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LIVE REPORT

ONE OK ROCK

2015.07.11 @さいたまスーパーアリーナ

Writer 山口 智男

5月9日の静岡公演を皮切りに全国11都市のアリーナを回って、計22公演を行った「ONE OK ROCK 2015 "35xxxv" JAPAN TOUR」がいよいよ終わろうとしている。自分たち以外の音楽も聴いて欲しいという願いを込め、全公演にCrossfaith、SiM、coldrainら、サポート・ゲストを迎えた今回のツアー。その終着地となるさいたまスーパーアリーナ公演をサポートしたのは、このためだけにアメリカからやってきたTyler Joseph(Vo/Pf)とJosh Dunn(Dr)の2人組、twenty one pilotsだ。 
今年5月にリリースした2ndアルバム『Blurryface』が全米アルバム・チャートで初登場1位に輝いた彼らは、同アルバム収録の「Heavy Dirty Soul」から日本でテレビCMに使われヒットした「Guns For Hands」まで、30分ほどのショート・セットながら熱演を繰り広げ、彼らのライヴは初体験という人が多かったに違いない客席を大いに沸かせた。ラップ、レゲエ、ピアノ・ポップといったさまざまな要素が入り混じる曲の魅力もさることながら、ピアノの上からキメたJoshのバク宙を始め、エネルギッシュな2人のパフォーマンスにONE OK ROCKのファンが大歓声や拍手を送ったり、Tylerが求めるままジャンプしたり、コール&レスポンスに応えるなど、2人を大歓迎する光景は見ながらとても気持ちがよかった。ラストの「Guns For Hands」ではTylerとJoshをアリーナのオーディエンスが支えながらフロア・タムを打ち鳴らすお馴染みのドラム・パフォーアンスも披露! ダメ押しで超満員の会場を盛り上げた。

その熱気を受け取ったONE OK ROCKのライヴは「Fight the night」でスタート。暗闇の中、流れ始めたSEに大歓声が沸き起こり、横一列に並んだ4人のシルエットが照明に浮かび上がる。ピアノとシンセの音色も加えたアンビエントなバラードからの始まりに意表を突かれながら、バラードだからこそわかるTaka(Vo)の歌声の力強さにすっかり聴き惚れていると、暗転から目の前の景色を一気に変えるように「The Beginning」「Memories」と畳み掛け、演奏は一気にヒートアップ! 
"ここにいる全員に俺らのすべてを見せてやるからな。最後までついてこいよ!"とTakaが最高のライヴを約束すると、パイロが炸裂。真下に見えるアリーナのみならず、周囲を見渡してみると、眩いライトが照らす中、会場中が総立ちになって、手を振っているという光景が目に飛び込んできた。
ステージの4人――Taka(Vo)、Toru(Gt)、Ryota(Ba)、Tomoya(Dr)はそこから2時間にわたって、『35xxxv』の曲を中心に新旧......とは言っても最近の楽曲を、時間を惜しむように次々に演奏していった。ステージ後方の大スクリーンに映し出す映像やきらびやかなライトおよびレーザー光線もふんだんに使い、20,000人が集まったアリーナにふさわしいスペクタクルなライヴを作り上げながら、この日、何よりもファンの胸を打ったのは、バンドとして、そしていちミュージシャンとして、ONE OK ROCKの4人がこれまで成し遂げてきたスケールアップが反映されたダイナミックなパフォーマンスだったはず。
"世界で1番乗りに乗ってるバンドのライヴだ。誰ひとり置いていかねえぞ!"というTakaの言葉からもその自信は窺えたが、この日、MCで彼が言った言葉の数々("日ごろ、溜まった鬱憤を吐き出せ。それを俺たちが希望や光に変えてやる"など)からは日本を代表するバンドに成長した今、自分たちの夢だけに止まらず、ファンがバンドに寄せるさまざまな想いも受け止めていこうという責任感というか、決意みたいなものも感じられた。気がつけば、アリーナではファンが作った大きなサークルが3つ、バンドの演奏に合わせシンガロングしながらぐるぐると大きな輪を描いている。

中盤、アメリカへ渡り、現地でのレコーディングは右も左もわからない状況で作った『35xxxv』の制作を振り返ると、"ひとつ言えることがある"とTakaはONE OK ROCKが世界で1番かっこいいバンドであることを宣言。そして、ここまで支え続けてくれたファンに感謝の気持ちを伝え、これからもたくさんの奇跡を起こすことを約束してから、"奇跡を見るぞ!"と、これまでの奇跡をひとつにした曲だという「Cry out」を歌い上げると、ライヴの盛り上がりが最高潮に達したことを物語るようにアリーナに巨大サークル・ピットが出現した。
後半戦はちょっと一息入れるように「Good Goodbye」「Heartache」というアコースティック・ナンバーに加え、バズーカ砲を使って、客席にグッズを打ち込んだファンキーなポップ・ナンバーの「Paper Planes」も交え、ゴリゴリなだけじゃない一面もアピールした。そして、パイロの炸裂を合図に「Take me to the top」からラストスパートをかけるように一際メタル色濃いロック・ナンバーをたたみかけると、完全燃焼を求めるように観客もこの日1番のモッシュとシンガロングでバンドの熱演に応えた。
もちろん、それで満足するONE OK ROCKでも彼らのファンでもない。スマホのライトを掲げながら拍手とシンガロングでアンコールを求める中、Takaがアリーナに現れ、"さいたま、まだまだ行けるよね!?"とアンコールの開始を告げ、ステージに猛ダッシュ! そこから立て続けに2曲披露してから、"背中を押して欲しいとき、また遊びにきてください。これから先はまだ長いけど、共に戦っていきましょう"と客席に語りかけたTakaが締めくくりの「Decision」を、マイクを使わずに歌い始めると、それに応えるように客席からシンガロングが起こった。この日、何度もそれほど大柄とは言えない身体のどこからこんな声が出るんだろうとTakaの歌声の力強さに感動させられてきたが、最後の最後にもう1度、彼はヴォーカリストとしての類稀なる力量を印象づけたのだった。
"さいたま歌ってくれ!ありがとう!"そう叫ぶTakaを追いかけるようにバンドの演奏と観客のシンガロングが重なり、熱気と興奮の中、満足感と充実感がアリーナを満たしていった。

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