FEATURE
BiS
2013.09.13UPDATE
2013年09月号掲載
Writer 沖 さやこ
型破りな活動で常に衝撃的な話題を振りまく、新生アイドル研究会(Brand-new idol Society)、BiSが両A面シングル『Fly / Hi』を9月18日にリリースする。先月は、1979年に世界初のノイズバンドとして活動をスタートし、大音量+即興演奏という基本コンセプトのもと四半世紀以上に渡りノイズ演奏を続け“キング・オブ・ノイズ”という異名で国内外に名を知られている非常階段と共に結成したノイズ・アイドル・バンド“BiS階段”として1stアルバムをリリースしたことも記憶に新しい彼女たち。これまでも全裸、内臓、血まみれ、釘バット、スク水ライヴ、24時間インストア、ライヴ・ギロチン席無料招待、家政婦オークションなど、アイドルもとい音楽界の価値観をブチ破る、既成の概念に囚われない無軌道な活動を続けている。今作には一体何が仕込まれているのだろうか……?と恐る恐るYouTubeで「Fly」“Special Edit”ヴァージョンのMVを見てみたが、シリアスかつ、就職活動のため9月22日をもって脱退するミチバヤシリオをフィーチャーした映像というぬくもり溢れる内容になっていたので、何だかちょっとほっとした。“殺されても死なない”“アイドル業界の爪弾き者”という意味が込められたゴキブリをイメージした衣装を見ても何とも思わなかったのは、BiSという存在がそれ以上にインパクトのある活動をしてきたからなのだろうな……と思うと、改めて彼女たちのこれまでの活動にいろんな意味での凄みを感じるのであった。
「Fly」はおなじみ松隈ケンタ(SCRAMBLES)のプロデュースによる楽曲。切り込むギター・リフと突き刺すリズム、繊細さと強さを感じさせるピアノの音色が焦燥感を煽る。新たな世界に飛び立たなくてはいけないことへの畏怖と決意が描かれたメンバー全員による歌詞は至ってシンプル。“高く高く 飛べなくても もういいよこれしかない”と言った矢先に“今FLY HIGH”と歌う、矛盾のように見えるこの表現も、彼女たちの不安定な心情を生々しく感じさせてくれる。けど歌声には弱気を一切感じない。自分たちがもっと高く飛べることをしっかり信じているという野心は、まさに殺しても死なないゴキブリ魂というのが正当な表現なのかもしれない。「Hi」は難波章浩が作曲を手掛け、松隈がプロデュースをしたナンバーだが、これがいい!ポップでキッチュなシンセと脳天をぶち抜く破壊力抜群のドラムがひたすら跳ねる。カミヤサキが書いた“僕はあなたが思うほど、そんなに弱くないから”“汚い世界に身をゆだね それでも汚れない真っ白な色でいたい”“立ち向かう僕でいたい”という歌詞をサウンドが後押ししており、かなりのハッピー・パンク・チューンだ。楽しそうに歌う6人の声がキラキラ輝き、シンガロング必須の箇所はライヴでも映えるだろう。BiSの正統派アイドルとしての顔を見ることが出来る。今回もリリース形態はかなり多く“BiS階段盤”には8月7日に渋谷WWWで開催されたBiS階段のデビュー記念ライヴの模様と戸川純の名曲をカヴァーした「好き好き大好き」のMVがDVDとして収録。殺人レベルのノイズと絶叫が入り乱れるBiS階段のライヴはかなりカオス極まりないものになっているとのことだ。
BiSは9月20日正午より24時間イベント“愛DOLはみんなを疲弊させる!? 24時間耐久フリーライブ&特典会 Repetition”をCOCONUTS LOUNGE TOKYOにて開催。昨年7月にリリースされたメジャー・デビュー・シングル『PPCC』のタイミングでも24時間耐久ライヴを行い、5000人の集客を記録している。今回は一体何を見せてくれるのか……BiSが作り出す衝撃をその目で確かめてみてはいかがだろうか。
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