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LIVE REPORT

山嵐

2020.01.19 @代官山UNIT

Writer 荒金 良介 Photo by HayachiN, TAKAHIRO TAKINAMI

山嵐の再録ベスト作『極上音楽集』に伴う全国ツアー、21本目にあたるファイナル公演は代官山UNITで開催。この日は山嵐と同じキャリアを持ち、23年間で一番対バンしているというDragon Ash(5人編成)が一番手で登場した。ド頭から「未体験ゾーン」、「CROWS」と本家の十八番を奪うまさかのカバー2連発! 特に後者は漆黒のヘヴィネスで攻め立て、満杯のフロアを激しく揺さぶる。その流れを引き継ぐように、スクラッチ入りまくりのTHEミクスチャー曲「Mix It Up」もプレイして、会場の温度を引き上げた。

そして、昨年9月に配信されたデジタル・シングル「Fly Over feat. T$UYO$HI」を披露。T$UYO$HI(The BONEZ/Pay money To my Pain)のベースが轟く重厚なロックを叩きつけたあと、けたたましいドラムンベースが鳴ると、THE MAD CAPSULE MARKETSの「Pulse」が炸裂した。デジタル/ミクスチャー・ロックの先人に敬意を表したカバーに観客も飛び跳ねて応戦。"山嵐は(年齢的に)1個上で、めっちゃ大きな背中を見せてもらってる"とKj(Vo/Gt)はMCして新曲「Dialog」を挟んだのち、「Jump」、「Fantasista」と鉄板曲を畳み掛け、ラストは「A Hundred Emotions」で締めくくる。柔らかな歌メロから徐々に螺旋階段を駆け上がる激越なアンサンブルに魅せられた。

19時15分、山嵐が初期にSEで使用していたPROPELLERHEADSの「Take California」が流れ、SATOSHI(Vo)、KOJIMA(Vo)、KAZI(Gt)、YUYA OGAWA(Gt)、武史(Ba)、石井芳明(Dr)、KAI_SHiNE(Maschine)が現れると「希望の鐘」でスタート。すかさずKORN譲りのヘヴィネスで迫る「山嶺」へ。フロアは火がついたように活気づき、「HANDS UP」、「80」でさらに勢いは加速するばかり。「パカパカ」、「未知のパーフェクション」とベスト作通りに和テイストの強い2曲をシームレスに繋ぐ。当時ジャジーなテイストで新境地を切り拓いた「WIDE VISION」もいいフックになっていた。

中盤に入ると、彼らの出世作である2ndアルバム表題曲「未体験ゾーン」へ。ツアー初日は音源通りに妖しげなイントロ部分も再現していたが、ここではいきなりギター・リフを刻みつけ、場内は騒乱状態と化す。今から20年前に発表された楽曲だが、バネのごとき伸縮するグルーヴは微塵も風化していない。「HEADBANG」でさらに攻め立てたあと、"(ファイナル公演を迎えて)次が始まる気がする。まだまだ一緒に旅してくれますか?"とKAI_SHiNEが熱く呼び掛け、壁にブチ当たろうと栄光の道を突き進めと歌い上げる「Go Your Way」では、心に静かな炎を灯してくれた。後半は再録ベストの中で最もアレンジを変えた「ホログラム」を見舞い、特に深淵な広がりを見せる後半の展開は観客もジャンプしてノっていた。残り2曲となり、ゴリゴリにヘヴィな「CROWS」でSATOSHIはフロアにダイブし、ラスト曲「PRIDE」も最高潮の盛り上がりを記録する。アンコールに応えると、「山嵐」、「BOXER'S ROAD」と聴き手のハラワタをえぐる凄まじい破壊力を発揮する。さらに、予定外に「Ride with us」を放ち、ピースフルな空気でライヴを締めくくった。

今の山嵐はメンバー7人が一枚岩と化し、史上最狂のグルーヴを放出している。精神、肉体の両面で過去最高にバンドが研ぎ澄まされた状態であることは、ライヴを観れば明々白々である。今ツアーの充実ぶりは間違いなく次作に生かされるだろう。ミクスチャー・ロックの反撃はここから始まるのだ。

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