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FEATURE

IRONBUNNY

2019.08.27UPDATE

2019年09月号掲載

女性ヴォーカル3人+サイボーグ・ギタリスト!? 異色のロック・ユニットが未来を征服すべく現代に放つデビュー作!!

メンバー:Kotono Hina Minami Ediee Ironbunny
インタビュアー:宮﨑 大樹

さて、話をデビュー・ミニ・アルバムに戻そう。本作は激ロック読者に響くであろう骨太なロック・サウンドと、力強い3人の女性ヴォーカルの歌声が合わさることで、Hinaの言葉通り、幅広いファン層、年齢層にリーチしていきそうな1枚に仕上がっている。往年のサウンドを現代風にアップデートしている点もポイントだ。

"とにかくギター・サウンドとヴォーカルのハーモニーで作り上げるLAメタル・サウンドというのが基本コンセプトだけど、それをただ模倣するなら作る意味はない。そのままなんだったらそれこそRATTやVAN HALENを聴けばいいわけだし、俺でもそうするよ。大切なのは、今の時代とそこで生きる人々のトレンドなんかの中で、ギター・サウンドとハーモニーというものを落とし込んだときに、どういうものができあがるか? ということだ。簡単に言うと、若き日のSteve VaiやGeorge Lynchが今の時代に若くして生まれ出たら、どんなサウンドを作るのか? みたいなことかなぁ。歪んだギター・サウンドを太くミュートさせてグルーヴさせ、ハーモニクスでアクセントをつける......。使い古された手ではあるけどアプローチの仕方次第では懐かしくもあり新しくもある音が作れると思っている。今作で目指したのはそういうことかな?"(Ediee)

なお、本作にはWarren DeMartini(ex-RATT/Gt)、Doug Aldrich(ex-LION/ex-WHITESNAKE/BURNING RAIN/Gt)、George Lynch(ex-DOKKEN/THE END MACHINE/Gt)と錚々たる顔ぶれが参加している。

"Dougとは今年の1月のロスで行われた「NAMM Show」で会ったんだ。そのときは会話もしたし、彼のステージでプレイもさせてもらった。そのときはそれだけだったんだけど、後日日本で「ヤング・ギター」の編集長でもあるMr.Uedaと話していて、「Dougにアルバムで1曲ソロを弾いてもらったらどうかな?」と提案を受けたんだ。彼はLAにいるテクニカル・ギタリストたちのほとんどとコンタクトが取れるすごいヤツだよ。Dougは快く返事をしてくれた。本当に有難い話しさ。前にも話したけど、Stevie SalasやDweezil Zappaの作品でも多くのゲスト・ギタリストが、それぞれ個性溢れるソロを聴かせている。俺もそういう作品を作りたかったので、Dougだけでなく、George LynchとWarren DeMartiniにもコンタクトを取ってもらったんだ"(Ediee)

また、彼らとの制作についても聞いてみると――

"特に思い出深いのはDougかな? 彼には2サビ終わりからの16小節にソロを入れてほしいと頼んだんだ。だけど録音したものを聴いてほんとに驚いた。頼んだ箇所以外で、ヴォーカルと俺のソロが入っているところ以外すべて彼のソロで埋まっていたんだから(笑)。彼はサービスや試しのつもりで弾いていたみたいだけど、勿体ないから全部使わせてもらったよ"(Ediee)

Warren DeMartiniとGeorge Lynchについては――

"Warrenに関しては、俺自身がかなりRATTから影響を受けていることもあり、わざとsus4を使いまくったフレージングを組み立ててWarrenにバック・トラックを渡したんだ。上がってきた作品はまさにまんま「Ratt N' Roll」だったんで、ちょっと「してやったり」的な感じがしたね。Georgeのソロは本当に難解だった。さすがとしか言いようがない。彼はおそらく16小節を「4分音符4つの塊が16個」とは捉えておらず、「4分音符が64拍」という捉え方なんだろうな。最終的なミックスはこちらで仕上げたんだけど、ソロのin点が難解すぎて困ったのをよく覚えてるよ"(Ediee)

彼らが参加することによって作品にどんな影響があったかというと――

"バラエティに富んだし、いい意味で幅ができてスリリングに仕上がったよ。特にギター・ソロっていうのは、ギターを弾かない人には退屈なことがあるんだ。だけど俺とはまったく違うアプローチのプレイが入ることで、スリリングな展開が作れる。そのスリリングさが「飽き」させない、いいトピックスになったと思う。本当に感謝しかないね"(Ediee)

飽きの来ない1枚、Edieeの言葉通りだろう。本作の制作についてヴォーカル3人にも振り返ってもらった――

"レコーディングでは、歌うときの表情が大切なんだなって学びました。楽しい曲を歌うときは表情も明るくしないと、歌声に明るい表情がつかないんだなっていうの実感したんです。"(Hina)

今までは誰かの曲を歌うってなったら、その人のアクセントのつけかたを真似して歌っていたんです。でも、いざ自分の曲を歌うとなると何も見本がないんですよ。自分の歌ってなんだろう? って、自分の歌い方を見つめ直すいい勉強になりました。あとは、だいたいの曲が速めなので口が回らなくて大変でしたね(Kotono)

"3人でハモるところは、ふたりの歌い方やアクセントのつけ方、どのくらい伸ばしているかとか、そういう細かいところまで気にしないとときれいに合わないんだなっていうのが勉強になりました。ほかにはHinaが言っていた通り、声だけを聴いて表情が伝わるようにっていうのは気をつけて歌いましたね。ハード・ロックなので、全身の力を使って勢いを出すところには苦戦しました"(Minami)

デビュー作のレコーディングは、彼女たちにとっていい刺激になったようだ。そんな彼女たちとの制作について、Edieeは以下のように振り返る。

"とにかく初めての作業だったのと、本当に若い少女たちなので、なるべくソフトに接するように心掛けたよ。そのぶんバンドのほうには厳しく接したけどね。彼女たちももちろん初めて尽くしの経験だったんだろうけど、必死になって食らいついてこようとする姿がとても新鮮で、「音楽を始めたころのエキサイティングな気持ち」というのを思い出させてくれたよ"(Ediee)

また、本作には仮面ライダー、スーパー戦隊の音楽チームが参加していることも特筆すべき点だ。

"インスト曲「Twin Flavor」では、作家の鳴瀬シュウヘイ氏に手伝ってもらったね。この曲は始めから「アコギでメイン・リフを作ろう」って決めていたんだ。だからこそ「逆張り」でデジタル・サウンドのリズム・シーケンスを入れたら面白いんじゃないかと思ったんだ。でも俺の専門分野はギターなわけで、ピッキング・ハーモニクスならいくらでも出せるけど、デジタルのリズム・ループはあまり得意じゃないんだ。彼はもともとテクノ分野の出身で、且つ劇伴(いわゆる映画なんかのBGM)も書ける人間なんだ。彼が書いている仮面ライダーシリーズのメイン・テーマは、デジタルとディストーションが心地よく融合していて、今作のイメージにぴったりだったからね。いいコミュニケーションを取りながら効果的に分業して最高の作業ができたよ"(Ediee)

それでは、ここからは本作について1曲ずつIRONBUNNYからのコメントと共に迫っていこう。オープニング・チューン「23 -twenty three-」はこの作品のリード曲。ミュージック・ビデオもこの曲で制作されている。そしてハード・ロックをベースに、ラップを大胆に取り入れるなど、実験的な1曲という側面もある。

"これはもともとアルバムのリード曲にしようと考えて作られている。ミドル・マイナーのハード・ロックなんだけど、どこにでもありそうなスタイルにならないように、思い切ってAメロを全部ラップにしてみた。そのせいでKotonoとMinamiは少し不満そうだったけどね(笑)"(Ediee)

"歌だけではなく、ラップとかダンスとか、いろんな表現方法を使って1曲が作られているので、メンバーそれぞれの持っている力が重なってできた1曲だなって。ラップは初めて挑戦したので、何回も噛みました(笑)。リズムについていくのが大変だったんですけど、心からノリノリになってくると声がついていけたんですよ"(Hina)