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LIVE REPORT

魔法少女になり隊

2018.06.22 @代官山UNIT

Writer 吉羽 さおり

1年ぶりの開催となった魔法少女になり隊の自主イベント"魔法少女になりな祭"の東京2デイズ初日。この日ゲストとして迎えられたのは、POLYSICS。魔法少女になり隊のgari(VJ/Vo)いわく、"自分の喋りはハヤシ(Gt/Vo/Syn/Prog)さんからの影響が大きい"というくらいPOLYSICSが大好きで、魔法少女になり隊のライヴでもハヤシに負けないくらいに"TOISU!"コールを連発......ということで、サブ・タイトルは愛とリスペクトを込めて"トイスと叫び隊"となった。そんな後輩からのオファーに応えたPOLYSICSのライヴは、いつにも増して容赦ない飛ばしっぷりだ。"やってきたぜ代官山! TOISU! と叫びたーーい!"というハヤシの挨拶から「MEGA OVER DRIVE」、「SUN ELECTRIC」と高速のピコピコ・チューンでステージを暴れまわって、フロアの拳を振るわせる。特に「Tei! Tei! Tei!」から「ワトソン」へというカオティックなパンク・ナンバーの連打でノイズの飛沫を乱暴に撒き散らしていく流れが最高だった。ギタリストとしてナカムラリョウ(Gt/Vo/Syn)が加入し、よりソリッドで破壊力満点のバンド・サウンドへとビルドアップした、音の迫力と圧力が凄まじい。4人で一斉に別々のことを喋り始め、収拾をつけることなく次の曲へと入っていくMCをするなどと、もし初めて観る人がいたならば、置いてけぼりを食らうこと間違いなしの、捻くれたPOLYSICSのライヴで魅せた。gariにとって、魔法少女になり隊にとって、最高のツーマンの相手であり、気合が入るところだろう。

POLYSICSから熱々のバトンを受けた魔法少女になり隊は、頭から終わりまでフル・パワーで駆け抜けていくようなライヴとなった。カラフルなチップ・チューンとラウドが衝突、爆発したサウンドと、目がチカチカするRPG的な映像も駆使したステージは、実に目まぐるしくポップ。「KI-RA-RI」、「完全無敵のぶっとバスターX」、そして「おジャ魔女カーニバル!!」と冒頭の3曲からボルテージはマックスで、火寺バジル(Vo)がグッとステージからせり出してキュートな笑顔で歌いながら、フロアにコールを巻き起こすと、gariがステージ中を駆け回ってシャウトをきめ、ヘッドバンギングをし、観客の興奮を煽る。わちゃわちゃとしたノリはあるけれど、ウイ・ビトン(Gt)と明治(Gt)が両サイドでバンドの手綱を締めつつ、サウンドや流れに抑揚をつけている感覚だ。中盤には、6月20日にリリースされた4thシングル『▶START』からの3曲、「シェキナゴン」、「▶START」、「変幻自在のスパーキングZ」も披露された。発売直後だが、特に初のタイアップ曲となった「▶START」は、誰もが知っている童謡の「アルプス一万尺」のキャッチーなメロディを大胆に取り込み、ハイパーな魔法少女になり隊のラウドでポップな1曲へと仕立て上げたもので、その盛り上がりの着火の速さは抜群だ。大きなコールとジャンプでフロアをもみくちゃにし、またサウンド的にも、熱いギター・ソロがあり、高揚感のある作りで、これからのライヴでもしっかりとキーになっていく曲だろう。一体感を生む曲で、ポジティヴなメッセージもすんなりと響く。そして後半は、「革命のマスク」、「BA・BA・BA ばけ~しょん」と、切ないメロディとスクリームをバーストさせる曲で始まり、ファストなビートにメタリックなギター・リフが冴える「願い星」でヘッドバンキングやモッシュを生み出しながら、ラストの「ヒメサマスピリッツ」でさらにド派手に暴れまくっていく。アンコールで飛び出したのが、冒頭に書いたgariのMCだったのだが、大好きなバンド=POLYSICSのライヴでたっぷりと貰った栄養を、バンドのパワーに変換した、ツーマンならではの互いの意地を見たライヴとなった。

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