INTERVIEW
絶対倶楽部
2020.01.17UPDATE
2020年01月号掲載
Member:夢兎(Gt) 一ノ瀬(Ba)
Interviewer:杉江 由紀
威風堂々とはこのことか。昨年は、2ndフル・アルバム『夢幻大スリラー』をもって独自のダーク・ファンタジーの世界を呈示し、その強い存在感を放った絶対倶楽部がこのたび発表するのは、記念すべき3rdワンマンの模様を余すところなく収録したDVD『開幕のゼックラ』だ。"強気な女の子だけが入部を許された絶対倶楽部"として設立され、"ゼックラ"の愛称で親しまれているこのバンドの、威圧感さえ溢れるようなライヴ・パフォーマンスが、ありのままパッケージされている今作は、ゼックラ入門アイテムとしてもおすすめだと言えるだろう。2020年はさらなる飛躍が期待される彼女たちの、並々ならぬ気迫と気概がここには詰まっている。
客観的に見ても"こいつ楽しそうでいいなぁ"ってなっちゃいましたね(笑)
-昨年2ndフル・アルバム『夢幻大スリラー』の発売後に開催された、3rdワンマン・ライヴの模様が収録されているDVD『開幕のゼックラ』が、このたびリリースされることになりましたが、なんでも当日のチケットはソールド・アウトだったそうですね。当日観たくても観られなかった人がいる可能性を考えると、これはまさに待望の作品とも言えそうです。
一ノ瀬:これまでも絶対倶楽部ではワンマンをやるたびにDVDを自主で出してきているんですよ。だから、実質的に言えば今回で3作目のライヴDVDにはなるんですが、前回までは自主で作っていたぶんデザインや入稿も自分たちでやっていましたし、さすがに映像撮影はスタッフさんにお願いしていたものの(笑)、音もエア録り(※客席で聴こえている音をマイクで拾って録音すること)でそのまま録って出し的な状態ではあったんですね。今回のDVDは以前よりも周りに関わってくださる方たちが増えたことによって、作品としての完成度をもっと高めた状態で出すことができるようになりました。
-ということは、今回はエア録りだけではなく、ライン録り(※PAのミキサーでミックスされた音を録音すること)もされたわけですね。
一ノ瀬:はい。ラインで録った音とエアで録った音をすべて使って、ちゃんとミックスしてます。
-ライヴ映像を作品化するにあたっては、そのミックスのバランスがおそらく非常に重要なところだったのではありませんか?
夢兎:たしかにそこはとても大事でしたね。やっぱりライン録りをするとそれぞれのパートの音の分離は良くなるので、そこはとにかく生かしたかったです。あとは、そこにエアをちょうどいいバランスで交ぜてもらうことで臨場感も出してもらいつつ、最終的にはエンジニアさんにお任せして今回のような形に仕上がった感じですね。
一ノ瀬:仮に映像がない状態でも、音だけで楽しんでもらえるくらいのクオリティになったと思います。
-ところで、ライヴの場にカメラがあるとなった場合、おふたりはカメラのことを意識してしまったりもするのでしょうか?
夢兎:実は、ワンマン以外のときも毎回ライヴを撮ってくれているスタッフがいるので、もはや撮られ慣れているところはありますね(笑)。だから、意識するということはないです。
一ノ瀬:意識しているとしたらカメラの有無よりも、"今日はワンマンだから"ということのほうですね。普段とは違う演出があったりもするので、そういうことに気を回すというのは今回もありました。
-なお、このDVDは3rdワンマン"開幕のゼックラ"を丸ごと映像化したものになりますので、観ていただければその全貌はわかるわけですが、ここではあえて"今作を初見する方たちに向けて"の解説として、そもそも、絶対倶楽部にとっての3rdワンマンとは、どういった位置づけのライヴであったのかということを改めて教えてください。
夢兎:タイミングとしては、2ndフル・アルバム『夢幻大スリラー』をリリースしたあとのライヴでしたし、私たちにとっては3周年を超えて4周年に向けてさらに飛躍したいという気持ちを、部員(※絶対倶楽部のファンの総称)たちに見せていくための場があの3rdワンマンでしたね。大きな節目だったのは間違いないですし、この1年でこのバンドはここまで成長したんだということを、見せつけられたんじゃないかと思います。
一ノ瀬:1stワンマン("突進のゼックラ")のときは、まだ夢兎が加入していなくて、ギターはサポートだったんですよ。そして、2ndワンマン("突入のゼックラ")のときは夢兎が入ってすぐだったもんね。
夢兎:加入して3ヶ月後にはいきなり2ndワンマンでした。しかも、絶対倶楽部のワンマンではその時点の持ち曲を全曲やるんですよ。まず、それを覚えるだけでも大変だったので、3rdワンマンはいろいろとすべてが整った状態でやれたというのがすごく大きかったです。
一ノ瀬:ようやっと、ひとつの作品としてワンマンを作り上げられましたね。
-ちなみに、3rdワンマンは2部構成になっていたのも大きな特徴と言えそうです。
一ノ瀬:前半はシアトリカルに『夢幻大スリラー』の世界を軸に構成していって、後半の2部では部員たちも巻き込んでの盛り上がりを重視したライヴにしていったんですよ。
-1部でヴォーカリストの天鶴さんが仮面をつけ、鞭を振るいながら歌う姿はそれこそ絶対倶楽部の名に相応しいものとして見えます。と同時にその後ろでは各メンバーが威圧感のある音を出しているところも、絶対的な存在感を醸し出している印象です。
夢兎:たしかに、いろいろとゼックラらしさは出てると思います(笑)。
一ノ瀬:演出要素はありつつも、3rdワンマンではバンドとして演奏を重視したライヴをやったので、音の存在感を強く感じていただけるのは嬉しいです。
-完成したこのDVDをご覧になっておふたりが感じたのは、どのようなことだったのでしょうね。
夢兎:髪とかメイクとかの見た目が結構派手なせいもあるのか(笑)、いろいろな方から"華があるよね"ということを言っていただくんですけど、自分では普段あんまりそういう自覚はないんですね。ただ、今回の映像を観ていたら"わりとそうかも......?"って思いました。というか、普段の自分とは別人でしたね。ギターを弾いていると、かなり人格が変わるんだなっていうのがよくわかりました(笑)。
一ノ瀬:"ステージに上がると"じゃなくて、"ギターを弾いていると"なんだよね(笑)。
夢兎:そう。MCのときとかはわりと普通。オン/オフの切り替えが速い。
一ノ瀬:私は今回の映像を観ていて"むちゃくちゃ楽しそうだなぁ"って思いました。もちろんライヴをやっていたときも楽しかったですけど、客観的に見ても"こいつ楽しそうでいいなぁ"ってなっちゃいましたね(笑)。
-それから、場面によっては、おふたりがプレイされている手元がズームアップされているくだりなどもありますよね。ここも今作の見どころのひとつなのではありませんか?
夢兎:YouTubeにも演奏動画は上げてますけど、今回のライヴでは新曲たちもやってるんで、そこもぜひ観てください!
一ノ瀬:もともとゼックラの曲って変拍子とか速いのとかがあって難しいことが多いんですけど、『夢幻大スリラー』の曲はベース・ソロも多いので、頑張ってます。なんならもっとアップで抜いてくれても良かったくらいです(笑)。
-当日に参戦されていた方たちにも改めて楽しんでいただきたいですし、この作品はまだ絶対倶楽部のライヴを観たことがない方たちにもおすすめですね。きっと"これだけ楽しそうなら自分も実際に行ってみたい!"となるのではないでしょうか。
夢兎:絶対倶楽部はクラブ活動なので、部員であるみなさんが一緒に楽しめる空間をいつも作っていくようにしているんですよ。このDVDを観て興味を持った方にも今後はぜひ積極的に参加してもらいたいですね。
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