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LIVE REPORT

ステミレイツ

2024.08.04 @KT Zepp Yokohama

Writer : 山口 哲生 Photographer:Mime Soga


新生ステミレイツ始動――KT Zepp Yokohamaで轟かせた圧倒的な第2章開幕宣言


今年6月末をもってキーボード/デスボとドラムが脱退し、新たな局面を迎えたYouTuberガールズ・バンド ステミレイツ。ゆきっぺ(Vo)、輝星(Gt)、あきら(Ba)の3人はそこからも足を止めることなく動画投稿を続けながら、新メンバーの募集を開始。このたび、さきてぃ(Dr)、ハノン(Key)、かなち(デスボ)の3人が加入し6人体制で歩き始めることとなった。新体制の初舞台となったのが、KT Zepp Yokohamaで開催された"ステミレイツ復活祭 「LIGHTNING REBIRTH」"。彼女たちにとって初の主催ライヴとなった本公演にはおこさまぷれ〜と。、FR2PON!、BAD IVYの3組も出演。満を持して登場した新生ステミレイツは、こちらの想像を遥かに上回るステージを展開し、第2章の開幕宣言を爆音で轟かせた。

彼女たちが復活の1曲目に選んだのは「dream walker」だった。凛とした声でメロディを歌い始めたゆきっぺが"ステミレイツ第2章の幕開けだ!"と叫ぶと、そこに追撃するようにかなちがシャウト。6人の音が一気に疾走する。さきてぃが叩き上げるパワフル且つ安定感のあるビートの上で、ハノンが笑顔でフロアを見渡しながら鍵盤に指を走らせれば、あきらは縦横無尽にステージを歩き回りながらダイナミックにベースを弾き、輝星もステージ前方まで出てきてギターを豪快にかき鳴らす。フロアを激しく煽るかなちと、伸びやかな歌声をまっすぐに投げ掛けていくゆきっぺの2人が、アウトロでツーステップを踏む等、ステージから次々に繰り出される音とパフォーマンスにフロアは大興奮。たった1曲で、いや、たった1コーラスで、ステミレイツは完全復活どころかとんでもない進化を遂げて戻ってきたことが充分すぎるほどに伝わってきた。そこから6人は「EVOL AI」へ突入。その勢いをさらに上げていく。

新体制初ステージということもあり、異常なまでに気合は入っていただろうし、おそらく緊張もあっただろう。しかし、空回りすることも固くなることもなく、それら全てがいい燃料になり、ステージからは凄まじい熱が終始放たれていた。また、新たに加入したさきてぃ、ハノン、かなちの実力もさることながら、今春から全国ツアーで各地を回ってきたこともありゆきっぺ、輝星、あきらもその経験を血肉化していて、エモーショナル且つ華のあるプレイでフロアを魅了。特にゆきっぺの成長が著しく、以前から得意ではないと発言していたMCも、バンドのフロントとしてかなり堂々としていた。

"最強のメンバーが揃いました! ステミレイツのことを初めて観るよっていう人も、ファンじゃないよっていう人も、もちろんボルト(※ファンの総称)のみんなも、絶対に最高のライヴだった! 超楽しかった! って言わせるから、まだまだ付いて来い!"。ゆきっぺの絶叫から披露されたのは、新曲「Antimental」。ステミレイツは曲を追うごとにそのヘヴィさを増してきているが、この曲も例に漏れることなく、かなり凶暴。ハノンが怪しげな旋律を奏でると、かなちがラップを叩き付けて咆哮し、強烈な重音をグルーヴさせていた。

今日ここに来てくれたみんな、私たちのことを観れてとてもラッキー!


6人は休むことなく次々に曲を畳み掛けていく。情緒たっぷりにハノンが弾く鍵盤の音色と、ゆきっぺの繊細な歌声が絡み合うライヴ・アレンジが施された「TWILIGHT」では、かなちがデスヴォイスを操るアジテーターとしてだけでなく、クリーン・ヴォイスでハーモニーも響かせ、楽曲をよりドラマチックに彩ると、さきてぃのパワフルなドラム・ソロを挟みつつ、「AnimaZ」になだれ込んだ。ハノンがリードをしていくなか、各メンバーのソロ回しを交えながらコール&レスポンスでフロアを盛り上げると、そのまま「追求」に繋げて、怒濤の勢いでライヴを転がしていく。"もっともっと新しい刺激をどんどん落としていけるように頑張っていきたいと思います。今日ここに来てくれたみんな、私たちのことを観れてとてもラッキー! これからも付いて来てください! ステミ(ステミレイツ)が天下を取るぞ!"。かなちの宣言から、「イナズマ」ではあきらのスラップが飛び出し、フロアを激しく揺らしていくと、続く「刺激」では沸き起こるオイコールと絡み合うように輝星がギターを轟かせ、再び披露された「Antimental」で、私は私のため歌い続けるとゆきっぺが叫ぶように不屈の闘志を叩き付けた。

残すところあと1曲となったところで、今後のライヴ・スケジュールを続々と発表。ステミレイツは、10月から全国各地を回りつつ、2025年1月12日には彼女たちが1stライヴを行った渋谷duo MUSIC EXCHANGEに立つことになっている。オーディエンスを喜ばせると、ゆきっぺが客席に語り掛け始めた。

"3人になって本当に不安で怖かったけど、頼りがいのある3人が入って来てくれて。この6人で舞台に立ちたい、頑張りたいという気持ちで、1ヶ月間突っ走ってきました。そして、励ましの言葉をくださる人、変わらず足を運んでくれる人、いろんな方に応援されて復活できました。ステミレイツの6人と、皆さん全員の夢を背負って、ここからも進んでいきます。皆さんに最高の景色を見せ続けます。これからも付いて来てください!"

そして、ラスト・ナンバーとして、再び「dream walker」を披露。いつまでも冷めることのない夢や、憧れていた光へ目掛けて、まっすぐに手を伸ばす。そんな泥臭くもストレートな歌を高鳴らし、復活のステージを締めくくった。ライヴのエンディングでは、この日出演した盟友たちのサプライズに涙するメンバーの姿も。輝星が"本当に素敵なメンバーが入ってきてくれて、今日のライヴだけで表すことができた"と、この日の手応えをステージで話していたが、この日のライヴを観ていて、ステミレイツとしてこんなライヴがしたい、こんなパフォーマンスがしたいという、自分たちが思い描いていたイメージをしっかりと具現化できているような印象が残った。もちろん本人たちとしてはまだまだ追求していきたい部分もあるとは思うのだが、鮮烈な第2章の幕開けを目撃できた喜びや興奮と、ここから始まっていく6人の未来への期待が膨らまずにはいられないステージだった。

[Setlist]
1. dream walker
2. EVOL AI
3. Antimental
4. TWILIGHT
5. AnimaZ
6. 追求
7. イナズマ
8. 刺激
9. Antimental
10. dream walker

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