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INTERVIEW

DEXCORE

2021.12.30UPDATE

2022年01月号掲載

DEXCORE

Member:架神 -kagami-(Vo) 梦斗 -yumeto-(Gt) 会 -kai-(Ba) 伶司 -reizi-(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

-DEXCOREはヘヴィでコアな音も得意ですし、ゴリゴリなバンドさんたちと対バンすることも多いですが、一方では美しいメロディを醸し出すことにも長けていて、ヴィジュアル系のカテゴリでも有望株として認識されているところがあるように思います。つまり、いい意味でコウモリ的と言いますかね。いちロック・バンドとしては、獣のようでもあり鳥のようでもある特殊にして自由な存在なのではないでしょうか。きっと、その部分が今作『-18-』では顕著に出たのかもしれませんね。

梦斗:たしかに。そういうところはあると思います。

架神:意図して両面を出しましたというよりは、結果としてこうなりましたってことなんですよ。2021年の俺たちはこうでした、っていうまとめみたいなものがこの『-18-』なわけですからね。

会:それと同時に、今までDEXCOREを知らなかったという人たちにとっても、この『-18-』は入りやすくて聴きやすいアルバムになってると思います。

-もっとも、先ほども少し話題に出た「EARTHWORM」などは、イマドキ6分半を超える長尺のハード・チューンですしね。密度が濃い曲なので6分半とは思えないほどサクッと聴けてしまいますけれど、こうした圧巻の曲を作れるポテンシャルをDEXCOREは持っているのだ、ということもこのアルバムからはよく伝わってきます。

架神:ありがとうこざいます。「EARTHWORM」はもともと、"feat. MAKITO from VICTIM OF DECEPTION"という形で、デジタル・シングルとして出した曲だったので、とにかく"どうやったらMAKITOの良さをもっと出せるだろう?"っていろいろ考えていくうちに、どんどん尺が長くなってっちゃったんですよ(笑)。

梦斗:2曲分くらいの要素をこうやって最後はちゃんと1曲にまとめてくるんで、そこは架神の恐ろしい力だと思いますね。

-逆に、尺は4分半ほどですが、「Who's fault?」は圧巻の曲展開になっているせいか非常に壮大にも聴こえます。個人的にはこの曲が特に刺さりましたね。

架神:ほんとですか? めちゃくちゃ嬉しいです。俺もこれ一番好きです。あと、今回収録されてる「One day」という曲があるんですけど、これは2020年にYouTube生配信でファンのみんなと一緒に曲を作るという企画をやって、そのときにできた曲でこれもすごく大切な曲です。

-ことほどさように『-18-』は楽曲クオリティが非常に高いのも大きな特徴ですが、それだけではなく各人のプレイの面も充実した作品となっておりますので、ここからは各パートの見地より、"この曲のこの場面を特に聴いてほしい"という推しポイントについても教えていただけますでしょうか。

伶司:特定の推し曲というよりも、自分は今回ドラムのゴースト・ノートの部分に結構こだわったので、全体を通してそこを感じてもらえると嬉しいですね。まぁ、そこ以外でも今回は曲によっては叩くのがキツい曲とかムズい曲とかいろいろあるんですけど、ほんとDEXCOREに入ってからは日々ドラムで身体が鍛えられてます(笑)。

会:ベースに関しては、今回どの曲も難しいとかじゃなく楽しい! って感じることが自分はとても多かったんですよ。自分で録ったものを聴いても気持ちいいなと感じられているので、そういう楽しさとか心地よさがアルバムを聴いてくれる人たちにも伝わってくれたらいいなと思ってます。今までのDEXCOREを知っている人にはDEXCOREにはこんな一面もあるのか! って新鮮な感覚をきっと味わってもらえるはずですし、初めてこのアルバムでDEXCOREと出会ってくれる人にも、いい意味でのインパクトを感じてもらえる作品になったなという手応えがありますね。

梦斗:聴きどころは全部と言いたいところなんですが、強いて言うなら「Living hell」ですかね。この曲はギターを録り終わった段階で、歌もなくバッキングだけが鳴ってる空白の部分があったんですよ。それで、もしかしたら......? と思って架神に"これ、ギター・ソロ入れるとこ?"って確認したら、どうやら言うのを忘れてたみたいで。あれは痺れました(笑)。"おーい、今からソロのフレーズ考えんのかーい!"ってなりましたもん。というわけで、結果的にその即興で弾いたソロが自分のプレイの中では今回一番印象に残っちゃいました。でも、今回は全体的に前よりもソロが多いですね。基本的に自分はクサメタラーなので、ソロを弾くパートがあると楽しくなっちゃうんですよ。特に「20」のソロは今までのDEXCOREではやってなかったパターンだったので、自分で弾いててもすごく面白かったです。あ、いやでも「One day」のリズム・パートとかも楽しかったな。やっぱり、挙げだすとキリないです(笑)。

架神:俺もこの曲だけって選ぶのは難しいなぁ。これまではヘヴィな曲がかなり多かったですけど、今回のアルバムはメロディがめちゃくちゃあるんで、それぞれの曲でそこの良さが伝わるようにしたいっていう姿勢ではいましたからね。歌詞の面で伝えたいこともちゃんとあるんですけど、あんまりそこにとらわれてしまうのもまた違うなと俺は思っているので、無心に歌って自分の内側から出てくるものを大切にしたかったし、音楽の醍醐味は計算とかと関係ないところにあるなと今回は改めて感じました。人に何を言われようが自分はこういう声でこう歌いますよ、ってところが全曲に詰まったアルバムになったと思います。

-いずれにしても、今作についてはみなさん全編に対して自信とこだわりを持っていらっしゃるわけですね。では、そんなこのミニ・アルバムに"-18-"と冠した理由についてもぜひ教えてください。

架神:今この世の中は未だにコロナ禍が続いてて、COVID-19っていうもののせいで、俺たちはみんなここまでやりたいことをなかなかできなかったじゃないですか。だから、その前を表す数字としてこのアルバムには"-18-"っていうタイトルを付けました。そこからまだ前に進めない、みたいな。

-しかしながら、DEXCOREはそんななかでもライヴ活動を縛りを設けつつ続行してきましたし、こうして新しい作品を完成させたではないですか。これは前に進んでいることにならないのですか??

架神:そこは自分たちがどうこうというよりは、もっと大きいくくりで見たときの世の中の話なんですよね。世界はまだ前には進めてないよな、っていうなかで作ってきたアルバムだから"-18-"なんですよ。たしかにライヴもやってきてはいるけど、前とはいろんなことが違うじゃないですか。みんな声も出せないし、いろんなことが自由にはできないし、っていうのが現実なわけでね。

梦斗:これだけマスク生活が長く続くと肌荒れがすごくて、メイクをするヴィジュアル系としてはそこもキツいんですよ(笑)。

-マスク肌荒れのつらさは、とてもよくわかります(苦笑)。海外旅行にも行きたいですし、この閉塞感には本当に嫌気がさしますよね。この『-18-』は、そんなままならない今現在を経ての未来に向けた希望を託した作品でもあるのでしょうね。

架神:そうなんですよ。曲順的に「18」から始まって最後は「20」で終わるっていう構成は、まさにそこを意味してて。COVID-19が出現する前の「18」、そしてCOVID-19から一歩でも前に進みたいっていうのが「20」なんです。

-このミニ・アルバムが重々しい雰囲気から始まって、徐々に光を感じさせながら、最後の「20」で突き抜けるような勢いと救いを感じさせる流れになっているのは、そのためだったのですね。なるほど。

伶司:このアルバムは、誰がどう聴いてもいいアルバムになったと思いますよ。

会:メタルが好きとか嫌いとかも関係なく、いろんな方にDEXCORE入門編として聴いていただけるアルバムになっているので、ぜひ聴いてみてほしいです。

梦斗:ヘヴィ・ミュージックが好きな人には、"メロディがキャッチーな曲もいいな"と思ってもらえるアルバムになってますし、普段はJ-POPを聴いているというような人には、"ヘヴィな音楽ってカッコいいな"と思ってもらえるような、両方の掛け橋になりうるアルバムとして『-18-』を捉えていただけると嬉しいですね。

架神:今は何しろひとりでも多くの人に早く聴いてほしいんですよ。あとは、このところどの曲も作る段階からライヴの景色を思い浮かべちゃうようになってきてるから、まだライヴでやったことのない曲たちも今後は積極的に演奏していきたくて。2022年に向けては、そこもすごく楽しみです。