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INTERVIEW

DAFTSUN

2022.09.05UPDATE

2022年09月号掲載

DAFTSUN

Member:AINE(Vo/Scream) YDI(Gt/MC) DJGASSS(Vo/Mani)

Interviewer:宮﨑 大樹

-そんなDAFTSUNの曲作りは、どうやって進めていくんですか?

GASSS:最初は完全に手探りだったんです。音じゃない部分でのテーマとしては、近い将来"ネオトーキョー"みたいなところに、そういうバンドがいたらどういう音楽をやってるのかなって。そういうところに存在していそうなイメージに曲を着地させたいなと思っていました。音楽の作り方の手法的なことで言ってしまうと、メロディが乗っかっている状態まで作って、そこから歌の表現とかギターの広がりとかはAINEとかYDIに任せて。なので1回僕が骨格を作ってふたりに投げて、そこから調整して仕上げていく作り方なのかなという気がしています。

-"「ネオトーキョー」にもしバンドがいたら"という設定とかテーマで曲を作っていくのは、YDIさんがやりたいことにもマッチしていそうですね。

YDI:そうですね。僕が個人的にやっているやつは、こういうサイバーなものもあるけど、例えば氷河がバーン! って割れて巨人が出てくるとか、そういうファンタジーな曲を作っていたんです。けど、こういうバキバキなのは新しくて楽しいですね。

-AINEさんも曲のクリエイティヴに関わっているそうですけど、例えば"AKIRA"とかは世代ではないですよね。

AINE:GASSSが何年も"AKIRA"をプレゼンしてくるんですけど、まだ触れていないです(笑)。曲とかにいろんな想いを詰め込んでいるんだろうけど、それを無視していったん表現させてもらっています。

YDI:いいと思うよ。逆に触れないほうが面白いかもしれない。

GASSS:今AINEとYDIが言ったことがリアルな気がしていて。サイバーパンクというと、"ネオトーキョー"のあのプラスチッキーな質感とか、ネオンっぽいものとかのイメージが多いんですけど、僕は近い将来が地続きじゃないといけないと思っているんですよ。"AKIRA"みたいな"ネオトーキョー"みたいな都市ができても、スウェーデンとかスイスとかのほうだと、未だにヤギの乳を搾ってチーズを作っているはずなんです。仮にニューヨークや東京で車が空を飛んだとしても、地方に行ったらスーパーカブが走っていたりするんですよ。それがリアルだと思っていて。だから僕が"AKIRA"の世界観をAINEに浸透させる必要はないんです。どんなに未来に行っても、そういう人たちがいっぱいいるはずなんですよ。そういう人たちが、その場で自分の解釈でやっていることがリアル、近未来だと思っていて。自分はあくまで"ネオトーキョー"的な軸を自分のペースで推し進めていて、そこに対して周りが解釈していくということなのかなと。僕はふたりの感覚を大事にしたいなと思っていて。じゃないとやっぱり面白くない。やっぱATARIとかTHE PRODIGYもみんな好き勝手やっていて楽しそうでしたから(笑)。

YDI:僕はバンドを始めたときから"ヴォーカルが楽しくないとしょうがない"と思っているので、"どうぞ、なんとかしますよ"と十何年間も思っています(笑)。

AINE:だから楽しいです。

-バンドにとっての初楽曲「RIOT」は近未来的、ラウド、ダンサブル、それぞれの要素が上手く融合していますよね。タイトル的にもATARIを彷彿させますけど、どんな楽曲を目指して制作されたんですか?

GASSS:これはもう端的に"ネオATARI"ですね(笑)。「Start The Riot!」が好きだからやったわけじゃないですけど、この(バンドの)構成がまさにATARIだと思って、僕の場合それ以上はないです(笑)。

YDI:最初に聴いたときに、ギターはなくてもいいじゃんと思ったんです(笑)。で、何かヒントがないかなと思ったときに、ちょうどSUGIZOさんがそういう曲をやっていて。ついに"SLAVE"(※LUNA SEAファンの総称)を発揮するときが来たなと思いました(笑)。DAFTSUNの曲にはわりとLUNA SEAとLINKIN PARKが混ざっています。ルーツとやりたいことはずっと一緒なんだなと。

AINE:AINEは普段アイドルをしていて、担当がスクリームなので、基本的に叫んでいるかメロディを歌っているかなんですけど、「RIOT」を聴いて"絶対にアイドルではできないことをしよう"と思って。アイドルをやるんだったら、どうしてもヴィジュアルを良く見せる方向にパフォーマンスをしないといけないし、歌とかもそれなりにかわいくしないといけないけど、これは好き勝手やれるなと感じました。

-GASSSさんが作った骨組みの上で、ふたりが自由に遊べるからDAFTSUNの音楽ができるんですね。

GASSS:本当にそのイメージが近くて。"RIOT"は"暴動しろ"、"騒げ"という意味で、自分の骨格の上でふたりが遊んでほしいし、フロアにいるファンとかオーディエンスの人にも自由に楽しんでほしい、自由にノってほしいというのはありますね。自分の世界観を押しつけるというより、あくまでそれを題材にして、みんなが遊んでいるものだったらいいなと。

-そういう曲に歌詞を乗せるにあたって、作詞で大事にしたことはありますか?

GASSS:曲の作り方に関してはいろんな作り方があると思うんですよ。僕は邦楽も洋楽も関係なく、流れてきたときにふと耳にして気持ちがグッと掴まれたり、動いたりすることを大事にしています。歌詞というのは詩でもないし、小説でもないと思っているタイプなんですよ。歌詞というのはあくまで音楽の延長だと思っているので、とにかく"RIOT"がすぐにフックになることだけを意識しています。歌詞で気をつけていることがあるとしたら、変に叙情的になったり、説明的になったりすることを避けていることかなと。伝わってほしいところは、実は"RIOT"というワンフレーズしかなくて。その肉づけは、聴いている人が想像でどんどん作って、遊び場にしてもらいたいと思って作っています。

-この曲はミュージック・ビデオのクオリティが高くて。"攻殻機動隊"を知っている人ならニヤリとしますね。

GASSS:あれはもう監督さんの腕ですね。APE(A BATHING APE®)が流行ったり、裏原が流行ったり、音楽とアパレルとかデザインに親和性があって、そこで生まれているカルチャーとかもあったんですけど、DAFTSUNもグラフィック的にシンボリックなものをやりたいなと思っていて。そのなかで"攻殻機動隊"の"笑い男"シリーズがすごく好きで、あれをモチーフにしたものをやりたくて、だから"まさに"というものになりました。ただ、あれ("笑い男"をオマージュした顔周りのVFX)を白ベタにして本当に笑い男みたいになっちゃうと、誰がやっても面白くないというか。だから"顔が見えるような見えないような絶妙なマスクにして、顔に被せることはできるかな?"と監督に聞いてみたら、"や......やります......"って(笑)。なので"そこに命を賭けてくれ"と言ったら、すごくカッコいい映像を作ってくれました。

-「BAD INVADER」は不穏でヒリヒリする空気感がありますね。こちらは、どうやって生まれたんですか?

GASSS:90年代にTHE PRODIGYとかを聴いて、AKAI(AKAI Professional)のサンプラーとかを使いながらサンプリングと生音を混ぜていくとか、そういうDTMやインダストリアルの走りのころに、誰も信じちゃいないけど、世界が終わるんじゃないかとか謎の閉塞感がすごくあって。それに対して、その先があるかもしれないから、鬱々としながらも新しいものを模索したり作ったりしていくあの感じがすごく面白かったんです。そこをぶっ壊してくれたのが、僕の中でまさにTHE PRODIGYとかATARIだったりして。「BAD INVADER」って、"悪い"というより、クールでカッコいい、自分たちが知らない世界からの侵入者が、自分たちの鬱屈とした世界をぶっ壊してくれる、みたいな。そういう不穏な中に感じるちょっとしたワクワク感、ダーク・ヒーローみたいなものが現れて、世界を変えてくれるんじゃないかみたいな面白さを感じてもらえたらいいなと思いながら作った感じですね。「BAD INVADER」は、フックが強いからビートは四つ打ちで、バンドと言いながらもEDMに近い構成になっています。でも、そこにAINEとYDIの生々しいものが乗っかってくることで、音楽的に違うアプローチができるのかなと思っていました。この曲はAINEから"どういう気持ちで歌ったらいいかわからない"って言われたんですよ(笑)。

-結果的にどういう気持ちに落ち着いたんですか?

AINE:落ち着いてるのかなぁ(笑)。暗いのか明るいのかもわからなくて。実家には予言がなんだとかマヤ文明がなんだとか、そういう怪しい本とかもありましたけど、そんなの経験していないし、バブルを経験したわけでもないし、空想の世界の話みたいな感覚が強くて。正直、今でもどうしていいのかわからない(笑)。

GASSS:でも、そういう感覚だよ。大人になったら一笑に付す話だし、その当時も本気で信じているわけではないけどモヤモヤする感じだった。都市伝説みたいな。

AINE:そういうところで空想してできるのは面白いですね。

-ところで、バンドの動きとしてはアンダーグラウンド・カルチャーを発信するイベント"DAFTNIGHT"を主催、拠点にして活動していますね。こちらは、どんな狙いや想いでやっているんですか?

GASSS:自分たちが軸だとしても、DJでもいいしアイドルでもいいし、バンドでもアーティストでもいいんですけど、自分たちが予想していない要素を出して、それによっていろんな楽しみ方ができるのかなと。極端な話、ペイントの人が出てもお笑いの人が出てもいい気がするんです。"攻殻機動隊"とか"AKIRA"みたいな世界観と言ったって、その世界にもお笑いの人っているはずだし、映画とか漫画の作品にするときはノイズになるから排除しちゃいますけど、本当の現実、地続きだったら普通の人もいっぱいいると思うので。そういう意味では、"これは自分の世界観にそぐわないからいらない"ということはあんまりないですね。そういう世界観を見せるベースとして"DAFTNIGHT"というイベントを定期的に打って、浸透していけばいいなという気持ちでやっています。

-最後に、このバンドでの目標があれば聞かせてください。

GASSS:明確な目標というよりは、例えば"サイバーパンク"とか"ネオトーキョー"的なものを思い出したときに、すぐに名前が挙がるようになりたい。そういうアニメ作品、映画とかを作りたいとなったときに名前が挙がるようになりたいですね。"みんなが知っていてヒットチャートにいる"みたいなものを目指しているというよりは、サブカルチャー、秘密結社寄りというか、知っている人たちがカルト的に楽しんでいるようなものになったらいいのかなと。

DAFTSUN
RELEASE INFORMATION

DIGITAL ALBUM
『RIOT』

[エイフォース・エンターテインメント]
NOW ON SALE!!

1. RIOT
2. Weka-pipo
3. Fire cracker
4. BAD INVADER

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