INTERVIEW
Broken By The Scream
2025.08.13UPDATE
2025年08月号掲載
Member:野月平イオ 七々扇ツバキ 御子神シズク 鷹屋敷ヤヨイ
Interviewer:吉羽 さおり
ライヴで好きになってもらう自信はある
-ライヴでどう披露されるのか、そこにどんな反応があるのかも楽しみな曲ですね。ではアルバムの曲についてお伺いしていきます。まずは1曲目となる「アンドロメダ」。これこそこれぞBBTSという旨味を詰め込んだ曲で、イオさん、ヤヨイさんのスクリームで切り込んでいくパワーのある曲ですね。
シズク:私「アンドロメダ」のイントロがめちゃくちゃ好きで、始まったなという感じがするのでアルバムの1曲目に相応しいなって思います。
ツバキ:これが過去に出した代表曲「Do・Do・N・Pa!!」(2018年リリースの1stフル・アルバム『AN ALIEN'S PORTRAIT』収録)の第2弾と言われてるらしいんですけど、デスヴォイスの2人がほぼメインで作られた曲で、また「Do・Do・N・Pa!!」とは雰囲気が違った壮大な感じで。
イオ:デスボだけど、意外と歌詞はきれいなことを言ってるので、ギャップが好きだなって思います。
-ここからまた行くんだよっていう感じの歌詞もいいですね。新体制で、また久々のアルバムで、BBTSらしいこの曲でアルバムが始まるのは、ずっと聴いてくれている方にとっても一安心できそうです。
イオ:絶対好きだと思う、みんな。
-レコーディングも気合が入りそうですね。
ヤヨイ:electro sonarさんとHideki(Okubo)さん、プロデューサーさんが後ろにいる状態でレコーディングするんですけど、私はこの「アンドロメダ」の最後の超歌ってるギター・リフが大好きで。"ここほんまにめちゃくちゃ好きなんですよ"と愛を伝えてから、"じゃあ歌います"ってブースに入っていくという。
イオ:ええやん(笑)。たしかにいいよね。
ヤヨイ:ノリノリでした。
-ツバキさんとシズクさんはいかがでしたか。
ツバキ:「アンドロメダ」では、クリーン・ヴォーカルは、感情を乗せて言葉を喋るって、セリフの苦労みたいなものはありましたね。音量は抑えながらも感情を込めて、でもリズムに合わせて言う難しさはありました。レコーディングのときって、より大袈裟にやったほうが音源として聴いたときにいいと思っているので、そこの感情の乗せ方は結構苦労したかなと思います。
シズク:私は結構セリフとかは得意かも。フレーズも納得がいってて、これだなってハマった感じがありましたね。
ツバキ:ライヴでやるとなったらダンスも入ってくるので、そうなったときの雰囲気もまたどうなるんだろうなって楽しみな曲ですね。
-いろんな挑戦もあったかと思いますが、今回のアルバムでこの曲は大変だなったなという曲はありましたか。
シズク:私は「朧月 -Oborozuki-」ですね。マジでめっちゃ苦労して、実は丸々1回録り直してます、私は。
イオ:そうなんだ。
シズク:まだいけるってなって。抑揚を付けながら、でも声の張りを保ちつつみたいな、表現というよりはわりと技術的な部分で苦労したかな。
-「朧月 -Oborozuki-」は和の要素が繊細で、エモーショナルな歌モノの曲でクリーン・ヴォーカルの聴かせどころでもありますね。イオさんは、レコーディングで大変だった曲、挑戦した曲はありますか。
イオ:私はめっちゃロング・トーンがある「トラブルメーカー」かな。低音のデスボのまま伸ばす曲で、「感情クロスカウンター」(2022年リリースのフル・アルバム『RISE into CHAOS』収録曲)もそうだったんですけど、めちゃくちゃ難しくて。このロング・トーンのところは何回もやらせてもらいました。曲や表現はどんどん難しくなってきている気がする。
-ヤヨイさんはどうですか。
ヤヨイ:イオが言ってたロング・トーンは激しく同意ですね。あとはBBTSは曲中でリズムが変わる曲も多いんですけど、いきなり3連符とか5連符になるとかリズムが変わった途端に、私のリズム感がダメになってしまって(笑)。"ここの休符を感じてから歌い始めて"という、その休符が休めない。気持ちが乗りすぎて、どんどん先に走ってしまう感じで苦労しましたね。最終的には大丈夫だったんですけど、ここはこれからの課題だなと思います。
シズク:それをデスボでっていうのは難しそう。
イオ:私はデスボよりもクリーンで歌うのが難しいし、緊張感があって、そっちのほうが録り直してるかもしれない。キーが高いしね。
ツバキ:たしかに高いよね。
-スラップ・ベースが冴える「Queen of the World」でのグルーヴ感、ノリもまたBBTSならではだなと思いましたが、どうですか。
ツバキ:この曲は分かりやすく爽やかで、こういうアニメの主題歌っぽい雰囲気の曲って意外となかったなと、新しい感じがありました。BBTSを知らない層にも刺さるのかなって思ってますね。すごく爽やかなんですけど、デモで聴いてる感じと実際に歌うのとではだいぶ違って、上下するメロディ・ラインがかなり難しいんです。
シズク:人間が歌える曲の限界っていうかね(笑)。
-ミドル・テンポで聴かせる「Wonderful World」は、アンセム感のあるメロディでいいですよね。
シズク:これとても好きです。
イオ:歌詞が平和で、1日の終わりに聴きたい感じがあるよね。
ヤヨイ:私はそこまで詳しくはないですけど、メタルを聴いてきたんですが、バラードにデスボが入ってくるイメージはずっとなくて。BBTSでもバラードはクリーンで聴かせる感じなのかなと思ったら、めっちゃデスボ入ってるし、しかもサビでクリーンとユニゾンでデスボが入っていて、バラードにデスボでどう馴染ませるんだろうっていうのがあったんですけど、完成したものを聴いたら、これだ! と。
イオ:たしかにそこがBBTSでしかできないものだなって思う。
-また「ダイイングメッセージ」は、メタルコアの激しさがありつつ、キテレツなポップさも感じられる曲になりました。
ツバキ:曲の雰囲気も歌詞もキャッチーで、乙女の気持ちを歌っているけど、壮絶な感じや愛の裏返しみたいなことが、事件っぽくキャッチーに表現されてるのが面白い曲ですね。
シズク:めちゃくちゃ遊び心があって。
イオ:この最後のクリーンのセリフも好きなんですよね(笑)。
ツバキ:恋愛的な感情を歌っているんだけど、普通に聴くとただの犯行の供述にしか聞こえないみたいなね(笑)。
-4人で再始動して第1弾だったのが「月光可憐ストライプ」(2024年リリースの会場限定EP『ReMake Them Joy』収録曲)でした。改めてこの曲から1年を経て思うこと、ここが変わったなということはありますか。
ツバキ:これを聴くとこの1年がばーっと蘇るし、それこそ技術的なことに関してもこの1年でだいぶ変わった部分があるなって。
シズク:私にとってはこれがBBTSで初めての曲だったので、始まったばかりの初心を思い出せる曲になってます。今とは歌い方も違うと思いますし。
-代表曲「Do・Do・N・Pa!!」に次ぐパワフルなナンバーあり、歌モノやユーモアがある曲、そして挑戦的な超大作「追憶のナスカ」がありと、この1年のBBTSの進化と挑戦が詰まったアルバムになりました。これをライヴの場でどう表現するかも見せどころですね。
シズク:まだ想像ができないんですけど、確実に今までの曲よりも難しいんです。でもやってみたら意外とできるのかな。
ツバキ:全部が今の体制になってから作った曲たちでのフル・アルバムで、これから披露していくにあたって、この曲たちも過去の曲たちみたいにメジャーになって、評価されていってほしいなという思いは強いですね。
-新たなスタートにもなるアルバムを作り上げて、またここからのBBTSの目標、展望はありますか。
イオ:"Wacken(Open Air)"出演もそうですけど、これからも海外のライヴも増えてくると思っているんです。今回のヨーロッパ・ツアーでは他のメンバーが英語でのMCを頑張ってくれたので、自分ももっと頑張らなきゃなって。もっと英語を勉強して、お客さんと一緒に楽しめるようにできたらいいなって思います。
ヤヨイ:来年の"Wacken"に出たら、私は加入してから毎年海外のフェスに出ることになるんですけど、これを恒例行事にしたいですね。"Wacken"に出て終わり、満足ではなくて。もっともっと行きたい気持ちがあるし、このメンバーだったら絶対行けるって分かってるので、大きなステージに出ていろんな人の目に留まって、また次に繋がる縁があれば嬉しいなと思ってます。
シズク:そうだね。せっかくこんなにすごいものがあるから、それを広めていきたいし、いろんな人に知ってもらえたら嬉しいです。
-国内ではどうですか。
イオ:ヨーロッパ・ツアーでは老若男女いろんな方が来てくれたんですけど、日本のライヴでももっとそうしたいですね。今はメタル好きな男性が多いイメージなので、女の子とかも増やしていきたいし。
ツバキ:若い子たちにもね。まだ気付かれていないだけで、ライヴで好きになってもらう自信はあるんです。
シズク:あるある。
ツバキ:ヨーロッパでこれだけ受け入れられて、お客さんがいっぱい来てくれて、年齢層も性別も関係ない状況を見ていると、もちろんメタルを好きな人たちはメタル・バンドとして観てくれるし、かわいい女の子が観たくて来ている人たちはアイドルとして受け入れてくるし、楽しみ方も身体を動かして遊ぶ人もいれば、ひたすら聴いて楽しんでいる人たちもいて。どんな楽しみ方もできるのがBBTSの良さだと思っているので、日本だってどんな楽しみ方もできるし、どんな人が観に来てもいいんだよっていうのを、もっと知ってもらいたい気持ちです! 9月28日の代官山UNITでのワンマン"Broken By The Scream ONEMAN SHOW「THY ART FROM WITHIN」"にも、ぜひ来てほしいです。