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INTERVIEW

STONE SOUR

2017.06.22UPDATE

2017年07月号掲載

STONE SOUR

メンバー:Corey Taylor(Vo)

インタビュアー:KAORU

最新作『Hydrograd』を引っ提げ、今年9月にSTONE SOURが約4年ぶりのジャパン・ツアーを開催する。ツアーには全日MAN WITH A MISSIONが参加することも決定。日本でのライヴは2013年の"Ozzfest Japan"以来だが、破壊的なSLIPKNOTのライヴとは違う抜群の安定感を誇るド迫力のパフォーマンスに圧倒された。アメリカを代表するロック・シンガーのアイコンとして多大な影響力を持つCorey Taylorは、常にメディアに注目され、近年はアメリカの現状に対しての発言がたびたび報じられている。今回のインタビューでは、彼が考える音楽と政治の関わり方について、ロック・バンドが苦境にあると言われがちな昨今のシーンについて、そして、『Hydrograd』という作品にどんな気持ちが込められているのかについて語ってもらった。

-とてもたくさんのインタビューを受けているみたいですね。

ハハ! まぁ20本くらいかな(笑)。

-新作『Hydrograd』を聴いて感じたのは、とてつもなく大きなパワーとエモーションです。とてもアメイジングでエキサイティングな作品です。全曲ライヴ・レコーディングをしたそうですが、その理由のひとつに、Coreyはドナルド・トランプが大統領に当選したことを始め、アメリカの現状に対する怒りの感情もメディアやSNSで発言していますし、社会に対する怒りを感じたり問題意識を大きく抱えていたりする現状が、叫びたいとか、加工されていない生の感情を届かせたいと思った、というようなこともあったのでしょうか?

もうすぐ"America 51"っていう俺が書いた本が発売されるんだけど、その本にはアメリカの現状に対する怒りをそのまま書き込んでる。だから、そのときに感じた緊張感や激しい気持ちも、ある程度引きずっていたとは言えるかもしれない。でも、攻撃性に対する怒りを感じていたけど、その気持ちを直接的に歌詞に込めるっていうことはしてなくて、具体的なメッセージをこのアルバムに落とし込んではいないんだ。まぁ、自分が感じてた気持ちは何かしら音に染み出てくるとは思うけどね。ただ、あえて意識してた部分について言うと、むしろそういう状況に対する反発が込められてると思う。要するに、今の状況があまりにも悪いからって、自分の中に閉じこもってないで、自分を外に引きずり出して音楽を楽しんじゃおうっていうつもりなんだ。最近は頭で考える音楽が多いけど、心で感じるままに楽しめる音楽が作りたかった。言ってみれば、解毒剤的なアルバムだと言えるんじゃないかな。

-なるほど。たしかにSTONE SOURはRAGE AGAINST THE MACHINEのようなポリティカルなメッセージを強く出しているバンドではないですし、『Hydrograd』からポジティヴなパワーをとても感じます。ちなみに、日本は音楽と政治を一緒に語ることが好かれないということを知っていますか?

うん、そうだなと思うこともあるよ。政治的なメッセージをうまく取り込んで曲にしてる人もいるけど、押しつけみたいでトゥーマッチに感じることもある。俺もどちらかっていうと、音楽と政治を一緒にするのは苦手な方なんだ。俺の場合は、政治的なメッセージが聴きたいときに、どんな音楽を聴けばいいかってことを知ってる。例えば、Bob DylanやPUBLIC ENEMYを聴けば、俺と相容れる考えを持っている人の音楽を聴くことができるってことだ。でも、今までひとつだけポリティカルな曲を書いたことがあって、それは「Come What(ever) May」(2006年リリースの2ndアルバム表題曲)なんだ。当時の大統領(ジョージ・W・ブッシュ)を批判するような曲だったけど、考えてみれば、あのときよりさらに混乱してるんだよなぁ......。アメリカの現状について音楽で語ろうとするなら、もうひとつバンドを組んでもう1枚アルバムを作らなきゃ気が済まないくらいの声は持ってる。けど、自分が音楽を通じて表現するときには、直接的な歌詞や言葉にするんじゃなくて、そういう状況のなかで自分が感じた"エモーション"を曲にしたいと思う。社会的なことについてはインタビューやSNSなら言いやすいけど、それが音楽となると、バランスを取るのが難しいんだ。だから今までもそんなに取り立ててやってこなかったし、他に任せておこうかなと思う。それに、リスナーに対して曲を断定するようなことはしたくないんだ。音楽は聴いた人が自由に感じて解釈してほしいしね。だからチラッと見せたりほのめかしたりはするけど、断定するような曲の書き方はしたくないと思うよ。

-「Fabuless」(Track.6)の歌詞には"IT'S ONLY ROCK AND ROLL BUT I LIKE IT"というフレーズ、THE ROLLING STONESの曲からの引用がありますね。いま世界的に、ロックは元気がないというようなことをよく聞きます。私もロックンロールという言葉が力を失っているような気がして、なんとなくTHE ROLLING STONESのTシャツを着たくなかったんですよ。でも、STONE SOURの『Hydrograd』を聴いたら久々に着たくなりました。あなたはロック・バンドが誇りを失いかけていると感じることはありますか?

いいTシャツだ(笑)。そのとおりだね。これまでの長い間、ロック・バンドっていうのは、こういうことをやらなきゃとか、あんなことをやらなきゃとか、勝手に型にとらわれてしまってたと思う。でも、いわゆるロック・バンドがいるとすれば......いるとすればっていうのは、そもそも自分たちが"ロック・バンド"なんだって自任しないバンドが増えちゃってるだろ? オルタナティヴ・ロックだとか、ポップ・ロックだとか。余計なものをつける前にロックだろ? って言いたくなっちゃうことがあるからさ。まぁ、それでも世間からロック・バンドだとされているバンドを見ていると、心底好きなことをやってるバンドがいないような気がしたんだ。だから今回は、STONE SOURがロックらしさってものを取り戻す、再浮上させるような役割を果たせたら嬉しいなと思うよ。ロックって言ってもいろんなやり方があっていいじゃないか。こうじゃなきゃ、ああじゃなきゃっていう外側の認識にとらわれちゃったらおしまいだろ? ロック・バンドも、アプローチ次第でなんでもできるんだってことを、このアルバムで感じてもらえるんじゃないかな。今回はありのままの自分を出せたなって心の底から思えるんだ。フリーダムさが聴こえてくるんじゃないかな。他のバンドが聴いたときに"こういうやり方もあるんだ"って、切迫感とか情熱を持って自分なりのやり方でやろうって気持ちになってくれたらいいな。