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INTERVIEW

Ethereal Sin

2021.08.25UPDATE

2021年08月号掲載

Ethereal Sin

メンバー:Yama Darkblaze(Vo) Hal Purprite(Key/Cho)

インタビュアー:杉江 由紀

由緒正しき正調ブラック・メタルの最新型が、今ここに和のテイストを纏って出現! 受け継がれていくべき伝統としての往年のブラック・メタルを思わせる曲調と、現代ならではの凝ったサウンドメイクを両立させながら、そこにジャパニーズ・ホラーというコンセプト性までをも贅沢に盛り込んだアルバム『Time of Requiem Part 1』を完成させたEthereal Sinは、なんと1990年代末期から活動を続けてきたバンドだという。日本国内のみならず、アジアやヨーロッパなど、海外の各方面からの評価も高いEthereal Sinの生み出す世界は実に奥深い。なお、今作は後に発表される予定の第二章へと続いていくそうだ。


作曲に集中しすぎた結果、アルバム2枚分の曲ができたんです


-このたびはアルバム『Time of Requiem Part 1』が発表となるEthereal Sinですが、バンドの歴史自体はずいぶんと長いものになるそうですね。

Yama:最初に神戸で結成したのは1997年とか1998年でしたから、もうすぐ四半世紀です(笑)。当時はまだ今のようなエクストリーム・メタルというものは確立されてない時代で、エクストリーム・メタル・シーンとしては基本的にデス・メタルが中心でしたし、海外でもブラック・メタル・バンドがでだして数年くらいの感じだったんじゃないかと思います。このバンドも前身からですが、今で言うところのメロディック・デス・メタルともまた違う、デス・メタルの延長線上でもう少しそれをシンフォニックにした音や、メロディックだけれども激しいやつをやろう、というところからスタートしたんです。

-そして、活動履歴を辿らせていただくとEthereal Sinは海外でのライヴもかなり多く経験されているようですね。

Yama:もとを辿ると、それこそ初期は国内にエクストリーム・メタルのバンドがまだまだ少なかったので、バンド同士の横の繋がりとかも海外勢が比較的多かったんですよ。今と違ってインターネットも普及してなかったですし。

-Amazonが米国で株式上場をしたのが1997年で、Googleが設立されたのが1998年だったと言いますから、まだまだネットの世界は黎明期だったと言えますよね。

Yama:そうなんです。だから、あの当時、様々な海外のバンドと文通しながら繋がりを深めていってたんですが、しばらく年月が経った頃には当時やりとりしていた連中がシーンの中でそれなりの地位になっていたり(笑)、現役でバンドはやってないにしてもなんらかの形で音楽に携わる仕事を続けていたりしたので、そんな旧知の繋がりから海外でのライヴのブッキングが決まっていったんです。うちのバンドも歴で言えば古株ではありますので、98年に出した1st EP『The Cocoon and Ebony Thorns』から知ってくださっているファンの方々が海外にもおられて、その方たちからの"ライヴも観てみたい"という声に少しずつ応えていった感じですね。時代が進むにつれてその声はより大きくなってきているなという実感を得ています。

-そこは、2000年代後半以降のメタルに対する再評価の動きが世界的に生まれたことも大きいですか?

Yama:特に、ここ10年くらいは流れが変わったなと思います。最初は近いところでアジア圏の韓国とか中国とかでライヴをやって、インドネシアでも3万人規模のフェスに出たこともあります。その後はドイツの"Wacken Open Air"にも出ましたね。

-ところで、本日こちらにご列席していただいておりますキーボーディストのHalさんは現在ANCIENT MYTHでもご活躍中ですけれど、当初からEthereal Sinには在籍されていたのですか?

Hal:いや、僕がEthereal Sinに関わるようになったのは2018年からです。ANCIENT MYTHのほうをやっているなかで仲良くなって、そのうち"こっちでも弾いて"って言われたのがきっかけでした。

Yama:そもそも、このバンドのオリジナル・メンバーってもはや私しか残っていないんです(苦笑)。

-ちなみに、Halさんが限られている時間を割いててでもEthereal Sinに参加したい、と思われた理由はなんだったのでしょう。

Hal:僕は交流を持つようになる以前にもEthereal Sinのライヴを観たことがあって、そのときに会場でCDをすぐ買ったくらい気に入ったんですよ。そのうち面識ができて連絡を取り合うようになっていたんですけど、前のキーボードの方がやめるタイミングでお誘いをいただいたので、そのまますんなりと入りました(笑)。

Yama:うちの音をもともとわかってくれていましたし、他のメンバーのことも知っていたので、誘う側からすると適材でしたね(笑)。

-そうしたなか、このたびは現体制での新たな作品としてアルバム『Time of Requiem Part 1』が発表されることになったわけですが、今作はEthereal Sinにとってどのような意味を持ったものに仕上がったと言えるでしょうか。

Yama:うちのバンドって歴のわりに出してきた音源の数はそんなに多くはないんですが、2015年にメンバーが何人か脱退し、そこからしばらくは活動休止期間に入っていたことがありまして。4年後の2019年にいったん各パートにサポート・メンバーを迎えたうえで『Kakuriyo』という3枚目のフル・アルバムをKING RECORDSからメジャー移籍第1弾作品として出し、2020年4月には3曲入りのデジタルEP『Kokuu』を配信開始したんですが、今回の『Time of Requiem Part 1』は、Halも含めてようやく各パートが正式メンバーとなった新体制でのフル・アルバムということになるんです。

-なるほど、そういうことでしたか。

Yama:正式メンバーが揃った状態で作れたということもあり、自分としてはやっとEthereal Sinとしての本来あるべき姿で作曲に集中し、アルバム制作に取りかかれたというのが非常に嬉しいですね。そして、集中しすぎた結果、曲を作りすぎちゃいまして(笑)、その結果、今回はアルバムのタイトルに"第一章"と付くことになったんです。要は、アルバム2枚分の曲ができちゃったんですね。それで、この"第一章"と次の"第二章"に分けて出すことになったと(笑)。

-怒濤のようにあふれ出てきたものが、ここには収められているわけですね。それにしても、それだけ曲数が揃っていたとなると各曲のサウンドメイクをどのように描き分けていくのか、というのも重要なポイントになっていったのではないかと思います。まずは、アレンジ面でHalさんが特に留意されたことがありましたら教えてください。

Hal:Yamaさんの曲に関しては、どれもわりとギター、ドラムぐらいが入ったシンプルなデモとして上がってくるので、あとはそこにどんどん自分の好きな音を自由に足していって"こんなのどうですか"って呈示していった感じでした。Yamaさんとは好きな音楽の傾向と言いますか、やりたいブラック・メタルの系統がかなり近いので、中には多少直したところもあったとはいえ、基本的には好きなようにやらせてもらってます。ギターのKikka(Schwarzfleet)君の曲に関しては、デモにシンセまで入ってくるので自分はそれをもとに弾き直していくスタイルでやっていった感じですかね。ふたりが作ってくる曲の感じはそれぞれ違うんですけど、どちらもまったく違和感なく受け入れられたので曲数がこれだけあってもレコーディングは結構スムーズに進みましたし、あんまり気負わずとも自然にこんなかたちでできちゃいました(笑)。

Yama:少し補足しておくと、原則、Ethereal Sinでは私がメイン・コンポーザーで今回もそれは変わらないんですが、今回はKikkaが「Like a Garuda」と「Hagakure」の2曲を書いてくれてます。あと、私の書く曲はアレンジ面では本当にデモがシンプルなので各パートの音についてはメンバー個々に任せているところが多いんですけど、曲を渡す段階でテーマや曲名、イメージや雰囲気をそれぞれに把握してもらったうえでみんなにアレンジに臨んでもらうようにしています。それ以降はほぼ丸投げしている、と言ってもいいかもしれません。"それはないわー"みたいになって、戻すこととかはなかったよね?

Hal:全然なかったです。

Yama:逆に、私がもともと"こんな感じ"ってイメージしてたものに、ちょっと違うアプローチでHalが音をつけてきたことがあったんですけど、むしろそっちのほうが良かったから"これいいね!"ってそのままいったパターンもありました。やっぱり、バンドってそういうやりとりが楽しいんですよね。

Hal:制約がなさすぎて、ベース・パートとかはイチから考えてベーシストに"こんな感じで"ってガイドラインになるような音を打ち込んで渡したりするのがちょっと大変でしたけど(苦笑)、とにかく自由に音を出せるっていうのは僕も楽しかったです。