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FEATURE

GORILLA HALL OSAKA 特集vol.1 "SUNNY CIRCUS 2023 in OSAKA"

2023.09.21UPDATE

2023年09月号掲載

今年1月大阪にオープンした1,100キャパのライヴハウス"GORILLA HALL OSAKA"にて開催 Dizzy Sunfist主催イベント"SUNNY CIRCUS 2023"に潜入レポート!!

Writer : 梶原 有紀子 Photographer:キシノユイ, naoto iwabuchi

出演者、観客、スタッフ、そこにいる全員が主役の"新しい形のライヴハウス"


Dizzy Sunfist主催のイベント"SUNNY CIRCUS 2023 in OSAKA"が、今年は会場をGORILLA HALL OSAKAに移し8月11日に開催された。GORILLA HALL OSAKAは今年1月に大阪 住之江の"SPORTS VILLAGE SUMINOE"敷地内にオープン。最寄りの住之江公園駅から徒歩8分の好立地にある新しい大阪の顔と言えるライヴハウス。ユニークな名称はHEY-SMITHの猪狩秀平(Gt/Vo)が命名し、オープン初日にはHEY-SMITHとSUNSHINE DUB、TETORAによるこけら落としライヴが行われた。以降BRAHMAN×MAN WITH A MISSION、The BONEZ×Nothing's Carved In Stoneなど毎日でも通いたくなる魅力的な対バン・ライヴが行われると共に、ゲスの極み乙女×さらば青春の光、04 Limited Sazabys×四千頭身など音楽とお笑いのツーマンも開催されている。

イベントの前日GORILLA HALLのスタッフが"明日はゴリラホール、ライブハウスの概念を超えて本気で挑みます!!"とSNSにポストしていたが、その言葉通り今年の"SUNNY CIRCUS"では通常のライヴでは考えられないようなサプライズがたくさん用意された。
最初に目を引いたのは、会場の入り口手前に設置された大きな滑り台のあるビニール・プール。この日の大阪は気温38度。スタッフのポストに"お子さんは水着持参で"とあったのはこのことか! とこちらもテンションが上がる。

会場に入るとエントランスはコンサート・ホールのように広々としていて、巨大なドリンク・カウンターとコインロッカーは1、2階と屋外にも用意されその数は500個以上。ライトアップされた階段を上がると、2階は大小のテーブルが用意されたバー・エリアが。この日はバー・エリアの空いたスペースを利用してヨーヨー釣りや射的(射的には"夢は死なへん!"と掲げてあった)、かき氷売り場などのミニ縁日がオープン。さらに奥へ進むと靴を脱いで座れる&寝転がれるチル・アウト・スペースや、DJブースの奥にはソファとテーブルも置かれている。ステージに向かってコの字型に作られた2階のスタンディング・エリアはどこからでもステージが観やすいが、特筆したいのはスタンディング・エリアに階段状のステップが置かれていること。ライヴが始まればステップに立ってステージを観ることもできるし、ライヴを待つ間はそこに座ってフードを食べたり休憩したりと様々な楽しみ方ができる。"最高の遊び場"をコンセプトに作られたライヴハウスだけに、遊び心がありお客さんの目線に立った工夫が凝らされていて居心地がいい。

"初めて来たけど、めっちゃええハコやん!"と笑顔を見せたのはこの日のトップバッター、GOOD4NOTHINGのU-tan(Vo/Gt)。ステージに登場すると"「SUNNY CIRCUS」へようこそ! お昼やけどライヴハウスへようこそ! 覚悟してかかってこいよ"と吠え、その声にフロアもスイッチが入る。「FOUND」「IN THIS LIFE」からラストの「One Day I Just」までトップギアのまま突っ走り、"今日はめっちゃ楽しなるな"と顔をほころばせた。

"東京都町田市から来ました、ぶち上げていくぞ!"(バンドウナオト/Gt/Vo)と冒頭から豪速球を投げまくった39degrees。前へ来いと言うようにクリハラコウキ(Ba/Vo)が手招きすると、観客は吸い寄せられるように前方へ。GORILLA HALLはステージが高めに作られていて1Fのフロアはフラットながら長身の人の後ろに立ってもフロアの後方からでもステージが観やすい。"Dizzy(Sunfist)愛してます! ずっとバンド続けていこうぜ!"の熱い言葉も、爆発的な演奏を纏ったグッド・メロディも深く聴き手をとらえた。

転換の間、2階フロアのミニ縁日にあやぺた(Dizzy Sunfist/Vo/Gt)がふらりと遊びに来ていた。輪投げを楽しむ人に"頑張って"と声を掛け、輪が見事にかかると声を上げて喜び景品を渡す。その場を取り囲む人みんなが一緒になって喜び、賑やかに笑う光景は見ていてとても微笑ましい。ホール外のプールでは子供たちが滑り台や水遊びに歓声を上げていた。

続くEGG BRAINは冒頭の「MUZIC」から果てしなく沸き続ける手拍子と幾重にも重なるフロアの歌声に圧倒される。ド派手な照明が目まぐるしく動き回りそれらを照らすと、煽られるようにクラウドサーファーが次々に飛び交っていく。「TOXIC FLY」、そして「KILLING IN THE MOSH PIT」と続けばもう騒然で、"ここにいる全員で最高のサニサー(SUNNY CIRCUS)にしようぜ!"(JOEY/Vo/Gt)と最後の「METEOR」までフルスロットルのまま駆け抜けていった。

"楽しんでるか? バカたれが!"の愛溢れる一声で始まったlocofrankのステージ。1曲目の「Returning」からモッシュも手拍子も止まらず、その勢いを加速するように「Tobacco Smoke」、「Hate to lose」、「START」と一気にプレイ。"高校のとき学校帰りに駅で制服を着替えて俺らのライヴに来てくれてたぺったん(あやぺた)が、ライヴに呼んでくれんねんから"(木下正行/Ba/Vo)と感慨深げ。2階から見下ろすと、立錐の余地のないフロアに尋常じゃない数のクラウドサーファーが泳ぐ様が圧巻で、拳を突き上げ歓喜の歌声を上げる観客に木下は拍手を送った。

好きなバンドばかりが出演するイベントは最高だ。とはいえ思いきり歌って暴れて騒いだ人もそうでなく楽しんだ人も、時間の経過とともに疲労は蓄積する。この日GORILLA HALLに集まった人たちの動きを見ていると、1階フロアでライヴを楽しんだあとエントランスに座り込んで休憩する人もいれば、次のライヴまで2階のバー・エリアへ移動しチル・アウト・スペースで休憩したり、仲間と乾杯したり、中にはスタンディング・フロアのステップに座り仮眠する人も。もちろん最初から最後まで2階でライヴを楽しむ人もいる。両フロアとも天井が高く解放感があるためか、ドリンクやフードを求める行列ができても人で渋滞することはなく息苦しさを感じることもない。この日は子供の参加者も多く、ベビーカーで眠っている子供もいた。ベビーカーで来れるライヴハウスはまだまだ少ないが、GORILLA HALLは1階から2階への移動はエレベーターもあり通路も広さが確保されているためベビーカーでの移動は難しくなさそう。こういった会場がもっと増えてほしい。

dustboxの1曲目「Hurdle Race」の最初の1音が聴こえた瞬間、目の前にいたふたりはステージ前方へ駆けて行った。「Bitter Sweet」も「Riot」も、威勢良く荒々しく放たれる爆音と夏の終わりの夕焼け空のようなグッド・メロディが沁みる。「Try My Luck」の曲中にあやぺたが乱入し、「Neo Chavez 400」ではベースをメイ子(Dizzy Sunfist)に託しJOJIがマイクに噛みつく。ラストの「Jupiter」では観客の大合唱と手拍子が祝福の光のように降り注いだ。

イベントも残すところわずかになったあたりから2階フロアの一角に子供たちが集まってきた。演奏が始まるとみんなヘッドフォンを装着しステージを食い入るように見つめている。そこへ現れたSHANKは"どーもSHANK始めます!"と言うが早いか1曲目は「Wake me up when night falls again」。フロアはいきなりの大合唱。「620」の強烈なツー・ビートにタイトな「Phantom」、「Life is...」と畳み掛け、住之江にまつわる思い出話も。踊る曲、ダイヴする曲と楽しみ方を観客が熟知している。

いよいよDizzy Sunfistの登場。moAiのダイナミックなドラムにあやぺたが"生きてて良かった!"と雄叫びを上げる。「So Beautiful」に続いて「No Answer」ではメイ子のコーラスと場内の合唱が見事に重なり、「Someday」は1階フロアにいる全員がクラウドサーファーなのではと見まがうような熱狂が渦巻く。"ゴリゴリの地元、GORILLA HALLへようこそ! 自慢の先輩と仲間に力を借りて、自慢のお前らが来てくれて、今日やばたにえん!"と感謝の思いをあやぺたらしい言葉で伝える。Dizzyの曲の中でもひと際攻める「Life Is A Suspense」の"yeah yeah yeah"で声を合わせたときの一体感は堪らない。"お前たちのパンク・ロック・プリンセスに俺はなってやる"と吠えた「Punk Rock Princess」。"12年ぐらい前に出会った同級生のバンドと、ずっとCD買ってライヴに行ってたバンドとこうしてライヴができて夢みたい。みんなも夢を夢で終わらせんなよ!"と叫んだ「The Dream Is Not Dead」。Dizzyのエモーショナルでいて人懐っこいところを凝縮し爆音で叩きつけるこの2曲でいったんステージをあとにした。アンコールに応えて再び登場すると、まず一大発表が。来年の"SUNNY CIRCUS"は8月11日と12日の2日間、このGORILLA HALLで開催が決定。最後は嵐のような「FIST BUMP」で最高に幸せな時間に幕を下ろした。

ロック・バンドの最小単位である3ピース・バンドが集結した"SUNNY CIRCUS 2023 in OSAKA"。9月には東京でも開催され、来年はGORILLA HALLで2デイズ開催と今後さらに規模拡大が予想される。あやぺたがライヴ中"メロディック・パンクしか勝たん。メロディック・パンクが一番好き!"と口にしていたが、この先どんなに規模が大きくなってもDizzy Sunfistを生んだこの街で開催される"SUNNY CIRCUS"、この街でブチ鳴らされるメロディック・パンクは格別だということが今日1日満喫した率直な感想だ。未体験の人は、関西圏以外からもぜひ来年この会場へ足を運んで街の空気ごと味わってみてほしい。


"SUNNY CIRCUS 2023 in OSAKA"

2023.08.11 @GORILLA HALL OSAKA
Act:Dizzy Sunfist / SHANK / dustbox / locofrank / EGG BRAIN / 39degrees / GOOD4NOTHING

GORILLA HALL OSAKA

〒559-0023
大阪市住之江区泉1-1-82
(SPORTS VILLAGE SUMINOE 内)

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