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FEATURE

this is not a business

2014.05.13UPDATE

2014年05月号掲載

前作からわずか4ヵ月、熱き歌心を高めた3rdアルバム完成!

Writer 荒金 良介

BEAT CRUSADERS(解散)のことをお面界のレジェンドと崇め、FACTの能面、MAN WITH A MISSIONのオオカミに続き、次は天狗バンド!と華々しく打ち上げたThis is Not a Business。いきなり無料配信とYouTubeに「WITH A MISSION」のMVをアップし、30万回以上の驚異的な再生回数を叩き出す。その後も「TENGU STYLE」のMVでメンバーがゲロを吐くなど話題には事欠かず、今年3月に発表されたHMV限定シングル『very.nice.good』はインディーズ・チャート9位を記録するなど、結果もしっかり残している。

改めてバンドを紹介しておくと、加藤小判(カトウコバン/Vo)、否戸田雲仙(ピトタウンゼン/Gt)、木須利茶(キスリチャ/Gt)、陣下須(ジンシモズ/Ba)、序鬼間(ジョオニマ/Prog)の5人組。メンバーそれぞれ音楽キャリアの持ち主で、"全員ちょっと行けそうで行けなかった"奴らの集まりなのだ。賛否も反感も腹の底にグッと飲み込んで、"俺たち負け犬(天狗)バンド"(ホームページのABOUT欄から引用)と腹を括り、背水の陣で突き進む姿勢はある種清々しい。音楽的にはドラムレスでデジタル音を織り込んだサウンドを掲げ、ロック/ダンス・ミュージック的なアプローチを取っている。

昨年8月に1stアルバム『10 goods』でデビューを飾り、それ以降の攻めっぷりがまた凄い。その5カ月後の今年の1月に2ndアルバム『WELCOME TO THE TENGU WORLD』をリリースした。尋常じゃないスピード感だと思ったが、今回はさらにそれを更新。僅か4カ月のスパンで早くも3rdアルバム『DEATH MARCH』が届いた。前作はデビュー作以降にライヴで感じたことがフィードバックされ、シンプルかつストレートな曲調が並んでいた。今作もフロアを意識したライヴ映えする楽曲が揃っている。が、不穏なアルバム名が物語るようにこれまでとは少し様相が違う。既にホームページ上にフリー・ダウンロード&第1弾MVとして今作のオープニング曲「NEW ROMANTIC」が公開されているので、ご覧になった方がいるだろう。ハードコア風の男臭いコーラス、重みのあるリフが耳に残り、よりシリアスでダークな印象を与える。もちろんディスコチックな「SUBSTiTUTE」、ゲーム音楽の要素を盛り込んだ「collapse」とノリのいい享楽性に富む楽曲も用意されているものの、作品全体を通して熱き歌心とメロディ・ラインがまっすぐ突き刺さってくる。前作で対面取材した際"お面を被ってる方が本音で喋れるんですね。ほんとにかっこつけなくていいから。実は誰よりもロック・バンドじゃないかなと。それぞれの言いたいことや、やりたいことがお面で被ることで出せるし、伝わるんですよね"と否戸田雲仙は語っていた。そういう意味では作品を出すたびにバンドの素顔が曝け出されていると言っていい。センチメンタルにしてエモーショナルな今作の楽曲にこれまで以上に胸を揺さぶられる。また、Track.10にはELLEGARDENの「ジターバグ」のカヴァーが収録されている。エルレのライヴでも必須だった名曲中の名曲で、この曲をピックアップするのはまさにバンドの力量が試されるというもの。原曲のメロディは忠実になぞりながらも、打ち込みを加えた天狗流アレンジで真っ向勝負している。これはメンバーに直接聞かないとわからないことだが、"数え切れないほど無くしてまた拾い集めりゃいいさ""一切の現実に飲み込まれそうなときには いつだって君の声がこの暗闇を切り裂いてくれてる"の歌詞も今のバンドの心境にピタッとハマったのだろうか。とにかく、一皮も二皮も剥けた今作をぜひ聴いてもらいたい。

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