DISC REVIEW
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前作『Sleeps Society』の成功や、母国UKでの1万人規模のヘッドライナー・ショーを経て生み出された最新作は、Sean Long(Gt)の"自分たちが作った中で最も奇妙なアルバムだと思う"という言葉通りにバンドの飽くなき探求心が発揮された1枚となった。従来のメタルコアを軸とした音楽性と引き換えに、ニューメタル寄りの重厚なリフや、ヴィンテージ・シンセを用いたエレクトロニカ、ラップ・ヴォーカルやブリットポップまで様々な要素をコラージュのように組み合わせた実験的サウンドには思わず面食らってしまう。しかしながら重層構造のアレンジメントはキャッチーさの奥に新たな気づきを得られる多様さも持ち合わせているし、レイヴィーなオープナーのTrack.2から紆余曲折を経て安らかなバラードのTrack.12まで向かっていくアルバムの構成も見事。すでにリスナーの間で議論を呼びつつある本作だが、WSSの今後のキャリアを占う分水嶺になることは間違いなさそうだ。 菅谷 透