DISC REVIEW
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警官による黒人男性の暴行死と、それに伴う抗議運動――2020年のアメリカを揺るがした重大事件を受け、本作は生み出された。Jason Aalon Butler(Vo)が13日間デモに参加し、14日目からTravis Barker(BLINK-182/Dr)ら作家陣と8日で制作した全8曲は、"お前たちは「間違った世代」に喧嘩を売った"という表題の通り、Jasonが事件やデモで抱いた感情を反映した、怒りや悲痛、攻撃性に満ち溢れたサウンドだ。反逆をアジテートするTrack.1に始まり、Tom MorelloのギターもサンプリングしRATMの名曲を髣髴させるTrack.3、激烈なファスト・チューンのTrack.6と、怒濤の展開を見せる。繰り返される悲劇を嘆くバラードのTrack.7に続き、本編を締めくくるTrack.8ではBLONDIE/KRS-ONEのメロディを引用、不条理を変革するため共に立つことを促す。バンドの信念を最大限に主張しながら、それをクールな音楽性と両立させた、2020年を象徴する作品と言えるだろう。なお、日本盤CDには米大統領選後の24時間で制作されたヘヴィ・チューン「Once Again」、無観客のためか歓声のないライヴ音源というボートラも収録。激動の1年を別角度で捉えている点で意義深い。 菅谷 透