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INTERVIEW

MUCC

2017.01.23UPDATE

2017年01月号掲載

MUCC

メンバー:逹瑯(Vo) ミヤ(Gt)

インタビュアー:杉江 由紀

彼らの生きる証が、ここには在る。移り変わりの激しいシーンにおいて、バンドが20年の歳月を生き抜くことは決して容易ではない。今年、いよいよ結成20周年の節目を迎えるMUCCが久々のフル・アルバムとして提示するのは"脈拍"という名の、MUCC史上最高傑作だ。プロデューサーにKen(L'Arc~en~Ciel)を迎えて制作された今作には、大胆不敵な激烈ヘヴィ・トラックはもちろんのこと、スウィートなダンス・ロック・チューンから、胸に迫ってくるような美しいバラード、深い死生観を織り込んだ重くシリアスな楽曲まで、実に多彩な要素が詰め込まれている。MUCCがロック・バンドとして生み出す、確かな脈動を感じるがいい。

-MUCCにとっては2014年6月にリリースした12thアルバム『THE END OF THE WORLD』以来のフル・アルバムであり、2015年6月に発表したミニ・アルバム『T.R.E.N.D.Y. -Paradise from 1997-』から考えても、約1年半ぶりとなるのが今作『脈拍』です。また、同時に今作は結成20周年の節目を飾るものでもあるわけですが、このアルバムにはMUCC本来の持ち味である大胆さと繊細さが、より洗練された形で集約されているように感じます。

ミヤ:MUCCは常にそうなんですけど、今回もあまり細かいことは考えずに曲を作っていったんですよ。まず、これまで出してきた3枚のシングル、『故に、摩天楼』(2014年リリース)、『ハイデ』(2016年6月リリース)、『CLASSIC』(2016年9月リリース)からの楽曲たちがカップリングの「KILLEЯ」(『ハイデ』収録曲/Track.4)も含めて計4曲入ることは決まっていたし、その中には2年以上前の曲もあったりしたので、時間的には今現在と少しズレがありましたからね。何か特定のテーマを掲げてそこにこだわっていくよりも、ナチュラルなMUCCらしさをその都度そのまま出していく方がいいだろうと思っていたんです。

逹瑯:全体として見ると、今回はいつも以上にバラエティに富んだ曲が揃ったアルバムになったかなぁ。「孵化」(Track.13)とか「絶体絶命」(Track.2)、そして「脈拍」(Track.1)あたりが曲としてできてくるまでは、自分たちでもどんな雰囲気のアルバムになるのかよくわかっていなかったくらいだし(笑)。逆に言うと、その3曲ができたことでこのアルバムの芯がはっきりしていったんじゃないかな。そしてこの、芯となるものはあるけどいろいろとバラけているところもある、っていう感覚もまたMUCCっぽい感じがしますね。

-では、1枚を通してのサウンドメイクという部分では今回どのような指針を立てていましたか? 聴かせていただいた印象としては、音像がよりヘヴィ且つクリアになったように感じましたが。

ミヤ:たしかに、クリアには聴こえると思います。今回は、これまでみたいに音と音をぶつけていないんですよ。ひとつ課題としてはあったのは、"ヴォーカルを今までになかった感じで聴かせたい"ということだったんです。そういう楽器隊と歌とのバランスを考えていくうえでは、プロデューサーであるKenさん(L'Arc~en~Ciel)と一緒にいろいろとトライしながらやっていきました。そこは相当突き詰められましたね。

-とことんラウドでいて、音圧もしっかりとあるのに、グシャグシャとしたところは皆無で歌も明瞭に聴こえてくる。この境地に行き着くための秘訣とは何なのでしょうか?

ミヤ:無駄なものを入れすぎない、ということですかね。ヴォーカルが聴こえるようなアレンジと演奏というのが大前提としてあるんですけど、そこがまずしっかりしていれば、オケの音量をそんなに調整しなくても自然と歌とのバランスは取れていくことになるんですね。結局、どっちかしか聴こえない場合って仮にその聴こえない方の音を上げても、今度はもう片方の音が聴こえなくなってしまうだけですから。つまり、今回はすべての音が聴こえるように"仕向けた"ということなんですよ。

-さすがです。ここまで20年をかけて積んできた経験と実績が、音作りにも大いに反映されたということなのでしょう。

ミヤ:ただ、俺は楽典をイチから勉強しているタイプではないですからね。完全に直感型だし、時にはそれだとすべてを処理し切れない場面が出てくるのも自分でわかっているんですよ。その点からいくと、Kenさんは俺と違って超頭の良い直感型なので、今回はKenさんの頭脳を借りて使わせてもらったところが多々ありました。特に、「勿忘草」(Track.11)のような歌モノや「孵化」(Track.13)みたいなクラシカルなコード進行の曲に関しては、細かく詰めてプロデュースしてもらった感じです。あと、いわゆる激しい曲たちに関してはグルーヴを重視しながら作っていきました。

-バンドとして"ヴォーカルを今までになかった感じで聴かせたい"というアプローチをとったことにより、ヴォーカリストである逹瑯さんの歌い方自体にも何かしらの影響が及んだところはありましたか?

逹瑯:もとを辿ると、『T.R.E.N.D.Y. -Paradise from 1997-』のときくらいから歌についてはちょっとずつアプローチを変えてきてたところがあったんですよね。今回は、もう少しそこに踏み込んでやっていった感じというか。具体的に説明すると、声量を少し抑え気味にすることで今までみたいな声量だと使えなかった繊細なマイクを使えるようにして、より表現の幅を出していった感じなんです。最初は慣れるのにちょっと戸惑ったところもあったけど(苦笑)、Kenさんと一緒にやっていったなかで"もっと声の低音の部分を響かせたいよね"とか、"ここはさらに歌に表情をつけていきたい"となったときに、曲によってそれぞれの新しいやり方に挑戦していくのは自分としても新鮮でした。

-ちなみに、逹瑯さんからすると今作の中で最も新たな発見が多かった楽曲はどちらになります?

逹瑯:そうだなぁ。「秘密」(Track.9)なんかは、こういう歌い方はほぼしたことがなかったから結構面白かったですよ。たぶん、この曲と出会っていなかったらこの歌い方は今のタイミングではしていなかったでしょうね。