DISC REVIEW
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90年代に西海岸のスケート・パンクを世界的なムーヴメントにした立役者、THE OFFSPRING。彼らの名曲の数々は、今でもテレビなどのちょっとしたBGMで聴くことがあり、2000年代以降に生まれた若者であっても彼らの楽曲には親しみがあるだろう。そんなオフスプが、前作『Days Go By』(2012年)以来、実に9年ぶりとなるフル・アルバムをリリースする! もともと、それほど多作なイメージはないが9年というのは、これまでで一番のブランクだ。もちろん、その間にもライヴ活動は行っていたし、シングルの制作や映画への楽曲提供などもあり、活動が止まっていたわけではない。しかし、レーベル移籍やオリジナル・メンバーであったベーシスト Greg K.の脱退など、アルバムのリリースが延びてしまう事情がいろいろあったようだ。そんな苦境を経てついにリリースされる今作は、哀愁メロディとポップネスが絶妙に絡み合うオフスプ節の効いた楽曲が満載の期待を裏切らない内容。また、小気味よいリズムのメロディック・パンク・ソングだけでなく、初期の楽曲を彷彿とさせるエッジの効いたハードコア寄りのナンバー、シンガロング必至のミドル・テンポの楽曲、グルーヴィでダンサブルなロック・ナンバーなどなど、相変わらずの引出しの多さにも感動させられる。 山本 真由