DISC REVIEW
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現世ではないところに起因する罪。Ethereal Sinというバンド名に込められた意味とは、そのようなものであるそうだ。由緒正しき正調ブラック・メタルの音像を軸に、ジャパニーズ・ホラー的な視覚展開や物語性に満ちた歌詞世界が見事に交錯する今作は、実にいろいろな意味で興味深い。「Ouka」や「Hagakure」といった楽曲では和の美意識が具現化されているくだりがあるほか、基本的には重く暗い曲が多い中での「Dash across the Sky and Sea」では曲題のごとく、広さや青さを感じるような突き抜け感がやたらに異彩を放つ一幕も。なお、今作が"第一章"であるということはそう遠くない将来に"第二章"が発表されることも意味する。壮大なる世界が今ここから始まるのだ。 杉江 由紀