－確かに、実験的でありながら今までのFACTの要素もしっかりと残っていますよね。曲作りのプロセスとしてはこれまでと比べても大きな変化はなかったのではないでしょうか？

K：その通りですね、全くないです。

－レコーディングはアメリカで行ったそうですが、これらの新しい要素はアメリカで盛り込まれたものでしょうか。

K：いや、そんなことないです。ほとんどこっちで作っていったものですね。
TO：逆に、アメリカにいって加わったのはオーソドックスな要素ですね。例えば、サビをもう一回、とか。俺らが今までやってこなかった部分だね。
K：そうそう、逆にスタンダードな曲にしてくれたのがアメリカかな。

－なるほど。今までにない分厚いコーラスなんかも盛り込まれていますよね。

K：そうです、そのコーラス・ワークもアメリカで加わった部分ですね。プロデューサーのMichel"Elvis"Basketteのおかげで。

－そのプロデューサーのMichel"Elvis"Baskette（INCUBUS、LIMPBIZKIT、STORY OF THE YEAR）はどんな人物でしたか？

E：ナイスガイでした。
K：仕事以外では、とにかくビールばかり飲んで酔っ払っていましたよ(笑)
一同：笑
K：いつも下ネタ言っちゃダメって怒られてる（笑）

－面白い人ですね（笑）
アメリカでレコーディングを行うのは初めてだったんですよね。

TO：そうです。
E：めちゃめちゃ楽しかった。
K：きっと、ヴォーカル（HIRO）が一番プレッシャーだったんじゃないかなぁ。

－どのような面で？

HIRONOBU（以下：H）：やっぱり英語の発音ですね。今回が録ったものは、アメリカ人が歌っているように聞こえる英語の発音を目指しました。数知れないくらいのテイクを取りして・・・とにかく、それが一番大変でしたね。

－確かに、英語の発音がよりきれいになったなぁと感じました。

H：ありがとうございます。こういうことは海外のプロデューサーにしか出来ないことですからね。
K：一番難しい問題でもあるんですよね、歌詞って。俺らの音楽に一番よく絡むのが英語だから。日本人だから難しい部分ではあるんだけど、絡みがいいからやっぱり英語をチョイスしてしまう。だから今回アメリカに行って、ちゃんとした発音に直してもらえたのは良かったんじゃないかな。

－改めてヴォーカル面のトレーニングなどもされたんですか？

H：家で出来る部分も含めて少しづつはやっていたんだけど、それでもやっぱり追いつかないですね。
K：もう、英語の耳コピだよね。
H：うん、耳コピ。

－なるほど。本作はどのようなテーマを含んだ歌詞になっているのでしょうか。

H：歌詞は、僕とTOMOHIROがメインで書いているんだけど、メンバー全員で掲げたアルバムのテーマは「戦い」。自分との戦いだったり、他の誰かの戦いだったり、もちろん戦争もそれらを自分なりの解釈で書き上げたものです。

－言葉にするのがより一層難しいテーマになっているんですね。

H：そうなんです。抽象的というか、これでうまく伝わってくれるのかなっていう不安もあったりして。
TO：俺らの伝えたいニュアンスを、通訳を通じてプロデューサーが解る歌詞にしていくことが一番難しかった。で、それを言い易い単語に置き換えたりしていると、気づいたら正反対の意味になってしまうこともあったりして。その辺はすごく難しさを感じましたね。俺らがそういう単語もチョイス出来たら一番良かったんですけどね。
K：言葉のチョイスはけっこう難しい問題であって、一番の課題でもありますね。言葉のチョイスだけで俺らがやりたいようなジャンルじゃない、また別の方向に変わってしまうんで。

－そうですね。例えばELLEGARDENのように、日本で活動していくのであれば日本語で歌う曲があることでファンベースもより一層広げられるとも考えますが、いかがでしょうか。

TO：日本語でやってしっくりくるのであれば、俺らも日本語でやると思います。
K：ほんと単純な問題だよね。クリーントーンでメタルをやるのか、歪みでメタルをやるのかっていう違いのようなもんで。英語でも日本語でも、ポルトガル語でも中国語でも何でもいいんですけど、言葉選び一つでディストーションかけてギターをひくメタルとクリーントーンでギターをひくメタルと同じくらいの差が生じると思うんで。ただ単にかっこいいから英語をやっているとか、そういう事でもないんですよね。やっぱり日本人なんで、一番伝えられる言葉を出せるのは日本語だと思うし、それが出来たら100点だと思うんですけど。