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INTERVIEW

THE MADNA

2023.10.24UPDATE

2023年11月号掲載

THE MADNA

Member:涼太(Vo) 太嘉志(Gt) 朋(Ba) 理緒(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

ズルすぎるバンドの登場である。"THE MADNA"と書いて"マドンナ"と読むこのバンドは、"MAD"なDNAを持つ新種にして異端なV系ミクスチャー・ロックを体現する一団ということになろうか。1stフル・アルバム『ElecTЯiP』では大胆にラウドなアプローチを見せる曲もあれば、派手な方向に振り切ったポップ・チューン、はたまたディープ且つシリアスに聴かせるタイプの曲など、全曲が多彩な方向性で突出した仕上がりになっている様は、もはやズルくて卑怯なほど。始動から2年も経たないうちに、これだけの完成度と破壊力を誇るアルバムを提示してくるとは末恐ろしい。どうやらこのTHE MADNAの名は伊達ではなさそうだ。


"ズルいな"とか"卑怯だな"って思われたいし、そう思わせたら俺の勝ちです(笑)


-THE MADNAにとって1stフル・アルバムとなる『ElecTЯiP』がここに完成したわけですが、広報用資料には"これが4人の男の生涯を賭けた一枚だ!"とのコピーがありますね。そして、1曲目にしてリード・チューンとなる「極彩色」には"生涯を賭けた一枚 ダヴィンチも驚く最高傑作"という歌詞もあります。つまり、今作はそれだけの強い気概を込めて作られた作品である、ということなりますか。

涼太:まぁ、その宣伝コピー自体は「極彩色」の歌詞からスタッフの方が考えてくれたもので、俺も最初は"すごい勢いの言葉だな"って驚いたんですけど(笑)、THE MADNAにとって今回の作品がそのくらい大事なものであるのは確かに事実なんです。

-なるほど。そんなTHE MADNAは今回激ロックに初登場ということになりますので、まずはここまでの流れを少しおさらいさせてください。まず、始動されたのは2021年12月だったそうですが、現在のメンバー4人が集結することになった経緯について教えていただけますでしょうか。

涼太:2021年の春に自分がずっとやってたバンドが解散して、そこから"またバンドやりてーなぁ"って思ったときに、真っ先に顔が思い浮かんだのがギターの太嘉志とベースの朋の存在だったんです。彼らふたりはもともと同じバンドをやっていて、当時はそのバンドが休止している状態だったんですけど、とにかく僕としてはふたりと一緒にやりたかったのですぐに声を掛けました。

-涼太さんから声を掛けられた際、太嘉志さんはそれをどう受け止められたのです?

太嘉志:これ、嘘臭く聞こえるかもしれないんですけど、実は僕も新しくバンドを組むならヴォーカルは涼太しかいねーなと思ってたんですよ(笑)。

-素晴らしい。魚心に水心だったわけですか。

太嘉志:ただ、前に俺と朋のやってたのがちょっと特殊な感じのバンドだったんで、涼太のほうからするとこっちに対しては"あんまりいいイメージ持ってないだろうなぁ"と思い込んでいたところがあったんです。

朋:音的にはTHE MADNAよりもかなり偏ってるというか、結構激しくてラウド寄りでしたからね。

太嘉志:だから、なかなかこっちからは声を掛けにくいところがあったんですけど、幸い涼太のほうから声を掛けてもらえたんで、そのときはほんと嬉しかったです。

-その後、ドラマーの理緒さんはどのような経緯で加入されることになったのです?

涼太:ドラム、誰かいい人いないかな? ってしばらく探してたんですよ。で、そんなときに観に行ったライヴでキラキラ光り輝いてた理緒を見つけたんです(笑)。

理緒:ステージの奥に引っ込んでたはずなのに(笑)。

涼太:でも、光ってたからね。だからすぐに誘って入ってもらうことにしました。

-なお、今回のフル・アルバム『ElecTЯiP』でTHE MADNAは各曲で多彩な音楽性を提示されている印象です。この4人が揃って始動した当初から、バンドとしての方向性はすでに定まっていたことになりますか?

涼太:いや、全然。自分たちなりのミクスチャー・ロックを作っていきたいという気持ちは初めからありましたけど、それが固まっていくまでには1年くらいかかりました。

朋:2021年12月に始まって、2022年は年間90本以上のライヴをやったんで、その活動の中でどんどん固まっていったところがありましたね。

-ちなみに、THE MADNAにおいて各メンバーはいかなる役割を果たされているのか、ということもここでうかがっておきたいです。まず、理緒さんからお願いします。

理緒:さっきもちょっと言ったんですけど、ドラマーってステージでは後ろに引っ込んでるポジションですし、僕自身ライヴで目立ちたい! みたいな意識はまったくないんですよ。そういう意味で、自分の役割はドラマーとしてのきちんとした演奏、そしてライヴ・マニピュレートをほかの3人のメンバーにとってベストなタイミングで組み上げていく、ということだと思ってます。

-きっと、理緒さんは職人気質でいらっしゃるのですね。

理緒:あぁ、だいぶそういうところはありますね。ドラムのプレイ・スタイルも、その傾向は強いです。タイトな演奏が好きなので、シーケンスと合わせて叩くのは得意ですし、今回の『ElecTЯiP』でもその持ち味は生かせていると思います。

-では、朋さんのTHE MADNAにおける役割とは?

朋:雑用係ですかね(笑)。あとは、音的な面だったら自分はベースなんで、各楽器をくっつける接着剤的な役割をこなしてる感じかもしれないです。

-偏見かもしれませんが......この朋さんの尖りまくったヴィジュアルを見ると、接着するというよりは"すべてを引き剥がす!"くらいの勢いを感じてしまうのですが(笑)、実際はお話しされるトーンも落ち着いていらっしゃいますし、音の面でもバランス感覚を重視されている方なのですね。いやはや、人は見かけによりません。

朋:そうなんですよ。こう見えて、意外と演奏は大人しくて真面目なんです(笑)。

理緒:でも、真面目なのはあくまでも手元だけですね。ライヴだと、全体的なパフォーマンスはめちゃめちゃ暴れてます(笑)。

-太嘉志さんの場合、THE MADNAの中での役割はどのようなものになりますか。

太嘉志:自分は、基本的に楽曲面をトータルで担っていることになるんですかね。

-今回のアルバム『ElecTЯiP』では、作曲クレジットはすべてTHE MADNA名義となっておりますけれど、主にイニシアチヴを取られているのは太嘉志さんなのですね。

太嘉志:はい、たぶんそういうことになるんだと思います。もちろん、自分はこのバンドのギタリストでもあるんですけど、これは悪い意味じゃなく、よりクリエイターとして楽曲全体のほうに意識を向けているところが大きいんです。

-一方、THE MADNAのフロントマンである涼太さんはバンドの顔であられるわけですが、ご自身の役割についてはどのように捉えていらっしゃいますか。

涼太:取っつきやすい兄ちゃん、みたいな存在感はあるんじゃないでしょうか(笑)。

-ヴォーカリストとしては、曲によってラップを駆使されているケースもありますし、歌い上げているものもあれば、相当アグレッシヴに攻めているものもあり、今作『ElecTЯiP』でもたくさんの表情を巧みに使い分けていらっしゃる印象です。

涼太:わかりやすく言うと、自分のヴォーカル・スタイルは"いいところの詰め合わせ"なんですよね。自分がこれまで音楽を聴いてきた中で、いろいろいいなと思ったものを自分なりに取り入れてる感じというか。だから、THE MADNAの音楽を聴いた人には"ズルいな"とか"卑怯だな"って思われたいし、そう思わせたら俺の勝ちです(笑)。

-やはり、そういうことでしたか。実は、1stフル・アルバム『ElecTЯiP』を聴かせていただいて感じたのは、まさに"このバンドは売れる気しかないな"ということだったのですよね。"人にわかってもらえないとしても、俺たちはやりたいことをやるぜ!"というタイプのバンドとは真逆な、強烈なほどの"なんとしても売れてやる!"という野心を音や歌詞から色濃く感じたのです。

朋:それ、間違ってないですね(笑)。

涼太:ほんと、当たってます。やっぱり、自分としてはこのバンドでもう最後にしたいっていう気持ちが強いんですよ。だからこそ、1曲目でリード・チューンにもなってる「極彩色」で"生涯を賭けた一枚"っていう歌詞も書いたし、そこだけじゃなくても結局いろんな形で染み出ちゃいますよね(笑)。