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INTERVIEW

青色壱号

2021.05.09UPDATE

2021年05月号掲載

青色壱号

Member:一ノ瀬(Ba/Composer/Lyrics/Designer)

Interviewer:杉江 由紀

冷めたクールな色、というイメージが一般的には強いかもしれない青色。だがしかし、炎について言えば最も燃焼温度が高いのは青色だ。このたび、元絶対倶楽部のベーシストであった一ノ瀬が、ソロ・プロジェクト 青色壱号として発表するのは1stフル・アルバム『Some Blue』。音楽的にはロックのみならず、EDMやテクノやポップスなど、かなり貪欲に多彩な要素を詰め込んだ印象で、ゲスト・ミュージシャンにはRAMI(RAMI THE REQUIEM/ex-Aldious)や、熟練ベーシスト MASAKIなど多数参加しているところも大きな特徴だ。このコロナ禍をものともせず、今新たな1歩を踏み出した一ノ瀬の内にはきっと青く熱い魂が燃えている。


良くも悪くも"期待を裏切られた"って感じている方は多いみたいです(笑)


-もともとは絶対倶楽部のベーシストであった一ノ瀬さんですが、このたびはソロ・プロジェクト、青色壱号として1stフル・アルバム『Some Blue』のリリースを発表されました。まずは、ここまでのおおまかな経緯を教えてください。

実は、前回2020年の1月に、絶対倶楽部としてDVDを出す前に激ロックで取材をしていただいているんですけど、あのときにはすでにバンドの解散は決まっていたんですよ。

-そうだったのですか!? それは知りませんでした。

そのあと、正式に解散したのは5月だったんですけどね。あれがちょうど最初の緊急事態宣言が出たあたりで、当時は誰も外を歩いていないくらいの状態でしたから、"これだと、今から新しくバンドを組むのは難しいな"と判断せざるを得ない状況だったんです。ただ、それでも何かしらの表現活動をしたい気持ちはあったので、最初は具体的にソロ活動を始めよう! ということでもなく、まずはそのときの自分にできること=曲作りを始めることからスタートしたんですよ。

-なるほど。ちなみに、このソロ活動を具体化させるにあたっては吉祥寺のライヴハウス、CRESCENDOさんとのコラボを実施したことも大きかったそうですね。

やはり、このコロナ禍になって、各ライヴハウスのみなさんはどこも困っているなかだと思うんですけど、吉祥寺のCRESCENDOさんに関しては遠隔チェキというものをやっていらして。それは通販でアーティストのチェキを買うと売上げの半分がライヴハウスに寄付されて、もう半分がアーティストの支援になるという企画だったんですね。もちろん、私としても自分にできることはやらせていただきたいなと考えていましたから、それに参加させていただいて、結果的に思っていた以上の収益をいただくことができたんですよ。せっかくなので、まずはそのお金を資金にして、最初の「電子の海は青より深く」を制作することにしたんです。

-つまり、最初に「電子の海は青より深く」を制作された時点では、アルバムを出すことまでは想定されていなかったわけですね。

ゆくゆくは出したいと思っていましたけど、まだ明確なプランはなかったです。ただ、自分としては、ソロをやっていくなら、"いろんなジャンルの曲を作りたい"という気持ちは強かったんですね。そして、それがこのアルバムへと繋がっていくことになりました。

-これは今作『Some Blue』を聴いての素直な印象なのですが、一ノ瀬さんはバンド時代にも作曲はされていましたけれども、今回これだけ音楽的に幅広い曲を作っていらっしゃることを思うと、以前のHR/HMに特化していたバンド時代には、かなり窮屈な思いをされていたことになるのではないですか? 正直、ここまでたくさんの引き出しをお持ちだとはこれまで存じ上げておりませんでしたよ。

たしかに、今回はポップス調の曲なんかもありますからね。そのあたりは昔から私のことを応援してくれているファンの方々からすると、衝撃的だったみたいで、ちょっとSNS上でもザワついてました(笑)。周りにいる人からも、"こんなにいろんなタイプの曲を作るとは思わなかった"っていうことを、結構言われましたし。良くも悪くも"期待を裏切られた"って感じている方は多いみたいです(笑)。

-完全にこれはいい意味での裏切りだと思いますよ。能ある鷹は爪を隠すといいますが、一ノ瀬さんがバンド時代に見せていた爪はほんの1本か2本だったのでしょうね。

まぁ、絶対倶楽部のときは、音楽面でそこまで精力的には動いていなかったところもあったというか。当時はどちらかというと、外渉の面でみなさんと交流をはかる役回りになることが多かったので、音楽的には以前よりも今のほうが、自分の中にあるものを出しやすくなったののはあると思います。

-そして、このたび一ノ瀬さんはソロ・プロジェクトに青色壱号との名称を付けられ、アルバム・タイトルは"Some Blue"と冠されました。青という色をキーにした理由についても、ぜひ教えていただけますか?

これは絶対倶楽部での私のメンバー・カラーが青だったからなんですよ。まずは、ソロ・プロジェクト名からだけでも私のイメージが浮かぶようなものにしたかったので、青色という言葉を使いつつ、そこに一ノ瀬という自分の名前から壱号というのを足して青色壱号になりました。もはや自分にとっても青という色は思い入れが深いものですし、ファンの方たちにとっても私と言えば青という認識は強いと思うので、今回はアルバム・タイトルも"Some Blue"にしたんです。私自身は気持ちの面でバンドをやっているときと変わっていませんよ、ということをみなさんに伝えたかったというのもありますね。

-ところで、今作『Some Blue』では全曲の作詞作曲を一ノ瀬さんがすべて手掛けられている一方、ヴォーカルについては曲ごとに何人ものヴォーカリストの方々が参加されています。まさにソロ・プロジェクトならではの機動性を生かしたつくりになっているわけですが、この企画を発案されたきっかけはなんだったのでしょう?

今回は前提となるコンセプトが"私がいろいろな曲を書く"ということだったので、いろんなジャンルの曲をいろんなアーティストとコラボで作っていくのはどうかな? と曲を作っている段階から考えていたんですよ。しかも、最初はアルバムというかたちではなく、曲ごとにYouTubeにあげていくかたちにしようかなという計画をしていたので、まずは身近にいる仲のいいヴォーカルさんたちに随時お願いをしていったんです。そして、だいたい5曲くらいができた段階で"これはアルバムにしてもいいかな?"というヴィジョンが見えてきたので、より作品としての幅を拡げていくためにも、これは全曲それぞれ違う方に歌っていただくことにしようと決めました。これは本当にバンドではできなかった、ソロ・プロジェクトならではの利点ですね。

-それにしても、一ノ瀬さんはずいぶんと人脈が広くていらっしゃいますね。

いや、そういうわけでもないんです。最初の5曲以降はめっちゃ開拓していきましたから(笑)。それにほとんどの方は過去に対バンをしたことがあるとか、何かしらのかたちでは知り合いだったんですけど、いくら顔見知りとは言っても、連絡先まで知っているというわけではなかったケースもあったので。このコロナ禍の中でいきなりコンタクトをとって"一緒に何かをやりましょう!"ってお願いするのは、私としてはちょっと気が引けるところもありましたしね。でも、幸いみなさん快く引き受けてくださる方ばかりだったので、本当にありがたかったです。

-ちなみに、今回参加されているヴォーカリスト陣の中で以前から最も交流が深かったのはどなたですか?

最初に作った「電子の海は青より深く」を歌っていただいた魔威呼(My Complex Of Academy/JADE FOREST COMPANY)さんです。バンドがなくなったあと、ふたりで普通に飲んでいたときに、自然と"何かやろうよ"っていう話になって実現しました。飲んだ翌日に曲を作って送ったら、速攻すぎて驚かれましたね(笑)。

-そんな「電子の海は青より深く」については、当初いかなる方向性で作っていくことを考えられていたのでしょうか。

その一緒に飲んでいたときに、魔威呼さんも私も平沢 進(P-MODEL/核P-MODEL)さんというアーティストが好きで、話がすごく盛り上がったんですよ。だから、それっぽい雰囲気の曲を作ってみようというところから曲作りは始めました。あとは、絶対倶楽部って変拍子の曲が多いバンドでもあったので、バンド解散後に初めて作る曲という意味でファン・サービスじゃないですけど、なじみ深い変拍子の要素も入れるように意識して。全体的にはサブカルっぽくて、このコロナの暗い雰囲気を打ち消すような明るい曲に仕上げていくようにしましたね。

-どうしても絶対倶楽部というとメタルの印象は強かったので、その名残を感じさせる変拍子とテクノがここで融合したというのは実に面白いですね。

リスナーとしての私は筋肉少女帯や聖飢魔Ⅱが特に好きだったので、別にメタルが全部好き! っていうタイプではなかったんですよね。だから、ジャンルで縛らないで、曲を作っていいとなると普通にこういうものが出てきてしまうんだと思います。

-なお、今作では、ほとんどの楽曲のアレンジをYUVICA & VICCAさんという方が担当されておりますが、こちらはどのような方なのでしょうか?

これは絶対倶楽部のときにも私の曲のアレンジをしていただいていた方ですね。相性の良さをわかっていたので、今回もお願いしたんです。ただ、曲作りの段階ではわざと自分のベース・ラインは簡単にしておいたのに、アレンジが仕上がってきたらどの曲もベース・ラインが鬼畜な感じになってて焦りましたが、頑張って弾きました(笑)。