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INTERVIEW

青色壱号

2021.11.17UPDATE

青色壱号

メンバー:一ノ瀬(Ba/Vo/Composer/Lyrics/Designer)

インタビュアー:杉江 由紀

時は人を変え、人は時によって変わる。かつては絶対倶楽部のベーシストであった一ノ瀬が、ソロ・プロジェクト 青色壱号を立ち上げたのは2020年のことであり、多数のゲスト・ヴォーカルを迎えての1stアルバム『Some Blue』が発表となったのは今年5月のことであったわけだが、なんとここに来て発表される青色壱号の1stシングル『A LONELY DIVER』は一ノ瀬がベース&ヴォーカルとしての立場を明確にしたものに仕上がったのだ。しかも、もともとはメタル・シーンで活躍していた彼女が青色壱号として描くのは主にエレクトロ・ミュージックを軸としたうえでのバンド・サウンド。今、彼女の生み出す音と歌は強い衝動に満ちている。

-今年5月にソロ・プロジェクト 青色壱号としての1stアルバム『Some Blue』が発表となったわけですが、このたびは新たなる音源『A LONELY DIVER』を1stシングルとして世に出すことになったそうですね。

厳密に言うと、実はあのフル・アルバムの前にもシングルは出させていただいてたんですけど(2020年リリースのプロト・シングル『試作品B.B.』)、それはアルバムに入れる予定だった曲を先行で出したものだったんですね。その点、今回の作品は完全な新規書き下ろし曲としてのシングルになるので、この『A LONELY DIVER』については1stシングルと銘打たせていただくことにしました。

-そういうことでしたか。ちなみに、1stアルバム『Some Blue』のリリース後に一ノ瀬さんが次にやりたいな、と考えられたのはどんなことだったのですか。

あの『Some Blue』はたくさんのゲスト・ミュージシャンやゲスト・ヴォーカルの方を集めて作ったものだったんですけど、アルバムをリリースしてツアーが終わってからもここまでライヴ活動を続けてきたなかで、ずっと感じていたのが"ゲストの方が参加している曲だけだと、これからさらにライヴで回っていくのにあたって、ちょっと曲が足りないかな"ということだったんですよ。それで、今回は私がベース&ヴォーカルとしてやっていくうえでの新たな名刺代わりになる音源を作ろうと思って、この『A LONELY DIVER』を作ったんです。

-たしかに、『Some Blue』はRAMI(RAMI THE REQUIEM/ex-Aldious)さんを始めとして、曲ごとに何人ものヴォーカリストが参加されていた多彩な作品でしたし、あの中では一ノ瀬さんも1曲「LAST DANCE」を自ら歌われていましたが、今回ベース&ヴォーカルとして歌うことに対する腹がくくれたのは今後を見据えてのことだったのですね。

もちろん、ゲスト・ヴォーカルの方に来ていただいて歌っていただくとそれぞれの曲で違う雰囲気も生まれますし、とても盛り上がるんですけど、私としてはアーティストとして次の段階に進もうと思ったときに、ファンの方々に"青色壱号のライヴに行けば絶対この音が聴ける"と感じてもらえるような状況を作っていくことが大事なんじゃないかなと思ったんです。青色壱号では詞も私自身が書いていますし、そこに込めた想いや曲に込めたメッセージをよりダイレクトに伝えていくうえでも、今回はここから本格的にベース&ヴォーカルとしてやっていこう! と決心できました。

-では、そんな大切なシングルの表題曲に「A LONELY DIVER」を選ばれた理由についても教えてください。

実を言うと、この曲を作り出した時点ではまだ私がベース&ヴォーカルをやろうという気持ちには至っていなくて、歌はVOCALOIDを使ってもいいのかな? と思っていたんですよね。曲調もテクノポップ系に寄せたものにしよう、ということでできたのがこの曲だったんです。ただ、そのあとシングルの制作を進めていったなかで私がベース&ヴォーカルで1本のライヴをするという機会がありまして、そのときにお客さんから"一ノ瀬さんに自分で歌ってほしい"という意見をいただいたり、関係者からも"自分で書いた詞なんだし、自分で歌ったほうがいいよ"というアドバイスをいただいたりしたこともあり、そこでボーカロイドはいったん置いておいてまたの機会にやってみよう、今回は自分でベース&ヴォーカルとしてやってみよう、と方向転換することになったわけなんです。しかも、さらに言うと「A LONELY DIVER」は特に表題曲にするつもりはなかった曲だったという(笑)。

-えっ? どういうことですか?

もともとは、今回のシングルで結果的にカップリングになった「毒林檎を食べたら」と「いいよ」の2曲を作っていて、そのあと"よし、シングルは「いいよ」を表題曲にして、この2曲にして、次にまた別に新しい曲を作ろう"と思って作り始めたのが「A LONELY DIVER」だったんです。VOCALOIDで作ろうと思っていたのも、これはシングルに入れるとかじゃなくYouTubeとかにアップしようと思っていたものだったからなんですよ。そして、いざできあがってみたら自分でも"これは結構カッコいい曲ができたな"という手応えがありましたし、周りの人たちからも評判が良くて、みなさん"これはシングルに入れたほうがいい"と言ってくださったんですね。というわけで、気がついたら先に作ってあった2曲を差し置いてこっちが表題曲になっていたんですよ(笑)。

-つまり、このシングルは元表題曲候補と実際の表題曲がともに収録されている豪華作品に仕上がったわけですね。なお、この「A LONELY DIVER」はテクノポップ色が強い一方でメロディ自体からは少し昭和歌謡的な香りやノスタルジーも感じるのですが、これは意図したものだったのでしょうか?

その昭和歌謡っぽいっていうことは、いろんな方によく言われるんですよ。別に昭和歌謡が好きでよく聴いていたとか、詳しいとかそういうことではないんですが......80年代のジャパメタはわりと好きだったので、あの中に漂っていた歌謡ロック的なニュアンスとか匂いっていうのは自分の中に刷り込まれているところがあるのかもしれないです。

-「A LONELY DIVER」のオケをレコーディングされていく際は、どのようなスタイルで行われていったのですか?

そこもいろんな方が参加してくださっていた前回のアルバムのときとは真逆で、今回の場合だと生楽器で録ったのはギターと私のベースだけで、プレイヤーもエンジニアも3曲とも同じ方にお願いして少数精鋭でやっていく感じにしていきました。

-この曲にはベース・ソロもありますが、やはりこれはベーシストとして入れておきたいファクターでしたか。

シングルのリード曲=MVを撮るとなると、ベース・ソロはあったほうが良いだろうなということで入れました。こだわったのはあえてスラップは使わず、その代わり速いフレーズを多く入れたところですかね。速めのテクニカルなタッピング・ソロにしました。

-そこは、かつてメタル・バンド 絶対倶楽部で鍛えてきたところですものね。

あはは(笑)。今はメタルはやっていないのであんまりそういうフレーズは弾かなくなってますけど、このくらいは弾けるぞ! っていうところは見せてみました。

-ベーシストとしての部分以外で、レコーディングで大変だと感じたところなどはありましたでしょうか?

とにかく、自分がヴォーカルとして歌うことを前提に曲を作り、メロディをつけ、オケを作って歌うというのはすべて初めてのことだったので、やってみると意外と難しいなと感じましたね。

-ヴォーカル・ディレクションもセルフで行われたのですか?

そこは、あらかじめ"こういうふうにしたいです"というイメージをエンジニアさんにお伝えしたうえで、録っていっていただくかたちにしました。あと、前々からボイトレには通っていたんですけど、そこの先生に曲ができた段階で"これをこういう雰囲気で歌っていきたいんです"と相談して、そのために必要なアプローチを教えてもらったり、練習をしていたりしていたので、ヴォーカル録りのときはその過程がかなり役に立ちました。とはいえ、レコーディングの現場にまで先生が立ち会ってくれたわけではないので、いわゆる現場での"編集しやすい歌い方"みたいなものの勘を身につけていくのは、ちょっと大変でしたね。

-それから、この「A LONELY DIVER」の歌詞についてもうかがわせてください。これはどのようなプロセスを経て生まれたものでしたか?

曲自体がサビから出てきたような感じだったんですけど、すでにそのときからほぼ一緒になんとなくの語感は自分の中に浮かんでいましたね。ただ、それはあくまでも漠然としたもので歌詞としては意味が成り立っていないものだったので、そこから語感としての響きと言葉としての組み合わせを全体のストーリーに合わせてまとめていく、というかたちで作っていきました。

-フレーズとして"手を招く ブルーホール"ですとか"蒼い深淵の底に沈むロンリーダイバー"といったかたちで、青色壱号の名前を彷彿とさせる言葉が幾つか使われているのが実に印象的ですね。

詞を仕上げていったときには、この曲が今回のシングルのリード・トラックになることがわかっていましたしたからね。MVも作ることになるなと思っていたので、ちょうど自分がベース&ヴォーカルになって初めてのシングルでもあるし、ここは詞にソロ・プロジェクト名を思わせるような要素を入れ込んでおこう、ということになりました。

-青色壱号にとっての新たな始まりを飾る曲である一方、この「A LONELY DIVER」はタイトルもそうですし、詞の内容にも寂寥感やメランコリックな表情が漂っているように感じるのですが......これは一ノ瀬さんの心理状態を映したものということになったりして?

これを書いていた時期はプライベートでもちょっといろいろあって、悩んでいた時期ではあったような気がしますね。なんか、幾つもうまくいかないことが重なっちゃって。音楽活動の面でもベース&ヴォーカルを始めようとして、ライヴで何回かやっていったときに"ゲストで参加してくれたヴォーカリストさんたちのようには歌えないな"とか"終始ベースを弾きながら歌うとなると、ライヴでの見せ方が今までのようにはいかないな"みたいなところで、ここからどうしていけばいいんだろう? となってしまった時期があったんですよ。本格的にベース&ヴォーカルでやっていくんだ! って決めたはいいけど、正直に言うと"ほんとにこれ、できるのかなぁ?"っていう不安もそのときはありました。