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INTERVIEW

シュレーディンガーの犬

2022.11.14UPDATE

2022年11月号掲載

シュレーディンガーの犬

Member:ならく ひっそりゆうみ いち もな

Interviewer:山口 哲生

-いちさんは、グループに加入したときに、ならくさんとひっそりさんの印象ってどんな感じでした?

いち:うーん......とにかく怖かったです(笑)。

ひっそりゆうみ:ちょっとピリついていた時期だったんですよ。メンバーが入ってもすぐに抜けちゃったりして。みんなそれぞれが怖がってたんですよね、何かトラブルが起きるのを。いちはその時期にちょうど入ったので。

いち:一緒にふたりで入る予定だったけど、もうひとりのほうに手がかかっている間に、ひとりで黙々とレッスンをしていた感じだったので、別に誰かとつるむ感じもなくて。みんなはみんなで、その当時の体制でライヴをめっちゃこなしていて、ひとりでやっていた感じだったんです。だから、メンバーとちゃんと関わるようになったのは......ライヴを数回こなしてからですかね。とりあえず学校とかでもそうだったんですけど、八方美人なタイプの人間なので、めっちゃかまちょしてました。グループの雰囲気がまったく掴めなかったから、とりあえず明るく変な感じにしとけばいいやと思ってやっていたので、"ヤバいやつが入ってきた"と感じたメンバーもいただろうし、なんとも思っていない人もいただろうし。

-ひっそりさんは、いちさんが気を使ってそうしているのかな、みたいなところは感じていたりました?

いち:最初に仲良くしてたよね?

ひっそりゆうみ:そうだね。私、あんまり人に興味がなくて。簡単に言うと、空気が読めないんですよ(笑)。だから普通にしゃべっていて。でも、申し訳ないなと思ってましたね。万全な体制で受け入れてあげるつもりだったんですけど、なかなかそうもいかなくて。いちは歌とダンスがすごくできるんですけど、アイドルをやるのは初めてだったから、不安ではあるじゃないですか。不安な状態で、不安な環境に入れさせてしまったことが、すごく申し訳ないなと思ってました。

いち:ははははは! 親みたい(笑)。

ひっそりゆうみ:1回しゃべりましたね。運営さんといちとで、"ごめんね"みたいな感じで。でも、めげなかったんですよ。かまちょって言ってましたけど、めげずにかまちょし続けたらメンバーが受け入れるようになったので。変わらずにずっと頑張っていたから、マジですごいし、ホントに尊敬してます。私だったら無理(苦笑)。

いち:たしかに、自分も今の自分だったら絶対無理(笑)。いい意味で、何も知らなかったから良かったんですよね、アイドル業界のことを。本当に何も知らなくて"あ、ここってなんかちょっと芸能界みたいな感じなんだ?"みたいな。

ならく:ふふふ(笑)。

いち:わかる(笑)? 学校と同じだと思ったの。みんなで仲良く、わー! みたいな感じだと思って、学校脳でずっとやってたから。

ならく:そこは感じてた。こいつ遊びに来てんのか? って思ってた(笑)。

いち:でも、"なるほどね、仕事だからみんな真面目なんだ"と思って。

-ならくさんは、いちさんにどんな印象があったんです?

ならく:元気な子だな、ぐらいだった気がします。シュレ犬のメンバーって、たぶん本当に人に興味がなくて。自分としても、新メンバーがふたり入ってくるとなったときに、"まぁ、なんでもいいや。頑張ろう"と思ってました。

-それよりもまずは自分がやることをやるというか。

ならく:そうですね。自分は自分で頑張ろうって感じだった気がします。あまりそのときの記憶がないんですよね。

いち:わかるよ。私もない。気づいたら1年経ってました。1年経ったときに、え! 1年いる! 怖い! って。

-もなさんは加入したとき、お三方の印象はどんな感じでした?

もな:最初に会ったときは、怖いなっていうイメージでした。そもそも初めましての人に会うときに怖いっていう印象を持つんです。そこからレッスンが始まって、自主練のときにひとりずつ来てくれて、ダンスを教えてくれました。そのときにちょっと話したら、話せるようになったら大丈夫な人たちかもって。でも、デビュー・ライヴ("Erwin Schrödinger 生誕祭『The revival of Schrödinger's Dog』~シュレ犬復活祭~")までは普通に怖いなと思ってました、全員のことを。

-デビュー・ライヴ後から大丈夫になったんですね。

もな:デビュー・ライヴの日に、自分がちょっとヤバいことを起こしすぎて(苦笑)。

ならく:ヤバいことっていうかハプニングだね。

もな:そう、ハプニング。デビュー・ライヴの次の日から滋賀に遠征だったんですけど、左右違う靴で来ちゃって(苦笑)。片方は普通にライヴでよく使っている靴を履いてきて、もう片方はそれに似たちょっと黒い厚底の靴を履いてきちゃったんです。

いち:似てなかったからね(笑)!?

もな:似てた!

ならく:パッと見ると似てるんだよ。

いち:似てないよ(笑)!

もな:自分は着くまで気づかなかったんですよ。メンバーが"あれ? 靴違くね?"って。地面を見るのが怖かったです。靴を確認するのが怖くて(笑)。でも、そこから普通に話せるようになりました。

いち:枕で顔を埋められた。

もな:その日の夜に枕で埋めました。

ひっそりゆうみ:ひっそりはベッドから落とされた。

もな:でも、最初に怖い印象はあったけど、ピリついているのは見たことなかったです。

ならく:うん、たぶん今までと比べていい環境だったと思う。

ひっそりゆうみ:一番入りやすい環境だったよね(笑)。

ならく:しかも3人しかいないところにひとり入るだけだから、ピリつくとかもないし。

いち:うちらも、この次に入るメンバーは本当に大事だと思って、3人でめっちゃ考えていたから、警戒するっていう感じもなくて。

もな:それまで3人は1年ぐらい一緒にいたから、その中にどうやって入ろうかなと思ったけど、意外と大丈夫かもって。

ひっそりゆうみ:あと、他人に興味ないメンバーが残っちゃったから。

いち:そうだね。

ひっそりゆうみ:いい意味で興味がないから、遠征先でもひとり行動とか全然するんですよ。そういうメンバーが残ったから、最初は怖いイメージを与えちゃってたのかなって(笑)。

ならく:たぶん、女の子っぽくないんですよね。みんなでキャッキャッ! っていう感じではなくて。

ひっそりゆうみ:自分は自分、みたいな。

いち:うん。自分も自分が遊びたいときに人にかまちょするから、自分のこと優先で、自分のことにしか興味がないし(笑)。

もな:自分も自分にしか興味ないです。

ひっそりゆうみ:だから話すきっかけがないと話せないし、興味がないからこそ、どう話したらいいのかわからなくて。友達もいないから仲良くなり方とかも知らないし(笑)。

いち:そこを別のやり方で乗り切ったのはすごいよね。

ひっそりゆうみ:トラブルで乗り切ったから。

もな:トラブルで乗り切った人です。

-(笑)みなさんそれぞれ他人に興味がないというお話をされていましたけど、それでもこのグループで続けているのは、シュレーディンガーの犬の音楽が好きだからというのがモチベーションにあるんですか?

ならく:そうですね。シュレ犬の曲が好きなのと、入るときにこれが絶対に最後って決めちゃったので。約束じゃないけど、自分の中での決めごとというか、呪いみたいな。それはファンにも公言してますね。

ひっそりゆうみ:シュレ犬って何回か解散するかっていう話があって、自分もやめようかなと思ったこともあったんですけど、そのたびに、ここまでやってきたしなって。いっぱいつらいことを乗り越えてきたから、ここでやめちゃうのはちょっと違うんじゃないかと思ったし、自分が納得できるところまでやりたいっていう気持ちはありますね。

いち:自分が続けているのは、曲が好きっていうのはめっちゃあります。アイドルをやるのも初めてだから、もし仮にここを卒業したとしても、新しい場所に辿り着ける自信というか、未来も見えないし、そもそもここに入ったのも偶然で奇跡中の奇跡みたいな感じだし。それに、偶然だとしても入れたグループの曲がめっちゃ好きっていうのも奇跡だと思うし。アイドルを始めてから、他のアイドルさんの曲も聴くようにはなったんですけど、自分のグループの曲が一番何回も聴けるんで、どっちも奇跡と奇跡だから、やるしかない! っていう感じですね。

-もなさんは、加入してだいたい2ヶ月ぐらいですが(※取材は10月中旬)、活動してみて感じたものはありますか?

もな:メンバーの仲が悪いグループとかもあるけど、シュレ犬のメンバーは人に興味がないのもあって、仲はいいんですよね。

-いい距離感が取れそうな感じがしますね。

もな:別々で行動する日もあるけど、一緒に出掛けたり、ご飯に行ったりすることもあるし。そういうのがいやすいなって思います。