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INTERVIEW

HAGANE

2020.12.08UPDATE

2020年12月号掲載

HAGANE

Member:Uyu(Vo) Sakura(Gt) Mayto(Gt) Sayaka(Ba) Kanako(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

-そのMVはすでにYouTubeに上がっておりますが、まさに楽曲の持つ奥深い世界観を具現化したような映像でとても素敵です。そして、このMVからは今現在のHAGANEが放っている音だけでなく、存在感も感じ取れるようになっておりますが、土台となる楽曲としての表題曲「Labradorite」を作っていく際、みなさんがレコーディングの場などで特に重視されたのはどのようなことでしたか?

Sakura:「Labradorite」は、HAGANEにとって今までにない新しい雰囲気を持った曲になっているんですね。作った本人としてもアレンジの面でかなり凝ったことができたなという実感がありますし、歌詞の中のストーリー性やメッセージ性も強いものになっているので、レコーディングの場でも、今回はこの曲の持っている魅力を最大限に引き出していくことを意識していました。あらかじめカッチリしたデモを作って、メンバーにも"これをもとに再現していってね"ということを伝えましたね。

-そうした場合、デモに対して各パートからのカスタマイズを加えるケースというのはあったのですか?

Sakura:それは全然アリでした。Sayakaは比較的デモに忠実にやってくれてるんですけど、Kanakoなんかは自分で結構変えたりもしてたしね。ドラムに関してはリズム・ギターとの兼ね合いだけカッチリやってもらえれば、私としては曲にハマるならわりと自由にやってもらってもいいよっていうスタンスでした。

Kanako:ギターのリズムとドラム・フレーズをしっかりユニゾンさせるっていうのは、今回ほんと徹底的にやりました。これは前作のミニ・アルバム『EpisodeØ』のレコーディングを通して勉強したというか、理解したことで、「Labradorite」では改めてそれを実践していった感じですね。

-ミニ・アルバム『EpisodeØ』のレコーディングを経て、今回の制作にフィードバックできたことがあったというのは喜ばしいことですね。

Sayaka:自分にとっては、前回のミニ・アルバム『EpisodeØ』が人生で初めてのCDレコーディングだったので、私もあそこで細かいところまで音を詰めていくことの大変さを知りました。もちろん同じ曲を弾くのでもライヴで弾くのと、スタジオで練習するのと、レコーディングで弾くのではそれぞれ神経の使い方も変わってくるし、今回「Labradorite」のレコーディングで強く意識していたのは、ベースの音をヨーロッパのメタルのバンドみたいに、"よりちゃんと聴こえる"ようにしていくことでした。どうしても、ベースの音って他に埋もれがちになってしまうことが多いと思うんですけど、私はベースのフレーズも聴かせられるような音を目指したかったんですよ。今回はその理想に一歩近づけた気がします。

Kanako:あと、「Labradorite」は1曲の中でダイナミクスが大きく変化していくアレンジになっているので、そこも今回は丁寧に表現していったところがありましたね。

-まさに、「Labradorite」は凝ったアレンジになっているぶん、ダイナミクスの面だけに限らず、途中でテンポ・チェンジしているところもありますし、メロディ展開の部分でも予想外なほどの大胆な動きをするところがある楽曲になっている印象です。ギター隊としても、この音世界を表現していくのは並大抵のことではなかったのではないですか?

Mayto:あらかじめ、Sakuraちゃんから"ピッキング・ハーモニクスはここでこう出す"とか、"ここはミュート"とか、具体的なガイド動画が送られてくるので、音の表現をしていくうえではそれを参考にさせてもらってるんですよ。それだけじゃなくて、レコーディング中も2本のギターの掛け合いのタイミングとかビブラートの幅とか、ふたりで綿密に話し合いながら録っていきましたね。ギターも『EpisodeØ』のときと比べると、かなり凝れたなという手応えがあります。

-では、ヴォーカル・パートについてはいかがでしたでしょうか。

Uyu:私にとっても前の『EpisodeØ』が初めての本格的なレコーディングだったんですけど。今回の「Labradorite」は1曲の中でいろんな場面に切り替わっていく曲だし、曲の中のメッセージ性も強いので、前回よりもできるだけ細かい発音まで大事にしながら歌っていくようにはしましたね。

Sakura:前回は私の家で歌も録っちゃったんですよね。でも、今回は初めてスタジオで歌録りをすることができたので、カップリングの「SiN-罪」も含めてプリプロの段階でもだいぶ固めたし、レコーディング現場でも、ふたりでキャッチボールをしながら細かく変えっていったんですよ。

-Sakuraさんからは、歌詞の内容についての解説などもあったのですか?

Uyu:Sakuraちゃんからは、レコーディング前にLINEで内容を説明してもらいました。

Sakura:"これは、18世紀に洞窟で主人公がラブラドライト(Labradorite)という鉱石を見つけるところから話が始まって、そこからパラレル・ワールドみたいな未来に石によって飛ばされて、最後は第3次世界大戦を止める話だよ"ってね(笑)。YouTubeに上げたMVのコメント欄にあらすじは書いてあるので、よかったらぜひ読んでみてください。

-18世紀から未来の第3次世界大戦とは、ハリウッド映画ばりのスケール感ですね。

Uyu:すごいですよねぇ。私も最初は、"どういう気持ちで歌えばいいんだろう?"ってちょっと戸惑いました(笑)。私なりに主人公の気持ちを想像しながら歌ってはいるんですけど、何しろ曲のキーがとても高いので、実際には歌いこなすのに精一杯だったのも事実ですけどね(苦笑)。

-それにしても、世の中には様々な鉱石、パワーストーン、宝石などと呼ばれるものがある中で、今回Sakuraさんがラブラドライトに着目した理由はなんだったのですか?

Sakura:まずは曲ができたとき、直感的に"この曲には石の名前を付けたいな"と感じたところが始まりだったんですよ。他にもいくつか候補はあったんですけど、メンバーとも話し合いつつ最後はラブラドライトに辿りつきました。蝶の羽のように美しくてきれいっていうイメージがあったよね。

Mayto:そうそう。石の写真を見ながら、"この石にはこんな意味があるんだね!"とかスタジオで話したのを覚えてる。ラブラドライトってすごくきれいな青色で、魔法石みたいなイメージもあったので、"これがいいんじゃない?"ってなったんです。

Sakura:「Labradorite」は、MVも主人公が石を見つけた洞窟と同じような洞窟で撮れましたし、音も映像も本当に思っていた通りのものができたので、嬉しいです。

-前ミニ・アルバム『EpisodeØ』については、"こんなに若い女子たちがなぜここまでオヤジくさいロックを体現しているのだろう!?"といい意味で衝撃だったのですけれど、1stシングル『Labradorite』でのHAGANEは、ヘヴィさは守りつつも一気にスタイリッシュな方向へと垢抜けたように思えます。

Sakura:その通りだと思います。ミックスの方が変わったのもたぶん大きいでしょうね。今回は、わたしの好きな"BLAZBLUE"のゲーム音楽を手掛けられている方をTwitterで検索して、コンタクトを取るところから始めてお仕事をお願いすることができたんですよ。まさに理想の音が作れました。

-来たる12月19日には、aube shibuyaにて久々となる有観客でのライヴが開催されるそうですから、その場でもぜひ『Labradorite』の世界を力強く描き出してくださいませ。

Sayaka:3月に無観客ライヴをやったときは、前日になって急遽無観客で配信ということになってしまったので、ファンのみなさんにもご迷惑をおかけしましたし、メンバー間でもいろいろと意見が出たりしたんですよ。ホテルを予約したうえで来てくれるはずのお客さんたちもいるだろうし、とか。でも、もし感染者が出たり何か起きたりしたらどうするんだとか。メンバー間で結構バチバチしちゃったんですね。

Sakura:大変だったよね。結局あの日は寝られなかったもん(苦笑)。

Uyu:あれはさすがに寝られないよー(苦笑)。

Sayaka:ただ、そんななかだったし無観客ではあったんですけど、いざライヴをやってみたら"やっぱり5人で音楽やるのって楽しいな"と純粋に思えたんですよね。ある意味、あの経験があったからこそ、今は前よりバンドとしての絆も強くなりましたし、あの日からHAGANE は新しく始まった気もしているので、今度のライヴでは前よりもバンドとして強くなったHAGANE の次の1歩を踏み出したいと思います。

-鋼(はがね)は、それこそ打たれて鍛練され強くなっていものですものね。いみじくも、みなさんはこのバンド名通りの存在になって来ているということなのでしょう。

Sakura:そうなんですよね。そもそもこのバンド名を付けた由来が、そうなっていきたいという思いからだったんですよ。

Kanako:いろいろ悔しさも悲しさも味わいましたけど、次のライヴでは3月のリベンジを果たしたいです。今はその気持ちがとても強いですね。

Uyu:それに、考えようによってはいろいろ制限があるとはいえ、あれからたった半年でお客さんを入れてのライヴができるっていうこと自体が、すごいことだもんね。うちはファンのことを"剣士"って呼んでるんですけど、その剣士たちの存在が私たちにとってどれだけ大きいかということも改めて身に染みたので、また剣士たちとワンマンができるのは心から嬉しいです。楽しみましょう!

Mayto:HAGANEにとっては、挫折もしながら少しずつライヴ活動も始めて、コロナと闘いながらここまできているなかでやっと迎えられるワンマンなので。そこに全力をぶつけるのはもちろんなんですが、それ以上に今度のワンマンはHAGANEにとって未来に繋がるものにもしていきたいと思っています。

Sakura:『Labradorite』は、みなさんからの思いと、クラウドファンディングで作り上げることができたものでもありますし、今度のワンマンには、"HAGANE ONEMAN LIVE 第二章『洞窟と幻想石』"というタイトルも付けたんですが。ここでは2020年を締めくくるうえで今のHAGANEが持っているものをすべて出しきりたいです。"もう3月の悔しさなんて忘れた!"ってなるくらい、やりきります!