INTERVIEW
BLOODYWOOD
2025.05.16UPDATE
Member:Karan Katiyar(Gt/Fl)
Interviewer:菅谷 透 Translator:染谷 和美
みんなインドにステレオタイプ的なイメージを持っているから、故郷がどんなところなのか、よりリアルに近い姿を描きたかった
-なるほど。今のお話を踏まえると、最新アルバム『Nu Delhi』は多様性を見せながらも、BLOODYWOODの軸を示している印象を受けました。
ニュー・アルバムでは話題にしたいことや伝えたいことを拡大しているんだ。このアルバムでは特に僕たちがどこから来たのか、故郷がどのような状況なのか、そしてそれについてどう思っているのかを言いたかった。また、僕たちの故郷がどんなところなのか、よりリアルに近い姿を描きたかったんだ。というのも、みんなインドに対してステレオタイプ的なイメージを持っていて、それは部分的には正しいこともあるけど、完全に真実ではないこともある。次のアルバムで僕たちの旅の新たなステップへ進む前に、まず"僕たちはこんなところから出てきた"というメッセージを正確に描きたかったんだ。
-サウンド面でも前作『Rakshak』(2022年リリースの2ndアルバム)を洗練させながら、民族音楽やエレクトロという新旧の要素をより強化しているように感じました。
それもメッセージを伝えるための方法なんだ。『Rakshak』ではミキシングやプロダクションを自分で思った程上手くできなかったけど、それから新しくてモダンなやり方を学ぶために多くの時間を費やしてね。たくさんの楽器をクリアにして、全体と一貫性を持たせるため、何日も眠れない夜を過ごしたよ(笑)。僕たちの音楽はとても忙しいんだ。2人のヴォーカリストがいて複数の言語を使い、伝統的なドラム、ギター、ベースに加えて複数のパーカッションもある。それぞれ主張している要素がたくさんあるから、それを上手く調和させるのに時間がかかるんだよ。そこが腕の見せどころだったね。
-今回はそこに日本語も加わったわけですからね。
あぁ、そうだね(笑)。
-そんなBABYMETALとのコラボ曲「Bekhauf」についてお聞きします。BLOODYWOODとしては珍しく、バウンシーというよりもストレートに突き進む曲になりましたが、どのような狙いがあったのでしょうか?
たしかに、いつも僕たちがやっていることとは違うという指摘は分かるよ。でも、"彼女たちをフィーチャーした僕たちの曲"として筋が通るものにするために、僕たちが普段やっていることとは少し違うものを作る必要があったんだ。いつもの僕たちの音楽らしい要素――息をつく場所が多くあって、山あり谷ありで、メリハリがある構成になっているとは思うね。
ただ、「Bekhauf」では5人のヴォーカリストと仕事をすることになったわけで(笑)、それぞれが主張しているから、曲全体を通してエネルギーを100パーセントに保って、普段より少し短くするのが理に適っていたんだ。僕たちは通常5分くらいの曲を書くけど、「Bekhauf」はかなり短くなったね。正直なところ、どう感じるかが大事だったんだ。僕たちは自分たちの音楽を完全に合わないところに無理に押し込みたくないからね。コラボレーションするときは、両方のバンドに属する曲のように聞こえるべきだと思っているよ。
-メロディの面でも、インド的な要素がもちろん存在しつつ、日本のJ-POPのような要素も感じられました。
そうなんだね。実はJ-POPは聴いたことがないんだけど、そういう共通項を感じてくれたなら嬉しいよ。
-ミュージック・ビデオもアニメーションで制作されていて、侍が登場する等日本的な要素がありましたが、どのような狙いがあったのでしょうか?
ビデオは完全にインドのアニメーター・チームによって作られたんだ。僕がそうしたかったからね。インドのアニメーターが何ができるかを見てきたし、それにも世界の目が向けられるようにしたかった。結果的に、本当に素晴らしいものになったよ。プロジェクトを担当していた主要な人物はDebjyoti(Saha)といって、Goppo(Animation)という自分のスタジオを持っている。僕等が指定したのは、ストーリーがこのように始まってこう終わるべきだという部分だけで、その間は彼が全部作ってくれたんだ。彼はプロジェクトに、まさに心血を注ぎ込んでくれたよ。特に、インドと日本の両方を表現するエレファント・サムライというアイディアに、彼が命を吹き込んでくれて、とても満足しているんだ。本当に気に入っているよ。
-あれは"ガネーシャ(ヒンドゥー教の神)"ですか?
そういうわけではないね。僕たちは宗教的な要素を使うことを好んでいなくて、みんなが勝手に解釈することを望んでいるんだ。僕たちのバンドのロゴは単なる象で、宗教的な意味合いを使うことは避けているよ。そういえば、日本でも象の神様がいるらしいね。ファンが教えてくれたんだ。これかな?(※スマホで歓喜天という仏教の神を見せてくれる)
-知らなかったです! もしかしたらインドから伝わってきたものかもしれませんね。
そうかもしれない。神はあちこちにいるからね(笑)。
-最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします。
ワオ、最後の質問は一番難しいね......(笑)。何よりも伝えたいのは、彼等が僕たちに与えてくれた愛に感謝したいということだよ。日本からこんなに多くの愛を貰えるとは、人生で夢にも思わなかった。この先みんなをがっかりさせないようにしたいし、彼等が僕たちと一緒にいてくれることを願っている。そして、次に出す楽曲も楽しみにしていてほしい。時間はかかるかもしれないけど(笑)、必ず届けるよ。