FEATURE
"KESEN ROCK FESTIVAL'25"
2025.06.12UPDATE
2025年06月号掲載
Writer : 高橋 美穂
ライヴハウスを愛するバンドやキッズとの親和性が高い精神性&方向性
ライヴハウスもフェスもどっちも愛する仲間たちなら、一度は行ってみたいと思っているに違いない"KESEN ROCK FESTIVAL"。"気仙"とは、岩手県の気仙地区(大船渡市、陸前高田市、住田町)を指す。正直、岩手県以外に住む人たちには馴染みの少ない地域かもしれない。しかし、"もっと分かりやすい名前を付けよう"となることはなく"KESEN"を掲げ続け、少なくともある方向のロック好きには、"KESEN ROCK FESTIVAL"によって気仙が認知された――それぐらい、この地域に誇りを持っているフェスであることが伝わってくる。
名前だけではない。"KESEN ROCK FESTIVAL"は、フェス/イベントのプロフェッショナルであるイベンター会社が関わっておらず、地元有志が集った実行委員会によって作られている。初回の2009年から数えて、今回は12回目(前身の"OFUNATO ROCK FESTIVAL'08"や、2011年、2012年に開催された支援企画"KESEN ROCK TOKYO"は除く)。今やプロフェッショナルの域に達していると言っていい実行委員会の経験値だが、当初の"地元が好き、音楽が好き"といういい意味での市井の姿勢、アマチュアリズムをあえてキープし続けているように思える。とはいえ、今や日本全国各地に広まったローカル・フェスのパイオニアという"偉大な存在"が、"KESEN ROCK FESTIVAL"であることは付け加えておきたい。
もう1つ、"KESEN ROCK FESTIVAL"の大きなポイントとしては、スポンサーがいない。フェスには莫大なお金がかかるし、スポンサーが悪だとは私自身も思っていない。しかし、ほぼチケット収入のみで企画運営するというシンプルなDIY精神、インディペンデント精神に重なるスタイルは、ライヴハウスを愛するバンドやキッズとの親和性も高いだろう。なお、後援を見ると"岩手県/大船渡市/陸前高田市/住田町/株式会社キャッセン大船渡/みなとオアシスおおふなと運営協議会/三陸鉄道株式会社/the band apart"とある――自治体に並んでバンド名が! 違和感があるようで、"KESEN ROCK FESTIVAL"が大事にしてきたものが並列になっていると思うと、ごくごく自然である。それでも、純粋な信念を貫くには大変な労力も必要。尊敬や憧れも含めて"KESEN ROCK FESTIVAL"は愛されているのだと思う。
しかも気仙地区は、東日本大震災で甚大な被害を受けた場所。"KESEN ROCK FESTIVAL"は震災前から開催されていたので、復興を目指して生まれたフェスではないものの、前述した"KESEN ROCK TOKYO"が象徴しているように、"もともと気仙を、「KESEN ROCK FESTIVAL」を愛している人たちが、大事な場所を取り戻すための旅路"という意味合いが震災以降は加わったと言える。2012年~2019年までは、2009年、2010年と同じ住田町 種山で開催。10回開催を機に一区切りということで2020年度の開催を見送った矢先にコロナ禍に見舞われるも、2024年に復活。前身の"OFUNATO ROCK FESTIVAL'08"が開催された大船渡(当時の会場は太平洋セメントサッカー場)の夢海公園で1日開催された。そして2025年、同じ夢海公園で2デイズに拡大して7月19日、20日に開催されるのだ。
足を運んだことがある人はもともとの会場(種山)に愛着があるかもしれないが、夢海公園は大船渡駅から徒歩5分とアクセスは抜群。終演時間が19時(予定)と早めなので、子連れにもピッタリだ。出演アーティストも豪華で、7月19日にはASIAN KUNG-FU GENERATION、ASPARAGUS、G-FREAK FACTORY、10-FEET、BRAHMAN、FUNNY THINK、THE FOREVER YOUNG、MONOEYES、DJ鹿野(オープニング・アクト)、20日にはIN-pish、SBE、四星球、Nothing's Carved In Stone、HAWAIIAN6、the band apart、FRONTIER BACKYARD、ホリエアツシ(ストレイテナー)、locofrank、LAWBLOW(オープニング・アクト)が出演する。岩手発のFUNNY THINKやSBE、LAWBLOWといった面々や、the band apartを筆頭に初期から"KESEN ROCK FESTIVAL"に関わっていたバンド、BRAHMAN等復興を支えてくれたバンド、ASIAN KUNG-FU GENERATION(神奈川/"NANO-MUGEN FES.")、10-FEET("京都大作戦")、G-FREAK FACTORY(群馬/"山人音楽祭")等、地元でフェスを開催しているバンドも出演する。いばらの道をかき分けてきた"KESEN ROCK FESTIVAL"と、百戦錬磨のライヴ・バンドたちの相性は、間違いなく抜群。ここでしか観られないパフォーマンス、聴こえない音が絶対にあるはずだ。地元愛、気仙愛、フェス愛、バンド愛......いろんな愛に溢れた2日間になるだろう。
2デイズ終了後の7月21日も海の日で祝日。ぜひ、のんびりと地元の美しい風景やおいしいものを堪能して、気仙の、地方の良さを味わっていただければ幸いだ。
EVENT INFORMATION
"KESEN ROCK FESTIVAL'25"
7月19日(土)、20日(日)岩手県大船渡市 夢海公園
OPEN 9:30 / START 10:30 / END 19:00(予定)
■出演アーティスト
7月19日(土):ASIAN KUNG-FU GENERATION / ASPARAGUS / G-FREAK FACTORY / 10-FEET / BRAHMAN / FUNNY THINK / THE FOREVER YOUNG / MONOEYES / DJ鹿野(O.A.)
7月20日(日):IN-pish / SBE / 四星球 / Nothing's Carved In Stone / HAWAIIAN6 / the band apart / FRONTIER BACKYARD / ホリエアツシ(ストレイテナー) / locofrank / LAWBLOW(O.A.)
[チケット]
¥9,300
イープラス
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