－各曲について聞いていくと、1曲目はNoisyCellのサクマリョウ（Gt/Prog）さんがリアレンジした「Smoky Refrain」です。3曲の中でも最もDjentらしい、ヘヴィな1曲で。

LILLY：ビックリしました。もとの楽曲はヴァイオリンが入った曲だったので、そこをどうするのかと思っていたんですけど、めちゃくちゃカッコ良くなったなと。ただ、難しそうだなとは思いましたけど（笑）。

－リアレンジ版を歌うことで、歌唱表現の変化は意識していましたか？

LILLY：そうですね。バックの音が強くなっているので、私も前よりは強めに歌いたいなと。あと、裏に決めが多いから前とリズムの取り方がちょっと違うというか、そこに合わせて歌わなきゃという意識はありますね。

－ドラマー的に今回のリアレンジはどうでした？

YUKI：容赦ないなぁ～って感じですね（笑）。そのひと言に尽きる。めちゃくちゃカッコいいんですけど、難しい。本当にカッコ良くしていただいたので、なんとかこれをカッコいいまま届けたい気持ちが強くて。決めは、後ろの3人がちゃんと合わないといけないから、私だけできないのはダメだと思って頑張っています。現在進行形で（笑）。「LadyBug」の次に来たのが「Smoky Refrain」だったのかな？"あ、大変なバンドになったんだな"と思った覚えがあります（笑）。

－ベースとギターについてはどうでしょう？

SHIORI：音の長さを細かく合わせていかないとカッコ良く聴こえない曲に仕上がっているんです。それだけじゃなく、ニュアンスだったり強弱だったりも求められる楽曲なので、生で聴いてもらったときにグッとくるサウンドになるように、グルーヴ感を詰めて詰めて、細かいところまでやっている感じですね。

－ベース1本の演奏としても、合わせるという意味でも難易度が高い。

SHIORI：そうですね。コピーするのは大変だと思います。ぜひコピーしてほしいです。ベース・ソロもある曲なので、弾いたら楽しいはずですね。

ERIKA：みんなが言っている通り、1曲を通して次々に決めが襲いかかってくるんです。楽器単体もそうではあるんですけど、全員で合わせるのがすごく大変な楽曲で。でも、だからこそカッコいいですし、決まったときに映えるんです。リニューアル1発目のライヴからこの楽曲は唯一ずっとやっているので、重ねていくうちにバチっと合うようになっていると思います。決まったらカッコいいし、気持ちいい楽曲ではありますね。

－ERIKAさんは、Another Storyの寛-hero-（Gt）さんリアレンジの「嘘」で大きな見せ場がありますよね。

ERIKA：ソロがありますもんね。「嘘」は一番ノリが難しい曲です。唯一16分のノリで、違う雰囲気を持っている曲で。だからこそライヴでやっていてもスパイスになるんですけど、これこそ一番難しい楽曲ではあるかなって。

SHIORI：難しい大会みたい（笑）。

ERIKA：（笑）ノリが違うなかでDjentの要素が入ってくるとか、そこがカッコいいなというのは純粋に感じましたね。

－Djentの激しさもあるけど、お洒落な雰囲気もあるがゆえに、勢いだけでやれないというか。

LILLY：そうなんですよ。前と比べてヴォーカルのリズムも変わっているし、ノリがまず変わっていて。前のノリが染み込んじゃっているので、このバックに合うような歌い方にするのがすごく大変でしたね。まだリトルリリスでライヴをしているときに、どっちも練習していた時期があるんですけど、（YUKIと）ふたりで混乱の極みでした（笑）。ヴォーカルは力強さとかは出したかったんですけど、そんなに前と変えなくていいかなと思っていて。リズムとかはもちろん変えましたけど、線の細い感じのところは残していきたいんです。めちゃめちゃカッコ良くしてもらったのですごく嬉しいんですよ。だから、カッコ良く歌えるようになりたいなと思って、頑張っていますね。アレンジがすごく気に入っています。

－ベースの演奏についてはどんな印象ですか？

SHIORI：ベースはAメロがメロディアスなんですよ。そこがカッコ良くてお洒落で、とても気に入って弾いています。めちゃくちゃ難易度が高いんですけど、こういう曲で色気のあるベースが弾けるような人になりたいと思って生きてきたので、頑張ります（笑）。ライヴでやっていてもすごく気持ちいいです。

－YUKIさんの思う聴きどころはどこですか？

YUKI：聴きどころは......ギター・ソロです。

ERIKA：えぇ（笑）。

YUKI：個人的には16分っぽい感じが好きなので、難しいけど楽しいです。16分っぽいところもあれば広がるところもあって、セクションごとに表情が変わるので、それを上手くひとつの曲にまとめるのが難しい。それと、ギター・ソロが本当にカッコいいからマジでドラムをちゃんとしないと（笑）。ERIKA様のギター・ソロをぶっ壊してはいけないという気持ちで、危機感を持って演奏しています（笑）。カッコ良くバックアップできるドラムを叩きたいと思いながら頑張っている曲です。

ERIKA：そうなんだ（笑）。気持ち良く弾かせていただいています。

－前の取材から気になっていたんですけど、ERIKA"様"なんですね（笑）。

YUKI：ERIKA"様"です。カッコいいんだもん（笑）。

－（笑）そして「ESCAPER」はPulse FactoryのYussan（Gt）ことデューク石橋さんのリアレンジです。

LILLY：この曲の最後の部分は、もともとリトルリリスのライヴではやっていなかったところなんです。

－と言うと？

YUKI：盛り上がったまま終わる曲として使われていたんです。後奏はあったけど、ライヴではやらないという。

LILLY：後奏の部分はリトルリリスの収録のときにつけ加えたんですね。そこをLittle Lilithのライヴでやるようになるとは思わなくて、そこまで汲んでくれてありがたいなと思いました。

－だとすれば、リトルリリスのときとはセットリストへの入れ方が変わったりしました？

YUKI：ライヴでの立ち位置が変わりましたね。最後に盛り上げる曲というよりは、途中で挟んでフックになる曲みたいなイメージに変わった気がします。で、これも難しい（笑）。

LILLY：これも決めが多いからね。

YUKI：ドラムのフレーズに関してはアレンジがすごく複雑で。ライヴ版にアレンジして、表現の仕方を変えている部分があるので、聴き比べてほしいですね。

－メロディがキャッチーなので、新しく今のLittle Lilithを知るきっかけになる曲だと思いました。

SHIORI：それはあるかも。Djentを聴いてこなかった人でも入りやすい曲かもしれない。常々思っているのは、Djentが好きな方にももちろん好きになってもらいたいんですけど、そうじゃない、いろんなジャンルを好きな人、いろんな方に聴いていただきたいんです。ポップさと言うんですかね？ 入りやすさは絶対になくしたくないなと思うので、そのうえでも「ESCAPER」はひとつの入りやすい入口になってくれる気がします。

－これは全体で共通して感じたことなんですけど、「LadyBug」でガラッと雰囲気が変わったのに、この3曲の歌詞でそことの変なギャップは感じなかったんですよ。

YUKI：LILLYちゃんが歌うことで、いい意味で中和されるというか。メタルすぎず、聴きやすいという意味で、LILLYちゃんの声質がハマっているからだと思います。だから、"Djentなんて無理！"と思っている人に聴いてほしい。

－バンドの根底にあるものは変わっていないというか。

SHIORI：たしかに。アプローチが変わっただけという感じですかね。

LILLY：歌詞はまったく変えていないので、メッセージ性がそんなに変わったわけでもなく、前まで聴いていた人も聴きやすいと思います。いきなり"人を殺す"みたいなことは書いていないから（笑）。強い言葉はあるんですけど、そんなに強すぎないからビックリしないと思いますね。

－そういう意味でもリトルリリスとLittle Lilithの架け橋になる作品ですよね。さて、今後は1st EP『Graffiti』が夏にリリースされることが発表されていますね。

YUKI：Djentとはいえ、いろんなテイストの曲がバランス良く入っている作品になります。

LILLY：『Rebuild』が架け橋だとしたら、EPは"新しくなった私たちを聴いてください"というものになると思いますね。そういったなかで、変化を感じてもらえたら嬉しいです。

SHIORI：表題曲の「Graffiti」はこの前の主催ライヴでお披露目したんですけど、本当にめちゃくちゃいい曲で。今後の私たちを引っ張ってくれる代表曲になるだろうという感じなので、できあがるのを楽しみに、みんなで頑張っている感じですね。

－そして、東名阪ツアー（"Little Lilith Release Tour 2022 「Graffiti」"）も予定されています。

YUKI：リトルリリスから含めても初めてのツアーです。不安と期待と嬉しさをいっぱい抱えています。それまでにもっとカッコ良くなって、名古屋、大阪、もちろん東京のみなさんに"カッコいいんだぜ"って、魅せたいです。

SHIORI：ライヴを3ヶ月重ねてきたんですけど、毎回毎回、前回のライヴを超えていると自信を持って言えるくらい、いいライヴ、いいバンド感を生み出せていると思うんです。夏のツアーはさらに良くなるしかないので、たくさんの方に生で観てほしいです。

ERIKA：この前の主催のライヴは、個人的にはすごく不安な気持ちもありながら挑んだライヴだったんです。でも、実際にステージに上がって、ライヴをして、いい景色を見させてもらったなと感じていて。音源を出して東名阪を回るというところで、新しい人たちにたくさん観てもらうことができたら嬉しいなと思いますし、これからみんなで必死に頑張りたい。初めてのツアーはいいものになるんじゃないかって、不安というよりは楽しみになっているので、ぜひたくさんの方に来ていただきたいなと思っています。

LILLY：ツアーはずっとやりたかったけど、どうしたらいいのかあんまりわからなくて。地方には普段なかなか行けないので、いろいろな場所のお客さんに会えるのが嬉しいから、燃えているし、今から成功させたい気持ちでいっぱいですね。