LIVE REPORT
THE MADNA
2023.12.26 ＠新宿BLAZE
Writer : オザキケイト
2年前のこの日、この場所（新宿BLAZE）でTHE MADNAは産声を上げた。この2年間を振り返りながら"3日に1回のペースでライヴをしてれば、そりゃ成長もするわな！"と高々に笑い飛ばしたが、コロナ禍でのバンド結成とライヴ活動というものがいかに難しいものだったかは想像に難くない。それでも彼らはこの苦境を唯一無二のミクスチャー・サウンドと四者四様のキャラクターを武器にシーンの中でもめきめきと頭角を現し、新時代を引っ張る若手の筆頭に名乗りを上げたのだ。そんな新時代ヴィジュアル系シーンの急先鋒とも言えるTHE MADNAがバンド初となるフル・アルバム『ElecTЯiP』を引っ提げ行った"THE MADNA ElecTЯiP TOUR'23 「ELECTRIP PARADE」"のファイナル公演が12月26日に新宿BLAZEにて開催された。本稿では、彼らにとっての因縁の地で行われた灼熱の一夜の模様をお届けする。
定刻を少し過ぎ、場内が暗転すると勢いよく登場したTHE MADNAの4人をオーディエンスが大きな歓声で出迎えた。"2年前の今日、俺らはこの場所で始まった！ 見せてやるよ、かかってこいBLAZE！！"と涼太（Vo）が吠えると、2年前と同じく「MAD GAME」でライヴの火蓋は切って落とされた。続く「ビューティフルワールド」や「CREAM SODA」では、打って変わって持ち前のポップ・センスを発揮しTHE MADNAの楽曲の幅の広さを見せつけると同時に、彼らが"うるせぇな 好きだからやってんだ あ？／シーンがどうだとか何だとか俺には関係ない（「MAD GAME」）"と吐き捨てた2年前から"肩で風切って我が道すすめ 在りの侭、在るが儘に（「CREAM SODA」）"と歌う現在に至るまで、バンドのスタンスが一切ブレていないことも示してみせた。
また、ここでTHE MADNAと新宿BLAZEとの因縁に関しても説明しなければならない。前述した通り、彼らは2年前のこの日、新宿BLAZEにて行われた"THE MADNA 1st GIG 「ザ・ファーストリップ。」"にて産声を上げ、ことあるごとにこの会場でライヴを行ってきた。MCでも触れられていたが、彼らにとって新宿BLAZEを満員にするということがひとつの目標であったという。しかし、2024年7月をもって新宿BLAZEの閉店が決まり、THE MADNAにとってこの日が最後の新宿BLAZEとなったわけなのだ。
それに対して"勝ち逃げさせるわけにはいかないから、一致団結して宿敵 新宿BLAZEを全員でぶっ倒しに行こうぜ！"と中指を立てながらファスト・チューン「GiANT KiLLiNG」をドロップ。ここからもかわいらしい「PrairieDOG」、エレクトロ・サウンドが心地よい「8mmBOMB」、フロアを一転トリップさせた「蠢」とひと筋縄ではいかないフリー・スタイルなミクスチャー・サウンドでTHE MADNAの世界を構築していく。
中盤戦に差し掛かると、彼らのシリアスな一面が顔を覗かせる。"死"を連想させる言葉の暴力を歌った「SHINE」では涼太が感情を剥き出しにして叫ぶ姿は痛々しく、その姿からは"生"へのかすかな光を感じることができたし、「ジェリーフィッシュ」でも同様に"生"への希望を見いだす姿を見受けられた。そして、このセクションを締めくくった「Pendulum」で"この一瞬のために俺らは生きてる"と自分たちの存在を証明するために"生"のその先にある運命に抗って生きることを高らかに宣言してみせ、"死"から"生"を経て希望を見いだすまでのコントラストを美しく描いてみせた。
ここからライヴは終盤戦。ブラック・ミュージックのエッセンスを感じる「東京BAD STREET KING」で朋（Ba）と理緒（Dr）のリズム隊はグルーヴィなリズムを響かせ場内を揺らすと、『ElecTЯiP』で一番のラウドさを持つ「完全世界」では太嘉志（Gt）のヘヴィなリフでオーディエンスを狂乱の渦へ叩き落とす。するとフロアのボルテージも最高潮で「sweet dream」ではヘッドバンギングで応戦し、それに対し涼太は"とどめ刺しにいくぞ！！"とフロアをさらに焚きつけ「OUTLAW」を投下。この日一番の熱狂を作り上げ、"お前ら最高だ！"と最大の賛辞を贈った。
そして、この日最後に届けられたのはTHE MADNA流のパンク・ナンバー「極彩色」だ。"不揃いだった僕らは いつの日か同じ夢を描いていた"という4人の想いは"いつか僕の夢が君の夢へと繋がりますように"という願いに変わり、共に夢を追いかける同志となっていくのだろう。それに、音楽業界の歴史上でも一番の苦難の時代であったこの2年間を乗り越えた彼らならこの先どんな困難が訪れても乗り越えてくれそうな気がするのだ。
――あの頃は良かったなって言いたくねぇじゃん。今が一番って言いたいじゃん。
とはMCで涼太が口にした言葉だが、こうして彼らは過去を振り返ることなく常に前だけを見据え、我が道を行く。未来を作るには、まず目の前の今日という1日から。きっとその先にTHE MADNAにしか作ることのできない極彩色な未来が広がっているはずだ。また、彼らは"シーンがどうだとか何だとか俺には関係ない"と吐き捨てたが、自らのスタイルを追求する姿勢こそがヴィジュアル系の本質であるし、彼らのような存在こそがシーンに対して"あの頃は良かった"と口を揃える懐古主義者に一発かます存在になるのだと願っている。
[Setlist]
1. MAD GAME
2. ビューティフルワールド
3. CREAM SODA
4. GiANT KiLLiNG
5. PrairieDOG
6. 8mmBOMB
7. 蠢
8. グロテスク
9. fanciful suicide10. SHINE
11. ジェリーフィッシュ
12. Pendulum
13. 東京BAD STREET KING
14. 完全世界
15. sweet dream
16. OUTLAW
17. 極彩色
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