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INTERVIEW

HAGANE

2021.12.17UPDATE

HAGANE

Member:Uyu(Vo) Sakura(Gt) Mayto(Gt) Sayaka(Ba) Kanako(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

弟が兄を超える"スーパーヴィラン"になる物語なんです。すべて私の妄想ですけど(笑)


-HAGANEについては、初の全国流通CDでもあったミニ・アルバム『EpisodeØ』(2020年6月リリース)で予想外なほどの"いなたい"音を出していたことにインパクトを感じましたし、その次の1stシングル『Labradorite』では一転しての垢抜けたサウンドを提示していたわけですけれど、今作『SuperVillan』では既存の2作が持っていたそれぞれの良さを継承しつつも、また新たな音像を開拓したように感じます。

Mayto:特に表題曲になっている「SuperVillan」は曲がモダンな雰囲気になっているのもあって、ギターのフレーズや音色にもそういったニュアンスが生まれたんでしょうね。

Sakura:メタルならではのオールド・スタイルな要素と、現代的でモダンな要素を両立して織り交ぜることができたので今回そこはすごく良かったです。

-かくして、この表題曲「SuperVillan」でHAGANEはより攻めの姿勢を具現化したサウンドを提示することになったわけですけれど、この音を背景に歌っていく立場としてUyuさんはどのようなことを心掛けられたのでしょう。

Uyu:この「SuperVillan」って、歌詞中に出てくる主人公は世の中に対する不満を持っている人物なんですよ。まず、そこは踏まえながら歌っていきましたね。

Sakura:あぁ、ちゃんとわかってもらえてたんだ。今回は「SuperVillan」も「侵喰の夜」も、まさに"そこ"がテーマになってるんです。

Uyu:でも、ただ不満を訴えてるだけではなくて。途中では切なさというのかなぁ......悲しい表情を主人公が見せているところもあるので、そこも私としては深く感情移入しながら歌っていったところでした。

-この「SuperVillan」の歌詞は物語として相当ディープですよね。

Uyu:いきなり最初の部分で、主人公のお兄さんが殺されちゃってますから。

Sakura:この主人公は家庭環境が悪い設定なんですよ。しかも、殺されてしまったお兄さんはヴィランになってしまうんですね。ヴィランになったお兄さんは世の中に対する不満を訴えていて、結局はヒーローに退治されちゃうんですけど、それを悲しんだ弟が今度は兄を超える"スーパーヴィラン"になるという物語なんです。

-これは壮大なる復讐劇なわけですね。

Sakura:はい。すべて私の妄想ですけど(笑)。Uyuにも詞を渡したときに、LINEでその妄想物語もすべて伝えたんですよ。

Uyu:むちゃくちゃ長文すぎて、もう細かいところまでは忘れちゃいました。でも、すごく熱い内容だったのは覚えてる(笑)。

-さて。一方でこのシングルに収録されているカップリング曲「侵喰の夜」は、あえて「SuperVillan」に近しい雰囲気の曲を選びここに収録したとのお話が冒頭でありましたけれども、こちらはいかなる生い立ちを持ったものになるのでしょう。

Sakura:別に「SuperVillan」に寄せて作ったわけではないですし、順序的には「侵喰の夜」のほうが先にできていたくらいなんですけど、この曲もギター・リフから拡げていった曲ではあったんですよね。当時からなんとなく闇っぽさもあったし、言葉として"侵喰"っていうイメージも浮かんでいたので、タイトルも詞が完成する前から"侵喰の夜"にしようって決めてました。実は、この歌詞を書いていくうえで頭の中に思い浮かべていたのは"東京喰種トーキョーグール"だったんですよ。

-アニメ化や実写映画化もされた石田スイ氏による人気漫画ですね。

Sakura:全シリーズを読み終わったわけではないんですけど、好きなんですよ。半分人間で半分は人間ではないという、人の肉を喰らう主人公が詞に出てくるのはあの物語をオマージュした部分です。

-サウンドの面からいくと「侵喰の夜」はストリングス系の装飾的な上モノ要素もふんだんに取り込んだ仕上がりになっているようですが、そこは原曲を制作した段階から想定されていたのですか?

Sakura:シンセやストリングスの音をたくさん入れたいな、ということは最初から考えていましたね。

Mayto:ただ、そこはあくまでもバンド・サウンドありきの話ではあるので、この「侵喰の夜」でも私たち自身が音を作っていくこと自体は他の曲たちと基本的に同じやり方をしていきました。

Sayaka:バンドの音に対しての付加価値をつけてくれているのが上モノなので、私たちの邪魔しないような音をSakuraちゃんが入れてくれている感じですね。

Kanako:「侵喰の夜」はとっても楽しく叩けました(笑)。あまり難しいことを考えずに、疾走感とかノリを感じながら叩けた曲でした。

Sayaka:でも、実はBPM的にはわりと速かったりするんですよ。だから、ベーシスト的にはこれも刻みが命でしたね。基礎練に基礎練を重ねましたよ(笑)。

Sakura:210は行ってるかな? 意外とHAGANE史上最速かも!?

Kanako:なんなら、これでも最初の頃よりはちょっとテンポを10くらい落としていて。それでも210だもんね(笑)。

Uyu:8分(音符)のノリだから聴いてそこまで"速っ!"ってなるタイプの曲ではないのかもしれないけど、みんなそれぞれ頑張ってるという曲になってます(笑)。

-「侵喰の夜」は、Uyuさんにとってどのような存在感を持った曲でした?

Uyu:私的には吸血鬼のイメージを感じた曲だったかな。自分が吸血鬼に襲われたら......? っていう妄想をしながら歌いました。

Sakura:「侵喰の夜」の詞は、生きていくために噛まなきゃいけなくなった側の話なんだけどね。

Uyu:そうそう。結局、同じ世界に住んでいる限り捕食するほうは食材になる側のことも気にしないわけにはいかないもんね。きっと"いただきます"っていう言葉もそういうところから生まれたんだろうなぁ、って思いながら歌ったりはしました。

-なお、このシングルには「SuperVillan」と「侵喰の夜」にプラスして、冒頭にインストゥルメンタル「Change the future」が入っておりますが、こちらについても少し解説をいただけますと嬉しいです。

Sakura:これはSEとして「SuperVillan」と「侵喰の夜」の2曲を作ってから作ったものになります。これまでのSEはのちのちライヴで使うことを前提としたものが多かったんですけど、今回はもう少しボリューム感のある長めのものにしたかったんです。というのは、2曲ともそれぞれ悲しいストーリーですからね。その世界への導入部として聴き手側を引き込みながら、盛り上げたうえで「SuperVillan」へと繋げたかったんです。もちろん、この「Change the future」だけでもひとつの独立した曲として聴いてもらって構いません。

-『SuperVillan』はシングルとは思えないほどの濃厚な作品に仕上がりましたね。

Sakura:ほんと濃くなっちゃいました(笑)。

-と同時に、現在は2022年に向けてアルバムも制作していらっしゃるとのことですのでね。そちらも楽しみにしております。

Sakura:私たちにとっては1stフル・アルバムになるので、今の時点でやりたいことはできるだけ詰め込んでいきたいですね。

Sayaka:もうジャケットとかもどんな感じにするかは決めていて、方向性としてはHAGANEの原点も踏まえた作品になっていくんじゃないかと思います。

Uyu:『EpisodeØ』からの成長とか、そこからの変化がどんどん見えてくるような作品になっていくと思いますよ。

Kanako:初期からの曲も入るしね!

Mayto:だけど、初期よりはちょっと大人っぽくなってるはずです(笑)。