MENU バンドTシャツ

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

HYDE

2024.10.15UPDATE

2024年10月号掲載

HYDE

Interviewer:杉江 由紀

-なおかつ、この「LAST SONG」については、詞の内容のシリアスさにもはっとさせられるところが多くあります。HYDEさんは詞の中でフィクションを描かれることもあれば、ノンフィクションを描かれることもありますが、この詞についてはどのようなスタンスで書かれたことになるのかぜひ教えてください。

これは僕が"いじめられっ子の気持ち"を考えて書いたもの、ですね。僕自身も昔はいじめられっ子だったんですけど、いじめられている子たちや、うまく社会に馴染めない人、嘘をつく人の気持ちを考えて書きました。そういう人ってみんな、頑張ってるのに理解してもらえないみたいなことが起きてるんだろうし、そんな状況はこの曲にハマるなと思ったんですよ。主人公は前向きに生きているつもりなのに、その姿を笑われて歯車がどんどん狂っていく、という内容ですね。

-リアルで深刻なテーマが描かれているという点では、「LAST SONG」の前に位置している12曲目の「SOCIAL VIRUS」でも、また別の方向から現代社会の病巣が炙り出されている印象です。

これはただ僕が怒っていることを書いた詞です。とはいえ、核の部分はあえて誰にも分からないように書いてます。ファンのみんなだって日々いろんなことで何かしら怒ってると思うんでね。それをそれぞれがあてはめる形で、ライヴに来たときは一緒に怒って叫べばいいんじゃない? って考えてます。あるいは、アルバムを聴くときにはこれを爆音で楽しんでスッキリしてもらってもいいんじゃないかな。

-怒りがこもっているせいか、「SOCIAL VIRUS」は音もアグレッシヴですね。

僕は前からCrystal Lakeが好きだったので、これはYD(Gt)に"Crystal Lakeみたいな曲作って!"ってお願いして作ったもらった曲なんです。デモ音源が上がってきてからも、YDと相談しながら自分なりにいろいろ音を組み合わせて仕上げていきました。

-HYDEさんからご覧になって、YDさんは特にどのようなところが魅力的だと感じられるクリエイターですか。

彼の作る曲や音はメタルコアと言えばメタルコアなんですけど、世界に通用するようなメタルコアだなっていう印象がありますね。ちゃんと個性もあるし、うまくいけばここからさらにすごい世界的なバンドになっていくんじゃないかと思ってます。

-そのほかにも、今作にはKubotyさん、Julian(ex-MAKE MY DAY/Gt/Vo)さん、PABLO(Pay money To my Pain/POLPO/RED ORCA)さん、SHO from MY FIRST STORYさん、SHOW-HATE(SiM/Gt)さん等、錚々たるメンツが作曲やレコーディングで参加されていらっしゃいます。HYDEさんは普段から、各方面にアンテナを向けて人材に関する情報を収集されているのですか?

全然そういうことはしてないです。僕の場合、周りにいろんなサポート・ミュージシャンたちがいるので、彼等からいろいろな情報を得たり、彼等が新しく誰かを誘ってくれたりっていうこともあったりします。PABLOなんかはいろんなジャンルの人たちとも仲がいいので、そういう意味では彼から紹介してもらうことが一番多いかな。

-意外なところでは、乃木坂46や最近だとアニメ"キン肉マン"等にも携わっていらっしゃるAPAZZIさんが参加されているのに驚きました。今回「6or9」をAPAZZIさんと作られてみて、HYDEさんがどのようなことを感じられたのかが気になります。

実は、結構前からAPAZZIとは何曲かプリプロダクションという形で一緒にやったことはあるんですよ。で、今回結構久しぶりに会ってやってみたら昔より仕事が速くなってて。だから、純粋に"成長したね!"って思ってたんですけど、僕は近年の彼の仕事について全然把握してなかったんですよね。後からいろいろやってることを聞いて、"すごい人にお願いしてたんだなぁ"ってなりました(笑)。

-それから、先程も話題に出ました「LAST SONG」には、ボカロPとして名を馳せたRyo'LEFTY'Miyataさんが参加されています。この人選も実に斬新ですね。

LEFTYとは事務所の後輩のASH DA HEROの繋がりもあって、前から一緒に作業しようという話はしてたんですけど、彼もすごく忙しいからなかなかタイミングが合わなくて。で、どうも「LAST SONG」のサビが僕の思い通りにできないなと思ってたとき、何人かにお願いしていくなかで最後に頼んだのが彼だったんですよ。そこでようやくサビができたんです。あのときは"あぁ、LEFTYとやって良かった"って思いましたね。彼は野性的にガーッとやっていくタイプなので、それを僕のライヴでもキーボードを弾いてくれてるhicoがまとめてくれまして、無事この完成に至りました。

-hicoさんと言えば、今回は1曲目のインストゥルメンタル「INSIDE HEAD」も、HYDEさんとともに作られておりますし、さぞかし頼もしい存在でいらっしゃるのでしょうね。

頼れます、すごく。音楽的知識が豊富だから、僕が曲を作って"いいのできたな"と思っても、"それだとわりと普通のコード進行ですね"とか言ってくるんで、そのたびに"このヤロー!"って内心思うし、逆に面倒なこともあるんだけど(笑)、彼にメロディをお願いするといいアイディアが出てきたり、それを僕のアイディアとミックスして使うとかもたくさんあります。

-ところで、計13曲が収録されたこの約5年ぶりのアルバム『HYDE [INSIDE]』について、今回のHYDEさんがサウンドメイクの面で特にこだわられたのはどのようなことでしたか。

基本的には、やっぱりアメリカンなサウンドを目指してますね。レンジが広くてクリアな音にしてほしい、というオーダーはしてます。でも、今回に関しては前の『ANTI』とは違って、アメリカのマーケット自体は意識してないんですよ。むしろ、自分自身がライヴでやって楽しいのが一番で、それを観た日本のファンはもっと楽しんでくれるんじゃないかな? その先に海外があるのでは? って流れです。

-曲調や音像がこれだけワイルドなものになってくると、当然HYDEさんご自身のヴォーカリゼーションにも、変化が及んでくるようになるのではないかと思います。今作のレコーディングをされていく上で、いちヴォーカリストとしてのHYDEさんが重視されていたのはどのようなことでしたか。

常に挑戦はしてますね。今の自分がやりたいことっていうのは、何年か前のHYDEではできなかったこともあるので。特に歪んだ声の出し方の部分に関しては、前よりも成長しないとできなかったことを今回『HYDE [INSIDE]』の中で実現してます。

-そのあたりは「I GOT 666」で最も顕著に感じます。冒頭のグロウルといいますか、あの唸り具合が最高です。

詳しい名称はよく分からないけど、いわゆるデスボですね(笑)。喉を傷めないようにしながらああいうふうに歌っていくには鍛練が必要なので、そこは自分にとって大きな課題でした。

-極めておこがましい言い方にはなってしまいますが、5年前に『ANTI』を出された頃よりもそこは本当に進化されていると感じられます。

ありがとうございます。ヘヴィな音でもキャッチーさはあって、ちゃんと聴く側に意味も伝わる音楽というものを、今回の『HYDE [INSIDE]』で作れたんじゃないかなと思います。

-また「LAST SONG」の話にはなるのですが、この曲の詞の中でHYDEさんは、"輝くことを選ぶ"という意味のことを英詞にて歌われています。一方、『ANTI』の発表時には"タイムリミットがある"とHYDEさんは発言されておりました。あれから5年が経った今、輝き続けていくことを選ばれたご自身は、ここから"タイムリミット"といかに向き合っていきたいとお考えなのでしょうか。

『HYDE [INSIDE]』で提示しているような音楽や、今僕がやっているようなライヴは、HYDEとしてそんなに長く続けられないものだと思ってるんですよ。正直、あと数年かなって。でも、ロックって様々な形があるじゃないですか。L'Arc~en~Cielのようなスタイルだったら全く別の形だし、最終的にはいつか出したいと思ってるアコースティック・アルバム『ROENTGEN Ⅱ』で、恐らくそのときはジャズやバラードという形になると思うんだけど、さっきも話した"ジキル"側を表現することをやりたいと思ってる自分もいるんでね。ライヴ中にいきなりドラムを壊すとかよじ登るとか飛び降りるとか、そういう僕の姿は今のうちに観ておいたほうがいいかもしれないですよ(笑)。

-しかしながら、あのKISSやAEROSMITHでさえツアーからの引退を発表したのは最近のことですのでね。何事に対しても貪欲にしてストイックなHYDEさんには、まだまだここから先も暴れ倒していっていただきたいと願っております。無論、この後に控えている"HYDE [INSIDE] LIVE 2024 -EXTRA-"や"HYDE [INSIDE] LIVE 2024 WORLD TOUR"についてもまた然りです。

すでにZepp等でのアルバム・ツアー("HYDE [INSIDE] LIVE 2024")自体は始まってましたけど、あの時点ではまだ『HYDE [INSIDE]』がリリースされていなかったので、意図的にアルバムの曲たちは減らしてLINKIN PARKのカバー(「Given Up」)とかをあえてやってましたが、ここからのツアーではアルバムの曲たちをメインにやっていくことになりますし、エンターテイメント性も強く発揮していきながら、世界観の濃いライヴをやってく形になっていくと思います。あと、"HYDE [INSIDE] LIVE 2024 -EXTRA-"については会場がどこも広いので、また運動会みたいになっていくんじゃないかなぁ(笑)。

-昨年の幕張メッセ("HYDE LIVE 2023 Presented by Rakuten NFT")でも、秋の大運動会が派手に開催されていましたものね(笑)。

ライヴにはいろんな人たちが来るし、こっちもプロだからみんなに楽しんでほしいと思ってるけど、僕はできる限りもっと"その先"に行きたいんですよ。楽しみ方は人それぞれでいいと思うんですけど、自分としてはモッシュやダイブ、リフトのある空間のほうが好きだし、お客さんたちが盛り上がってるとこっちも盛り上がるので、せっかくなんで皆さんもぜひ気合入れて来てもらえると嬉しいですね。次の次元を一緒に目指しましょう。

RELEASE INFORMATION

ニュー・アルバム
『HYDE [INSIDE]』
HYDEINSIDE.jpg
[Virgin Music]
2024.10.16 ON SALE!!(配信:NOW ON SALE!!)
購入はこちら

LIVE INFORMATION

"HYDE [INSIDE] LIVE 2024 -EXTRA-"

10月26日(土)、27日(日)幕張メッセ 国際展示場 展示ホール9〜11
OPEN 15:30 / START 17:06
スタンディング ブロック指定 / 指定席 ¥9,350(税込)
一般発売中
詳細はこちら


"HYDE [INSIDE] LIVE 2024 WORLD TOUR"

11月5日(火)台北 Zepp New Taipei
11月7日(木)香港 麥花臣場館 MacPherson Stadium
11月24日(日)ソウル YES24 LIVE HALL
11月27日(水)New York Brooklyn steel
11月30日(土)Los Angeles The Novo
and more
詳細はこちら