DISC REVIEW
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最先端の音楽ではない代わりに、ここには今の時代に失われつつあるものが多々詰まっている。それらはロックンロールの生み出した夢とロマン、そういったものにほかならない。「THOUSAND ROCK'N'ROLL」の中で歌われる"いつまで経っても 色褪せやしない/撃ち抜かれたまま ずっと一緒に居たよ"という詞は実に象徴的で、一度でもロックの響きに胸を撃ち抜かれてしまったことがある人ならば、誰もが共感できるところだろう。打ち込みとも切り貼りとも無縁な、生粋のロックンロールは今でもここに存在している。生のグルーヴが赤裸々すぎるほどのロックの音が聴きたければ、そこから夢とロマンを摂取したいのなら、存分に彼らのロックンロールを浴びるべし。この音を現在進行形の無形重要文化財に認定したい。 杉江 由紀