって、それに合わせてベースを録って、その上にギターを乗せて、全部バラバラに録ってますからね。みんなで録った方がグルーヴが出ると思うけど、スケジュールが合わなくて、できないんですよ。そこは打ち合わせや共有する時間で埋め合わせをしてるから、一体感は増してると思います。
-楽曲制作はデータでやり取りする感じ?
否戸田:データばっかりです。僕がまとめる役で、ベースはこんな感じでよろしくって。あと、英語の歌詞が多かったけど、今回は日本語が増えたのかな。英語にしても一緒に歌いたくなるキャッチーさを意識しました。なるべくピュアな言葉を選んで。
-ピュアな言葉というと?
否戸田:歌詞を聴く人の好みもあるけど、難しく何かに例えるJ-POPの歌詞もあるし、インディー・ロック・バンドでも深いことを言おうとして、聴いてる人がなんの歌だろうって、わからない曲もあるじゃないですか。雰囲気はいいかもしれないけど、曲ごとに何を言ってるのか、スッとわかるものがいいなと。そういう意味でピュアな歌詞がいいなと。3曲目の「PEANUTS」はあの子が好きだという曲だし、1曲目の「TENGU STYLE」は俺らの自己紹介みたいな内容だし、タイトルを見ただけでわかりますからね。
陣:前作は多少嫌味があったというか。お面を被ってることをいいことに、皮肉っぽい歌詞もあったけど、このバンドでそれを出してどうするんだと思って。嫌なことを歌うのもありだけど、嫌なことはストレートに嫌だったねという曲にしたくて。
-作品を出すたびに、内面の自分たちが出てくる?
否戸田:そうなんですよ。お面を被ってる方が本音で喋れるんですね。ほんとにかっこつけなくていいから。実は誰よりもロック・バンドじゃないかなと。それぞれの言いたいことや、やりたいことがお面を被ることで出せるし、伝わるんですよね。
加藤:お面を被ってないときは、バンドマンはハッタリかまそうとして、かっこつけようとするんですよ、自分がそうだったから。
陣:生まれながらスターの人は違いますけど、僕らみたいなペーペーが大物を気取っても自分の中で滑稽でしかなくて。でもお面を被ると、演じなくていいから。
否戸田:お面を被る前のバンドではそんなに喋らないもんね。
陣:そうそう。お面を被ると、超喋る(笑)。
-今作はいろんな曲調があるものの、根底には90年代のJ-POPが息づいているように思いますが、どうですか?
陣:僕ら大好きですもん(笑)。さっきも移動中にSPEED、MAXをYouTubeで観てました。
否戸田:「●●●」の最後のサビ終わった後、メジャー・コードになるところいいねって話して。「Paranoid Android」のサビはそこから来てます。
陣:種明かしちゃっていいんですか(笑)!まあ、コード進行をまんまパクッてるわけじゃないですからね。
否戸田:やっぱり、僕らはJ-POPで育ってますからね。
陣:僕はTHE YELLOW MONKEYが好きなんですけど、転調もあまりないし、歌やギターのサウンドが強調されて、僕らもそういうところが好きだから。
否戸田:本格的なロックをやりたいわけじゃなく、本格的なロックをJ-POPに落とし込みたくて。THE YELLOW MONKEYもJ-POPじゃないですか。でもギターは洋楽ライクだったりするし、随所に本格的なロックも入ってる。本格的なロック・サウンドでJ-POPを作りたい。それがテーマですね。