DISC REVIEW
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ピコリーモやダブコアなどと呼ばれる、エレクトロの要素を取り入れたバンドが急増し、“アゲアゲ&ゴリゴリ”が常識化した、近年のラウドロック・シーン。類似品にはご注意、電子音に頼り過ぎて個性を失ってしまうことなく、トリッキーな構成とどこか哀愁の漂うメロディ・センスで異色の存在感を放つ、ロシア発のトランスコア・バンドFAIL EMOTIONS。ヘヴィなメタルコア・サウンドを軸に、トランス、ダブステップ、ドラムンベースなどを巧みに取り入れ複雑に絡み合ったエレクトロ・サウンドが展開し、しっかり個性を発揮している。また、ロシアという国柄の滲み出る様な悲哀あるエモーショナルなクリーン・パートは、英語圏のバンドに引けを取らない確かな実力と共に、聴く者を惹きつける。 山本 真由