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LIVE REPORT

luz

2021.12.29 @Zepp Haneda(TOKYO)

Writer 山口 哲生 Photo by 小松陽祐(ODD JOB)

4thアルバム『FAITH』を手に、全国7都市を回るワンマン・ツアーを開催したluz。そのツアー・ファイナルとなったZepp Haneda(TOKYO)に足を運ぶと、開演前の場内には、厳かで神々しい宗教音楽が流れていた。暗転と共にそれがゆっくりとフェードアウト。闇を彷彿とさせる煽動的なSEに切り替わり、ステージを覆っていた黒幕がゆっくりと開いていくと、目に飛び込んできたのは、教会のレリーフを思わせる特大のバックドロップだ。"信仰"をテーマに掲げたアルバム・ツアーのオープニングに、これほど相応しいものもないだろう。

サポート・メンバーであるRENO(Gt)、MiA(Gt)、MASASHI(Ba)、LEVIN(Dr)の4人が登場したあと、ゆっくりとステージに姿を現したluzは、1曲目の「SPIDER」から気合の入ったヘッドバンギングと伸びやかな歌を届けていき、高まったフロアのボルテージをさらに引き上げるように、「ブラックレディー」へとなだれ込んでいく。サポート・メンバーたちは超絶技巧を織り交ぜつつ、颯爽とステージを走り回ながら伸び伸びとプレイしていて、その姿は"ソロ・アーティスト+サポート・バンド"という構図ではなく、"バンド"という一個体のように見える。あとのMCでわかったことなのだが、今回のツアーはその行程もさることながら、サポート・メンバーもいろいろなアイディアを持ち寄り、常にステージングをブラッシュ・アップし続けていたとのこと。5人の信頼や絆が、より深まってきていることがひしひしと伝わってきた。

繰り出されるサウンドはヘヴィでダークな手触りながらも、luzの音楽の最大の魅力は、やはり彼の艶やかな歌声にある。メロウ且つブルージーなセッションで幕を開けた中盤戦では、そんな彼の持ち味が存分に生きる楽曲を立て続けに披露。自作曲の「Rose」や「棘 FAITH ver.」など、どこか退廃的でジャジーなサウンドの上で妖艶な歌声を響かせ、オーディエンスを魅了していた。

"キョウソ スウハイ"というフレーズに合わせ、オーディエンスが儀礼的な振付を繰り広げた「涅槃」から突入した後半戦は、「Identity Crisis」、「Dearest, Dearest」と、ハード・ナンバーと激しい煽りで再びフロアを焚きつけていき、luzのアカペラから始まった「FAITH」で迎えたピークを更新するように、「FANATIC」の強烈な重低音が空気を激しく震わせる。ちなみに、本編ではMCは一切なし。流れを途切れさせずに駆け抜けることで、自身が打ち出したい音楽や世界観、ライヴの光景を描いていく姿はとにかく清々しく"自分がやりたいと思う音楽でみんなに認めてもらいたい"、"自分が信念を持ってできる音楽を続けていきたい"と、アンコールで自身の思いをフロアに語り掛けていた。そんな情熱を強く持ちつつサポート・メンバー、スタッフ、オーディエンスに感謝をまっすぐに伝える彼の姿勢が、周りにいる多くの人たちを動かしているのだろう。

ラスト・ナンバーは「Despair」。まばゆいまでの光が差し込むような壮大なサウンドスケープが描かれるなか、"いつかこの曲でみんなの声が聞こえるときが来るまで頑張るから、また絶対会おう!"と叫ぶluz。いつか訪れる未来を祝福するように、ステージ頭上からは真っ白な雪が降り注ぐ、なんともドラマチックなエンディングで2021年を締めくくった。なお、この公演の模様は、1月29日にStreaming+ほかにてオンライン配信が決定。それに合わせてセットリストのプレイリストが公開されているので、ぜひとも彼の音楽に触れていただけると幸いだ。


[Setlist]
1. SPIDER
2. ブラックレディー
3. ドローレ
4. DISORDER
5. Void
6. ダーリン・ブルー
7. Rose
8. 棘 FAITH ver.
9. 涅槃
10. Identity Crisis
11. Dearest, Dearest
12. FAITH
13. FANATIC
En1. Labyrinth
En2. Glare
En3. Despair

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