今年1月大阪にオープンした1,200キャパのライヴハウス"GORILLA HALL OSAKA"とUZMK主催のサーキット・イベント"DOGIMAZUN"がコラボ！ "GORILLAZUN 2023"に潜入レポート！

2023.11.21UPDATE

2023年11月号掲載

GORILLA HALL OSAKA

Writer : 梶原有紀子　Photographer：浜村晴奈

UZMK×GORILLA HALL、全ロック・ファン熱狂のハロウィン！

大阪ミナミエリア＝アメリカ村を代表するライヴハウス＆クラブで毎年ハロウィン・ウィークの週末に開催されてきた、UZMKが主催するミクスチャー・サーキット・イベント"DOGIMAZUN"。昨年スタートから10周年の節目を迎え、新たな10年へのスタートとなる今年は、アメリカ村を離れ大阪の新しい顔であるライヴハウス、GORILLA HALL OSAKA（以下：ゴリラホール）とコラボ。イベント名も"DOGIMAZUN"＋"GORILLA"＝"GORILLAZUN 2023"となり、10月28日にゴリラホールで開催された。
ゴリラホールは2023年1月にオープンしたライヴハウスで、ハロウィン・イベントの開催も今回が初めて。初のコラボにアメリカ村以外での初開催と、新しい試みが加わった"GORILLAZUN 2023"に潜入した。

ハロウィンと言えば仮装。事前にアナウンスされていた通り、この日は仮装やコスプレで入場した人にはプレゼント企画が用意されていて、会場からツイキャス＆インスタライブを行う企画もあったり、ゴリラホールのスタッフももれなく仮装していたりとパーティー感が満載。開場前に入場の列を作るお客さんの中にもバンドTシャツ＋悪魔カチューシャや猫耳カチューシャで仮装する人や、ゴシック＆ロリータなドレスで参戦する人の姿も見られた。

開場からまもなく2階フロアの一角にあるDJエリアにHUL OVERが登場しDJセットのライヴがスタート。同じくDJセットでライヴを行ったTHE GAME SHOP共々、目の前にいるお客さんを踊らせるだけじゃなく1階フロアにいる人たちも彼らの演奏に合わせて身体を揺らしていた。一方メイン・フロアでは、急遽司会を託されたというオトむしゃのヘリオスたいき（DJ）とSEIYA（Gt）のぶっつけ本番感を隠さない進行に温かい拍手が送られ、いよいよステージにバックドロップシンデレラが登場。

豊島"ペリー来航"渉（Gt/Vo）が歌詞の一部を"いってみようぜ／初めてのゴリラズン"と替えて歌い始めた「アメリカでウンザウンザを踊る」でフロアは即着火。1曲目からでんでけあゆみ（Vo）はフロアにダイブしまくる。お客さんも慣れたもので、身体能力抜群のあゆみを支えてぐるっとフロアを泳がせ、きっちりステージへ送り届ける。それを何度繰り返したかわからない。「バズらせない天才」であゆみが人差し指で輪を描くようにくるっと動かすとサークル・モッシュが勃発し、早くも密密放題。"今日イチ大きな声で！"と煽られ一瞬耳を疑うほどの超特大シンガロングが響き渡った「フェスだして」。踊るやつがエラいのだと彼らは歌う。となれば、歌って踊るやつは最高にエラいに違いない。

今回が2回目のゴリラホール出演というバクシン（バックドロップシンデレラ）。MCで豊島は、基本的に昼はご機嫌斜めというアサヒキャナコ（Ba/Cho）の表情がゴリラホールの内装やケータリングを見てニコニコしてきたことに気づいたと明かす。そして、アサヒが日本で一番好きなライヴハウスがゴリラホールであることが豊島の口から明かされると、会場は大盛り上がり。そんなゴリラホール愛に満ちた彼らのパフォーマンス。この日初めてバクシンを体験したお客さんはその激烈な楽しさに間違いなく沼ってしまったんじゃないだろうか。

この日はメイン・ステージの転換をするスタッフも全員ジャック・オー・ランタン仕様のハットでコスプレ。その頃DJエリアでは大阪を中心に活動するアイドル・グループ huskyの空良が登場し、UZMKの「NEW WORLD」を筆頭にPassCode、BABYMETAL、ヨルシカ、DOESとロックを愛する彼女たちならではの選曲に瞬く間に人の輪が大きくなっていく。

メイン・フロアにオープニングSEが聴こえた途端、会場中に手拍子と歓声が湧き上がったPassCode。メイド服でしっかりコスプレしたバンド・メンバーを従え、"「GORILLAZUN」楽しんでいけますかー！"（南菜生）の第一声から「GROUNDSWELL」、「Ray」、「FLAVOR OF BLUE」、「MYTH」とノンストップで畳み掛ける。めくるめく照明も起爆剤になっているのか、みっしりと人が詰まったフロアはヘドバン、サークル・モッシュの応酬が止まらない。有馬えみりのデス・ヴォイスはラウドな曲をより攻撃的に尖らせ、フロアを射抜く。パステル・カラーをあしらった衣装に身を包んだ4人には、激しいだけじゃなく指先の動きや髪の揺れなど計算外の要素も凛と見せてしまう清廉さがあって、その多面的な魅力は他バンドを目当てに来たであろうバンドTシャツ姿のオーディエンスもしっかり自分たちのステージへ引き込んでいた。

この頃には、メイン・ステージが終わるとそのまま2階のDJエリアへ直行という動線ができていた。DJエリア手前のカウンターには"GORILLAZUN"限定のオリジナル・ドリンクを求める列ができ、その先ではDJ 爆裂によるKANA-BOONやストレイテナーの選曲に合わせオーディエンスが歌い飛び跳ねる。ここでは退屈する時間は1秒もない。

打首獄門同好会は登場するやいきなり「きのこたけのこ戦争」を投下。当然のように両軍に分かれウォール・オブ・デスが開戦。"ハロウィン？ドイツのメタル・バンド（HELLOWEEN）ですか？今日はゴリラ選手権ですよ！"、"優勝を狙ってエントリーしてきました！"と大澤敦史（Vo/Gt）が息巻く。「筋肉マイフレンド」ではフロア全員が両手を頭の後ろで組んでスクワットするのはもちろん、ステージ袖にいるスタッフもまったく同じ動き。さらに"ゴリラホールのケータリングを見てくれ"とおもむろに肉の映像をスクリーンに映し「ニクタベイコウ！」をぶっ放す。ゴリラホールはバックステージのホスピタリティの高さがよく知られていてMCで話題にするバンドも多い。「TAVEMONO NO URAMI」や「島国DNA」、会場を揺らす勢いのシンガロングを巻き起こした「日本の米は世界一」と食カテゴリの楽曲多めのセットリストが組まれたのはハロウィンならではの遊び心か。

1階フロアは立錐の余地なく、2階フロアも身を乗り出すようにしてお客さんが待ち侘びるなか登場したFear, and Loathing in Las Vegas（以下：ラスベガス）。オープニングは「Rave-up Tonight」で、1階フロアは火がついたように暴れまくる。So（Clean Vo）は"かませ！"と叫び、Minami（Vo/Key）は1ミリの躊躇もなく何度もフロアにダイブ。Tetsuyaはベースを目の高さに掲げフロアを撃ち抜くアクション。「Let Me Hear」、「Step of Terror」で思い切りフロアをかき混ぜたあとに、「Party Boys」のコミカルな振付でステージもフロアも一体感を味わった。ラスベガスはこの日が初ゴリラホールで2階フロアの近さに驚きながら"2階席の人とギリ、ハイタッチできるんじゃないか？"とSoが手を伸ばす。ラスベガスは過去に何度も"DOGIMAZUN"に出演しているけど、"今年この最高の会場でやれた「GORILLAZUN」はめちゃいい思い出になると思う"（So）と語り、最後は多幸感に満ちた「Luck Will Be There」でまばゆく煌びやかなステージを終えた。

"遅い時間までありがとう。みんな楽しんで帰ってちょうだい"と大トリは主催のUZMK。重戦車のような勢いと破壊力が迫ってくる「TERROISM」で幕を開け、「FIGHT YOURSELF」、「PISS FOR BRAIN」と音はもちろんJUU、candy、Kazutoのトリプル・ヴォーカルのタフさ、凄まじさといったら。この迫力はナマで味わってなんぼ。キャリアに見合うだけの貫禄もありながら、ラウドロックやエレクトロといった音楽性と共に常に進化＆変化するストリート文化を根底に持ちアップデートし続けているUZMK。

彼らのスタンスを映し出したようなこのイベントは、ロックもバンドもアイドルもDJも、楽しめるものはなんでもありで、ジャンルの垣根はなし。楽しみを与えられるのを待つんじゃなく、自分発信で渦を巻き起こしてとことん楽しみ切ろうとするUZMKの姿勢は、出演バンドはもちろん集まってくるお客さんにも確実に伝播していて、だからこそ音楽好きなら誰もが楽しめるこの時季のとっておきのライヴ・イベントとして"DOGIMAZUN"は定着している。終盤、"俺らで住之江（ゴリラホールのある場所）盛り上げようや"とJUUが言い、"今回は記念すべき第1回の「GORILLAZUN」。これから100年続いても第1回はお前らとここで一緒にハロウィンを祝ったんやで？"とニヤリ。そんな言葉を投げ掛け、最後は「NEW WORLD」でこの夜を締めくくった。来年の今頃はどんな顔ぶれでどんなイベントをUZMKが画策するのか、楽しみに待ちたい。