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INTERVIEW

GRANRODEO

2020.11.04UPDATE

2020年11月号掲載

GRANRODEO

Member:KISHOW(Vo) e-ZUKA(Gt)

Interviewer:吉羽 さおり

-アイディアのタネとしても広げていくことができていますしね。KISHOWさんはこの曲の中で"カオスな世界"と歌ってますが、現状を見て、この言葉っていうのはすぐに出てきた感じですか?

KISHOW:これはみんな思っているんじゃないですかね。毎年毎年"こんな世の中ロクでもないな"とかはあると思うんですよ。昔を回顧するとかね。ノスタルジーや昔は良かったなと思うのは人間の性みたいなものだと思うので、しょうがないなというのはあるんですけど、そう言っていても、始まらないので。毎年毎年こんな世の中じゃダメだって、どんどん暗くなっていくのも体感的にあるけど、このコロナというのは、すべてを一気に変えてしまったというか。その混沌、カオスっていうのはみんな思っているところだと思うんです。さっきe-ZUKAさんも言っていたけど、もとの生活に戻るかって言ったら戻らないので。そんななか、幸いなことに人類や人間というのは環境に適応して生きていけますからね。新しい世界が来て混沌とはしているけど、その混沌ともどうせ順応していかなきゃいけない。それが日常になっていけばいいなというふうにも思いますよね。

-そうですね。時代に乗っかって、いかにそこでサヴァイヴしていくかなんでしょうね。その力を"喚起"させる歌でもあります。

KISHOW:そう。スタッフに、"KISHOWさん、この「忘れがたき退屈よ喚起の歌を」というフレーズって、「歓喜」ではなく、この「喚起」の漢字のほうでいいんですか?"と言われたんですけど、誤植じゃないですよっていうね(笑)。

-奮い立たせるという意味合いですね。これが、このシングル・コレクションを幕開けるパワーを持つなと思います。全曲を背負っている曲になっていて、改めて作品を新鮮にしてくれる感じもありますね。

e-ZUKA:そうですね。最初のシングルの「Go For It!」とかは、そのあとアルバム(2007年リリースの『RIDE ON THE EDGE』)に収録する際に歌を録り直しているので、当然ミックスもやり直してるんですよ。キラキラした部分を抑えて、ギターをもっとデカくしたりしているんです。でも、ここに収録されたのはシングル・コレクション、シングル盤でのものなので、アルバムしか持ってない人に、ぜひ違いを聴いてみてほしいですよね。

-シングル時からアルバムに収録するにあたって、録り直したり、ミックスを変えたりするパターンは多いんですか?

e-ZUKA:1枚目のアルバム『RIDE ON THE EDGE』に入ってるものは、ほとんどミックスを変えちゃってるかな。歌を録り直したのは、1枚目のアルバムだと「Go For It!」だけですけど。そのあとのものだと「HEAVEN」とか、「変幻自在のマジカルスター」なんかもそうなのかな。

-KISHOWさんは、歌を録り直すときっていうのはどういう感覚がありますか?

KISHOW:今のほうがうまいから、というのはありますね(笑)。やっぱりその時々でもちろん納得して世には出しているんですけども、そのときよりも、多少達者になってる自負はありますから、歌い直したくなるんですよ。僕は、歌い直しは大いにありなんです。でも、そのときでしか出せなかった時代の声、自分の歌唱みたいなものもあるんですよ。ファンの人たちは僕の歌い手のエゴなんて知ったこっちゃないから、そっちのほうがいいみたいなこともありますし、そこは悩ましいところですよね(笑)。

e-ZUKA:今回こうしてシングル・コレクションに収録するとなって、久々に最初のシングル時のバージョンを聴きましたよ。「Go For It!」なんて、これが本当に最初に録った、GRANRODEOとしてのKISHOWの声だから。

KISHOW:そうだね(笑)。

e-ZUKA:懐かしかったけどね。

KISHOW:「変幻自在のマジカルスター」とか、「HEAVEN」、あとは「慟哭ノ雨」もそうなんですよ。これもシングルでのバージョンで、つまり録り直してない最初のものなので、僕は恥ずかしくてなかなか聴けないんですけどね。

-それがこうして年代順に並んでいる作品は、GRANRODEOとしても貴重ですね。

KISHOW:15年分ですからね。

e-ZUKA:声も変わっていくし、歌い方も変わっていくしね。

KISHOW:声色は自分の中では変わっているつもりはないんですけど、歌い方というのは多少マイナー・チェンジしていっているんだろうなって。それこそ15年を否応なしに感じるのは、最初の「Go For It!」。今の自分とは全然違うし。でも、意識的に"こう変えよう"とかではないんですよね。今現在、とりあえず到達している現地点がここで。だから、歌手の正理ってよくわからないんです。ずっと同じ曲を歌っていても、変えたくなるんですよ。ただ悩ましいのは、ファンはあの頃のものというか、そのアドリブとかフェイクはいらねぇからってなるんです(笑)。

e-ZUKA:そうそう(笑)。

KISHOW:ライヴでやるときは、ここはあまり変えすぎると嫌がられるかなというのは意識しているんですけどね。でも、歌手としては、ここはフェイクを入れたいとかっていうのはあるんです。歌手によっては、それを変えすぎちゃう人もいると思うんですけどね。

-年代順に並んだ作品ですが、バンドとして転換期というのはここらへんにあったなと思うシングルはありますか?

e-ZUKA:「We wanna R&R SHOW」なんかは、ノンタイアップで武道館公演(2010年5月3日に開催した"GRANRODEO 5TH ANNIVERSARY LIVE AT BUDOKAN ~G5 ROCK★SHOW~")のために作った曲だったので、そういう意味でいうと転換期だなというのはあるんですけど。録り方の面やサウンド面で言うと、「tRANCE」は音が良かったなという。僕は自分でギターの音が、満足できなくて結構録り直していたんです。スタジオで録った音が使われていないことも多くて(笑)。このシングル・コレクションの前半のほうは、あとで自宅で弾き直したものも結構多いですね。今は、バッキングは全部スタジオで録って、ギター・ソロだけ最初から自宅で録るんですけど、前はそうやってスタジオで録った音に満足できなかったことがわりとあったんです。「tRANCE」あたりは慣れてきたのがあるのかな。慣れるの遅いけど(笑)。あとはバランスとか、全体の出来としてすげぇいいのができたなというのが「NOT for SALE」。歌を録り終えて、いいのができたなってスタジオでガッツポーズした気がします。

-GRANRODEOの作品の中でも、無骨なタイプのロックンロールですよね。

e-ZUKA:シンプルなものって逆に難しかったりするじゃないですか。「NOT for SALE」なんて、ギターとベースとドラムと歌しかないから、ああいうシンプルなものでかっこいいものができると、いいのができたなって。作られたものじゃないという感じがした覚えもあるし。あとは転機というと、Disc 2の1曲目にある「Can Do」ですよね。ここでGRANRODEOとしての知名度が上がって。