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INTERVIEW

THE OFFSPRING

2024.10.11UPDATE

2024年10月号掲載

THE OFFSPRING

Member:Noodles(Gt)

Interviewer:菅谷 透 Translator:伴野由里子

THE OFFSPRINGが、11枚目のスタジオ・アルバム『Supercharged』を完成させた。約9年ぶりのアルバムだった前作『Let The Bad Times Roll』から、約3年半という短いスパンで発表される新作は、2人のメンバーも新たに迎え勢いに乗るバンドの状態を反映した、ピュアでストレートなエネルギーに満ちた作品だ。アルバムの背景や、結成40周年を迎える今もなお若者から"再発見"される現象について等、Noodlesに様々な話を訊いた。

-激ロックでは"SUMMER SONIC 2022"東京公演へ出演する前日に、Dexter(Holland/Vo/Gt)とあなたにインタビューを実施しました。ライヴの様子は覚えていらっしゃいますか?

覚えてるよ! ちょうどコロナから回復しつつあった頃のライヴだったよね。まだマスクをしなくちゃいけなかったり、声を出しちゃいけなかったりといった制約があったなかでのライヴだったけど、それでもいい反応があったことを覚えてる。早く制約なくライヴが楽しめる状況で日本に行きたいよ。

-前作『Let The Bad Times Roll』(2021年リリース)は約9年ぶりのアルバムでしたが、それから3年半というタイミングで新作『Supercharged』が発表されます。こうした短いスパンでのリリースとなった背景を伺えますか? バンドとして今がいい状態にあるということなのでしょうか。

まさにいい状態だね。俺たちはやる気に満ちているし、ライヴもこれまでで最高のものをどんどんやれているよ。制作においても、『Let The Bad Times Roll』の最後の数曲はものすごく早いペースで書き上がった。最初はうまく曲がまとまらなかったんだけど、それは9年間のブランクの中で、Dexterが大学院で博士号を取るために5年間勉強していたり、ツアーに出ていたりしていたから間が空いてしまって、なかなかノりきれないというのがあったんだ。でも最後のほうは曲作りのペースが上がっていってね。この3年間はその勢いのままツアーをして、合間に曲を書いて、というふうに過ごしていたんだ。

-前作はドラマチックな楽曲も収録されたバリエーション豊かな作品でしたが、本作ではアルバム全体を通してピュアでストレートなエネルギーが感じられる、まさに"Supercharged"な作品に仕上がっています。こうした作品になったのは、どんな要因があったと考えていますか?

どうなんだろう、たぶん今のバンドの状態がそのまま反映されたからじゃないかな。今はエネルギーに満ちているし、Jonah(Nimoy/Gt/Key/Perc)とBrandon(Pertzborn/Dr)という2人のメンバーが新しく入って、ポジションも少し変わったことが新たに勢いを加えている。とにかく、今はいいライヴができているという手応えがあるんだ。パンデミックを乗り越えたことも大きいね。1年半もの間ライヴができなかったから気持ちが落ち込んだけど、今はライヴができてバンドとしても調子がいいんだ。あとは、俺たちは昔も今も世界で起こっている同じようなことに対して怒りを感じている。でも、俺たちはそういったことの全てを乗り越えられると思っているよ。

-サウンド面では、「Light It Up」や「The Fall Guy」等、過去作やクラシックなバンドを彷彿とさせる瞬間がありながらも、今のTHE OFFSPRINGならではの要素も感じられました。アルバムで意識したことを伺えますか?

まぁ、ファンにはTHE OFFSPRINGらしい曲を聴いてもらいたいよね(笑)。Dexterが曲を書くときは、あいつなりのセンスで作っていくわけだけど、「Light It Up」なんて最初に曲ができたときは、"これは昔の焼き回しになってしまわないか"と少し心配したくらいだった(笑)。でも聴き返してみるとそんなことはなくて、ちゃんと新しさがあったから"いいじゃん"と納得したんだ。そんな感じでTHE OFFSPRINGらしさを忘れずに、いつも何か新しい要素を加えることを目指しているよ。

-ギターの面では、これ程まで単音でザクザクと刻んでいるメタリックな作品は珍しいように感じたのですが、こうしたサウンドになった背景を教えていただけますか?

ギターのサウンドは今回かなり時間をかけて作り込んでいて、プロデューサーのBob Rockと一緒に音作りをしっかりと行ったんだ。メタリックなサウンドに関しては、実は数曲でMETALLICAのJames Hetfield(Vo/Gt)のギターを使っている。Bobが持っていたエクスプローラーで、EMGのピックアップが付いているものなんだけど、それを「Come To Brazil」やいくつかの速くてアグレッシヴな曲で使ったから、そういうのも影響しているかもしれないね。

-本作のドラムはツアー・ドラマーを務めていたJosh Freese、現メンバーのBrandon Pertzbornと、曲によって参加しているプレイヤーが異なっていますね。これは制作時期によるものなのでしょうか?

Joshとはもう20年来の付き合いで、THE OFFSPRINGのほとんどのアルバムに参加してもらっているんだ。Atom(Willard)がいた頃も、Pete(Parada)がいた頃もね。Peteはカリフォルニアに住んでなくて、Joshは俺たちのスタジオの近所に住んでいたから、彼に叩いてもらったこともあった。ただ、前作はPeteがほとんどプレイしていたけど。今作もJoshに叩いてもらっていたんだけど、1年くらい前からBrandonが参加してくれてね。彼はライヴとスタジオのどちらでも叩ける最高のドラマーで、とんでもないパワーと熱量があるけど、同時に正確性がある。最高の両面を持った、クレイジーなやつだよ(笑)。

-ちなみに、新作の制作はいつ頃開始したのでしょうか?

前作を作り終えてからすぐ、そのまま開始したんだ。「Hanging By A Thread」は前作のセッションのときからすでにあった曲だね。アルバムの最後に入っている「You Can't Get There From Here」は、前作よりもさらに昔からストックしてあった曲なんだけど、今回作り直して全く違う形になって収録されているよ。

-「Make It All Right」は、THE OFFSPRINGらしいポップでキャッチーなコーラスが耳を惹く楽曲です。すでにライヴでも披露されていますね。

この曲は自分の人生を豊かにしてくれる関係性について歌った曲なんだ。その全てがバラ色というわけではなくて、たまには喧嘩をしたり、ムカついて中指を立ててしまったりすることもあるけど、人生をより良いものにしてくれる人のことを歌っている。毎晩のようにライヴで演奏しているけど本当に好評で、今言ってくれたようにすぐに耳を惹く曲だし、頭に残りやすいんだろうね。観客も歌ってくれるし、俺も動きたくなってステージ中を飛び回っているよ。

-「Come To Brazil」はSNSのコメントに対するアンサー・ソングだそうですね。オールドスクールなメタルの要素も感じられる楽曲になっています。

俺たちがSNSに投稿をするたびに、ブラジルのファンが"Come To Brazil"(ブラジルに来て)と言ってくるんだ。彼らは本当に熱狂的だよ。投稿の内容に関係なく、"Dexter、誕生日おめでとう"という投稿にも"Come To Brazil"、南米ツアーを発表してブラジルに行くと言ってるのに"Come To Brazil"と言ってくる(笑)。だからその恩返しじゃないけど、この現象を楽しくイジりつつ、同時にブラジルのファンへの感謝とラヴ・レターを作りたかったんだ。これはDexterが歌詞のアイディアを最初に思いついて、それをもとに曲を作ったんだけど、こういうやり方は俺たちにとっては珍しかったね。いつもは曲が先なんだ。