DISC REVIEW
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前作にあたるメジャー・デビュー作『真夜中の徘徊者~ミッドナイトランブラー』の出来はすこぶる良かった。だからこそ、ショーン・ホラーショー(Ba)を迎え、新3ピースで作り上げた14曲入りのフル・アルバムを聴く前は不安もあった。が、従来の首振りらしい昭和歌謡テイストは引き継ぎつつ、縦に横に揺さぶりをかける柔軟なグルーヴやリズム感を手に入れ、曲調のバラエティはグッと広がっている。とりわけ、ショーンが作曲したホラー色の強い「PSYCHO CLUB」、ダーク且つシアトリカルな雰囲気漂う「ホール」などは新境地と言える怪しさで聴き手に絡みつく。衝動満載の爆発力から彫り込んだ陰影まで見せつけた今作は、さらに多くのリスナーに届くことだろう。野蛮且つ深淵な1枚だ。 荒金 良介