DISC REVIEW
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福岡の5人組ロック・バンド、眩暈SIRENの最新EP。プロローグとなるインスト曲「微睡」では、澄んだピアノの旋律と歪んだギターが、美しくもどことなく孤独を感じさせる。続く表題曲では一転してアグレッシヴでストレートなサウンドを響かせており、日常で感じる生きづらさを赤裸々且つ詩的に綴ったかのような歌詞と、眩暈SIRENらしい和のメロディにより描かれた心象風景はこのバンドならではのもの。より攻撃性を増した音像をベースに劇的に展開していく「零」も中毒性があり、柔らかい音と聴き手の心を惹きつける声で語られるポエトリー・リーディングを用いた「その後」は、深い霧に包まれる森の情景が浮かぶような幻想的な1曲で、バンドの世界観を色濃く感じることができる。 宮﨑 大樹