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INTERVIEW

HAGANE

2022.08.24UPDATE

HAGANE

Member:Uyu(Vo) Sakura(Gt) Mayto(Gt) Sayaka(Ba) Kanako(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

-そのほかにも、今作には「SuperVillan」や「Labradorite」といった、既発シングル曲たちも収録されておりますが、8曲目の「Memories」は、Uyuさんの歌がいっそう映えるミドル・テンポ・チューンとなっております。ヴォーカリストとしては、どのように向き合われた曲でしたか?

Uyu:今回の『Code ; 9021』は全体的に見るとロックな曲やメタル寄りな曲が多いだけに、この「Memories」はしっとりとした歌をじっくりと聴かせられる1曲になったと思います。歌としては難しくて、この曲のおかげで、ヴォーカリストとして勉強できたことや成長できたことがいろいろありました。

Sakura:「Memories」の歌詞は、子供の頃の楽しい想い出をテーマにして書いてます。大人になった今、当時に対して感じる懐かしさを描いた詞ですね。

-さて、冒頭でもご説明はしていただきましたが、今作では9曲目のインスト「Undersea Paranolia」からいよいよディープな領域へと展開してゆくことになっていきます。この曲はとてもドラマチックな音像が最大の特徴ですね。

Sakura:これは最初、ピアノ・リフから思いついていった曲だったんですよ。普段私はゲーム音楽をよく聴いていることもあって、その影響からまずはヴァイオリン・ソロを入れたいと思っていたんですけど、途中からそのあとにギター・ソロも入れれば"ライヴでも生かせるな"と考えて、最終的にはこの構成にしました。次の「Sword Of Judgement」にうまく繋がる流れを作れたな、と思います。

-半ば組曲かのように、「Undersea Paranolia」と「Sword Of Judgement」は秀逸なコラボレーションを展開していくことになります。この場面はこのアルバムにおける最大の佳境にあたる部分だと言えそうですね。

Sakura:サウンドとしては「Sword Of Judgement」もかなりゲーム音楽の要素を持っていて、最初から最後まで壮大なものにしたかったんですよ。あとは、ライヴで剣士(※HAGANEファンの総称)のみんなと声を出して盛り上がれるような部分も作ったんですが、これはHAGANEとして初めての試みでもあります。

Sayaka:今は(新型コロナウイルスの)第7波も来ていてまだ状況的にはファンの方々がライヴで声を出す、という状況はなかなか難しいところもあると思うんですよ。でも、近い将来にはそれが叶うようにという私たちの希望も込めてこの曲を作ったので、そのときには剣士のみんなと一緒になってこの曲で盛り上がりたいです。

Kanako:ドラマー的には、ギター・ソロ後のDメロにあたる部分で8小節くらいの間「ボレロ」(モーリス・ラヴェル作のバレエ音楽)っぽいことをやっていまして、そこがこの曲の中ではいいポイントになったかなと思います。

Sayaka:今回の制作の中だと「Sword Of Judgement」は最後のほうに作った曲だったんですが、それまでにやってきたことの経験値も生かしながら、ベースの役割としては疾走感をなくさずに弾いていくことと、ギターとドラムを支えるためにも8分のリズムで固めるという部分を、両立していく意識で弾いていきました。

Mayto:ギター・ソロが常に2本鳴っているんじゃないか? というくらい、この曲のギター・アンサンブルはすごく濃厚なんですよ。もちろん、今までもたくさんハモってきましたし、ギター・バトルじゃないですけど掛け合いもいっぱいやって来ていますが、これまでみたいな"ふたりで一緒に!"という意識だけじゃなく、いい意味で私もSakuraも、それぞれ自分だからこそのニュアンスにこだわることができたんじゃないかな、と思います。これは初めてのことだったので、とても素晴らしい経験になりました。完成したものを自分で聴いてみても、この曲では、より強くよりふくよかでより表情豊かな音を生み出すことができたなと感じてます。

Sakura:この曲の詞のストーリーというのが、深層に閉じこめられていた悪魔とか神が放たれたことにより、人間がそういったものから隠れて生活しているような異世界の話なので、音にもどこか非現実的な緊張感やドラマチックな要素が必要だったんですよね。この曲では、そういった感覚を今までにはなかったかたちで醸し出していくことができたので、作りながら自分で手応えも感じた曲でした。Uyuちゃんの歌の表現力も、すごくいい感じなんですよね。

Uyu:ありがと。頑張って歌って良かった。歌っててもこの曲は気持ち良かったし、そう言ってもらえると嬉しい!

-なお、今作『Code ; 9021』の最後を飾るのは「ZERO」という曲になります。オルガンやチェンバロを使ったアレンジからはクラシカルな要素も感じますが、HAGANEとしてここで聴き手に伝えたかったのはどのようなことですか。

Sakura:Kanaぴーは特によくわかってくれてると思うんですけど、これは"コードギアス 復活のルルーシュ"っていうアニメがモチーフになっている曲で、あれは戦争がテーマの作品なんですよ。その中に出てくるキャラクターのひとりの名前が"ゼロ"なんです。

Mayto:あ、そういうことだったんだー!

Mayto:人間の名前だったんだね(笑)。

Kanako:名前というよりはコード・ネームだけど(笑)。

Uyu:へー、知らなかった。普通に戦争の歌詞だと思って歌ってた。それこそ剣を持って闘ってる場面を思い浮かべながら、自分が闘ってるような感覚で歌ってました。

-メンバーも人によってはここで初めて知ったようですが、なんと「ZERO」も勝手アニソン・シリーズの第3弾だったのですね(笑)。ただ、以前に「SuperVillan」がシングルとして世に出たときも、フィクションとして描いたはずの内容が、現実世界のジョーカー系事件やローン・ウルフ系の事件と重なったところがあったように、この「ZERO」も、今年に入って始まってしまった現実世界の侵略戦争と、どこかで重なって聴こえるところがあるように思います。これは偶然のことだったのですよね?

Sakura:完全に偶然です。気がついたらまさかのリアルになっちゃってたんです。

-そうした「ZERO」までのアルバム本編だけでも、今作は非常に充実した作品になっているのですが、今作『Code ; 9021』には特別盤というものも用意されているそうで、そちらには「WintrySky」、「BlackCult」、「Connect」の3曲がアコースティック・スタイルにて収録されているのですよね。

Mayto:HAGANEはアコースティック・ライヴも時々やっているので、今回はそれも音源化したかったんですよ。私たちはメタル・バンドですけど、こういうアコースティックな部分も大事にしていきたいと思っているんです。1stアルバムの特別盤で、ようやくその気持ちをかたちにすることができました。

Uyu:もともとの楽曲はどれもロックな感じなので、そことの違いをどうつけたらいいのかという点は自分的に難しかったし、試行錯誤したところがありましたけどね。でも、こういう面もHAGANEにはあるよってことがわかってもらえたらいいなと思います。

-1stにしてこれだけの大作となった『Code ; 9021』を作り終えた今、メンバーのみなさんはどのようなことを感じていらっしゃいますか。

Mayto:最初にミニ・アルバム『EpisodeØ』を出したとき(2020年)から、私は作品を出すたびに、"この中にはHAGANEの歴史が詰まってる"ということを毎回言っていたんですけど、この1stフル・アルバム『Code ; 9021』こそ、本当の意味でのHAGANEの歴史そのものを音にした作品になりました。剣士の方々と歩んできた日々が『Code ; 9021』には詰まっているなと感じてます。

Kanako:まずは"やっとレコーディングが無事に終わった......!"ていうのが一番ですけど(笑)、ほとんどの曲がずっとライヴでやってきたものでもあるので、それをようやく音源化することができたということも嬉しいですね。この曲たちを、みんなの手元にいよいよ届けることができるんだっていう喜びが大きいです。

Sakura:私も、作り終わったときは"疲れた......"っていうのが何よりも大きかったんですけど(笑)、努力したぶんカッコいいものが作れたなという実感も強く得られたんですよね。すべて自主制作でやってきたぶん、途中では失敗したり悩んだりとかもいろいろあったとはいえ、遠回りをしながらでも最終的には目指していたところに辿りつけたと思いますし、改めて学べたことも多かったので、自主制作でやってきて良かったなというふうにも感じました。この成果を、ぜひみなさんにも聴いて感じてほしいです。

Sayaka:この『Code ; 9021』では、この5人になってからのHAGANEの歩みや経験値をすべて出し切りましたね。「ZERO」の歌詞に"ゼロから創り変える世界を"っていう1節があるんですけど、このアルバムを作り終えたことで、この5人で始めたときのひとつの目標は達成できたと思うので、ここからはその歌詞のように、また新しい世界を5人で作っていきたいなという気持ちでいます。

Uyu:その気持ち、私もよくわかる! 正直なことを言うと、前に出したシングルやミニ・アルバムのときより、"これは自分の歌をちゃんと歌えたな"という実感は今回のアルバムのほうが強いんですよ。1年以上の時間をかけて、みんなで一生懸命じっくり作ってきて良かったなってすごく思うし、逆に"ここからだな"とも思えるんですよね。今はとにかく、ここからの未来が自分でも楽しみなんです。

-もちろん、HAGANEの未来には、9月から始まる東名阪でのワンマン・ツアー"[Code ; 9021]TOUR 2022"でも、きっと触れることができるはずですよね。

Uyu:ツアーの頃にはまた状況が変わっている可能性もあるし、そのときにどうなっているかはちょっとわからないですけど、もしマスクありでも声出しできるような状況になっていた場合には、絶対みんなでシンガロングしたいんですよね。だから、剣士のみんなもそうできるようにアルバムを聴きこんで準備して来てほしいなぁ。もし声を出して歌えなかったとしても、心の中では歌いまくってほしいし、ライヴではHAGANEとみんなでひとつになって最高のライヴ空間を作っていきましょう!