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INTERVIEW

THE MADNA

2024.03.19UPDATE

2024年03月号掲載

THE MADNA

Member:涼太(Vo) 太嘉志(Gt) 朋(Ba) 理緒(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

MADなDNAを持つ新種にして異端なV系ミクスチャー・ロックを体現する一団、THE MADNAと書いて"マドンナ"と読むこのバンドは、今とても明確な意思のもと最新シングル『BLAZE』を完成させたようだ。フロントマンの涼太いわく"聴いてくれる側に対して「刺しに行きてぇな」っていう気持ち"で作り、そして歌ったという表題曲はもちろんのこと、カラフルな仕上がりだった1stフル・アルバム『ElecTЯiP』(2023年リリース)とはまた違った方向からのアプローチが光る新曲たち「SPLATTER」、「FUCK'N DEAR×××」(※Type-Bのみ収録)も含めて、今作の楽曲たちはここから始まるツアー"THE MADNA TOUR'24 炎上光彩"において大暴れしてくれそうだ。

-昨年秋、THE MADNAは1stフル・アルバム『ElecTЯiP』で多彩且つ多角的な表情をいろいろと見せてくれておりましたが、今回のニュー・シングル『BLAZE』はある意味で方向性を定めた仕上がりになっている印象です。この作品における狙いとは、どのようなものだったのでしょうか。

涼太:アルバムとのギャップを見せたい、っていうのはまずありました。『ElecTЯiP』のときは音の面でもイメージの部分でもカラフルなところがあったと思うんですけど、今回のシングル『BLAZE』ではTHE MADNAの持っているブラックな部分を全面に出していくことを意識したんです。表題曲だけじゃなくて、カップリングとして入れた「SPLATTER」と「FUCK'N DEAR×××」も、曲調は別としてそのコンセプトはどれも共通していたものですね。

-THE MADNAの場合、作曲クレジットはバンド名義となっております。表題曲「BLAZE」については、どのような過程を経て生まれたものだったのでしょうか。

太嘉志:基盤となるデモは自分が作りました。それを各パートにフレーズをアレンジしてもらって、といういつも通りの感じでできていきました。音を仕上げていくときに最も意識していたのは"人間味がある音"を軸にすることで、シンセ類はあんまり入れずに各メンバーのプレイを引き立たせていくことを考えてました。

-ドラマーである理緒さんは、今回「BLAZE」のデモを受け取った段階でどのような印象を受けられましたか。

理緒:感覚的には、自分が初めて触れたヴィジュアル系に近い雰囲気をこの曲からは感じました。2008年前後くらい? のNIGHTMAREさんとか、あの頃に流行ってた音に近いものを「BLAZE」に対しては感じたんです。

-ベーシストである朋さんは、この「BLAZE」に対してはどのような曲であると解釈されましたか。

朋:この曲って、最初はもうちょっとバラード寄りというか、ブラックな部分はありつつ少し落ち着いた曲調だったんですよ。ほぼ同時期に3~4曲を作っていた中のひとつがこれで、表題曲を「BLAZE」にしようと決まってアレンジを進めていった結果、こういうテクニカルな要素の詰まった形になっていったんですよね。

-ちなみに、ほぼ同時に作られていたという3~4曲の候補曲から今回「BLAZE」を表題曲として選抜した決め手とはなんだったのでしょう。

太嘉志:涼太を筆頭に決めました。さっき朋も言ってた通り、たしかに最初は「BLAZE」ってもうちょっと歌モノ寄りだったんですよ。だけど、今回のシングルではTHE MADNAとして今までやってなかったテイストを打ち出したかったし、表題曲としてのインパクトも欲しかったので、この完成形には各メンバーの感情を乗せやすいフレーズとか、人間らしいエモいフレーズを入れていくことになったんです。そこを追求したら、こういうテクニカルな要素が詰まった音になりました。

-イントロからしてキックの踏み込み具合も激烈ですし、ギターのタッピング度合いも相当です。明らかにバンドとしての攻めの姿勢を提示した音になっておりますね。

太嘉志:ベースも含めて、ほんと「BLAZE」では各パートとも結構細かいことをやってます。しかも全体的にかなりアグレッシヴなサウンドになったので、これは激ロックさんを読んでる人たちに刺さるような曲になった、と言っても過言じゃないです(笑)。

-それだけ激しくダークな音に仕上がった「BLAZE」ですが、歌詞の面での"歌いたいこと"の焦点は、涼太さんの中で今回どのように定まっていったのでしょうか。

涼太:曲ができる前から、次に出すシングルのタイトルは"BLAZE"にしようって決めてたんですよ。理由は単純で、僕らって始動ワンマン・ライヴ("THE MADNA 1st GIG 「ザ・ファーストリップ。」")をやったのが新宿BLAZEだったんですね。そこから周年記念のライヴも毎回(新宿)BLAZEでやってて、去年の12月26日が2周年だったんですけど、2024年の7月に閉店するっていうことを去年の夏の段階で知ってたから、そうなると"BLAZEでの周年ライヴは次("THE MADNA ElecTЯiP TOUR'23「ELECTRIP PARADE」-TOUR FINAL-")が最後になるのか......"って思って書き出したのがこの詞でした。

-これは新宿BLAZEへの謝意を捧げる曲でもあったのですね。

涼太:もちろん、"BLAZE"っていう単語には"閃光"とか"燃やす"みたいな意味があるし、燃えた火が消えるみたいに終わる命の儚さとか、スラング的にはマリファナに火をつけるっていうふうに使うこともあるみたいなんで、そういうものも絡めつつ、いろいろと合わさって交じり合ったうえでの"BLAZE"っていうタイトルが、今回は自分の中ですごいしっくり来たっていう感じですね。俺、昔タバコ吸ってたことがあるんですけど、タバコの火もちょっと人生みたいに見えたりするんですよ。吸ってるときは気分いいし、でも時間とともに灰が落ちて、最後は火が消えてっていうあの感じが。

-なるほど。線香花火が燃えるのを見ているときにも似たような気持ちになることがありますが、この「BLAZE」の詞が"火を灯し吸い込んだ"という一節から始まり、途中には"全てが灰になるまで燃やし尽くせ"というフレーズが織り込まれているのは、まさにそういうことだったのですね。しかも、この「BLAZE」の詞はカップリングの「SPLATTER」と「FUCK'N DEAR×××」の詞とも微妙にリンクしていませんか?

涼太:あぁ、遠くはないです。「SPLATTER」と「FUCK'N DEAR×××」も描き方はそれぞれ違うけど、どちらも死とか人生をモチーフにした歌詞になってるので、3曲とも壮大なテーマの輪の中には入っていることになると思います。

-それから、この「BLAZE」の詞に歌メロをつけていく際に何か留意されていたことがあれば教えてください。

涼太:サビがとにかく"ザ・サビ"な曲なんで、そこは大事にしていきました。でも、たぶんそういう面で一番苦労したのは朋なんじゃないですかね。うちはプリプロの段階で4人全員がいつも歌メロを出し合うんですけど、そこから最終形のこのメロに辿り着くまではちょっと普段より大変だったのかなっていう印象でした。

-作曲にメンバー全員が関わるという話はそう珍しくはないものの、メンバー全員がいつも歌メロを出し合うというのはTHE MADNAの特性かもしれませんね。

涼太:面白いですよ。4人とも持ってる引き出しが違うから、それぞれ出したメロの中から一番いいのをパーツごとに組み合わせていけるし、逆に"あれ? このメロ、俺と朋の同じやん!?"ってなることもあったりしますから(笑)。

-以心伝心というやつでしょうか??

涼太:きっと、そういう曲はもうそのメロしかありえないっていうことなんでしょうね。4人で作ってるとそういう発見がいろいろあるから楽しいです。

-とはいえ、朋さんからすると「BLAZE」の歌メロには試行錯誤されたわけですね?

朋:これはなかなか大変でした。最初はみんなでメロを持ち寄って、それを組み合わせてっていつもみたいにやってたんですけど、そこからさらにブラッシュアップしていくときに太嘉志と俺のふたりでスタジオに入って曲をいじっていくうちに、"この歌メロはより磨いていく必要がある"ってなったんですね。ただ、俺は歌いながらメロディを作るんで、太嘉志からOKが出るまでそこから延々と歌い続けるみたいなことになっちゃって。ライヴ終わりの夜にスタジオ入って、そのまま朝までずっと歌い続けたときは正直しんどかったです。喉から血が出るんじゃないかっていうくらい歌いました(笑)。