INTERVIEW
GUNIX
2020.10.14UPDATE
2020年10月号掲載
Member:アミ(Vo) K-BOM(Vo/Prog) Arly(Gt) Matsubai(Ba) とよてつ(Dr)
Interviewer:山口 智男
少年カミカゼのリーダー、和教改めK-BOMが弱冠19歳の新人ヴォーカリスト、アミを迎え、ラウド・シーンで活躍してきたミュージシャンたちと新バンド、GUNIXを結成。"EDM(Electric×Digital×Mixture)"を掲げる彼らが、1stフル・アルバム『WIRED』をリリースする。スタートダッシュをキメるように8月の始動から立て続けに音源を配信リリースしてきたGUNIXの進撃は、まだまだ止まらない。ここからさらに加速していきそうだ。
-8月の活動開始から、わずか2ヶ月半で1stフル・アルバム『WIRED』をリリースする意気込みを、まず聞かせてください。
K-BOM:コロナ禍の中で僕らメンバーはドラマチックな集まり方をしたんです。そこから短い期間で9曲を作ったので、初期衝動という意味ではすごくパワー溢れるアルバムができたとリーダーである僕は思っています。みんなはどうですか?
Matsubai:今こうやって動くことで、変な言い方かもしれないですけど、全部かっさらえるんじゃないかという気持ちでやっています。いろいろなバンドさんがリリースとか、ライヴとか、あまり情報を出せないなかで、僕らは8月から配信リリース、始動ライヴ、「WAVY TOXIC」のMV公開とやってきて。で、フル・アルバムも出してというふうに、タイムラインという意味では数日おきにニュースを発表できる状況なので、このまま年末まで、そして、そのまま来年まで行きたいと思っています。
Arly:音源に関しては、とにかく聴いてくれ。それだけですね。
とよてつ:全曲通して、"ジャンルどないなってんねん"っていうくらい結構ぐちゃぐちゃなんですよ。それが結構GUNIXっぽいと僕らメンバーは思ってます。ただ、ライヴをまだそこまでやっていないので、お客さんの反応は僕らが想像している通りになるかどうかはわからんから、アルバムと一緒に僕らも育っていけたらなと思ってます。
K-BOM:アミちゃんは?
アミ:ずっとワクワクドキドキしてますよ(笑)。これからどうなっていくのか、正直、私は全然予想がつかないから、とにかく突っ走るのみやなと思ってますね。頑張ります!
-ドラマチックな集まり方をしたとおっしゃいましたが、K-BOMさんがArlyさんにバンド結成を持ちかけたことが、そもそもの始まりだったそうですね。
K-BOM:そうなんですよ。Arly君には今年3月に無期限の活動休止が決まった僕の前のバンドで、サポートで入ってもらってたんですけど、またやるんだったら、サポートじゃなくて、正式メンバーとして一緒にやろうかと言ったのが始まりでした。そしたらとよてつのバンドも、Matsubai君のバンドもそうだったんですけど、3月の緊急事態宣言がきっかけで止まるバンドが大阪はむちゃくちゃ多くて。そこで、いろいろな縁が重なって、3つあったバンドがきゅっと集まったんです(笑)。そして、そこにアミちゃんという強力なヴォーカルを紹介してもらって、2ヶ月ぐらいでこの5人のラインナップがババババッと決まりました。
-アミさん以外のみなさんはキャリアのある方々じゃないですか。その中でアミさんは、気後れするようなところはなかったですか?
アミ:それを感じさせないようにしてくれてるんだと思います。ありがたいですね。すごくやりやすいです。ありがとうございます(笑)。
Matsubai:ライヴでアミちゃんを観た人たちは、和君(K-BOM)と僕がめっちゃスパルタでアミちゃんを鍛えてると思ってるみたいだよ(笑)。
K-BOM:へぇ、そうなの?
Matsubai:"ようあんだけ鍛えたね"って言われて、"俺らなんもしてへんよ"って(笑)。
K-BOM:面白い。でも、それだけアミちゃんがすごいってことですよね。
-K-BOMさんは、"うるさくてピコピコしたやつをやりたい"とArlyさんを誘ったそうですが、そのとき考えていたこのバンドのコンセプトを改めて教えてください。
K-BOM:そのときは、ほんとに言った通り、ラウドロックとEDMと合わせたものをしたいなぐらいだったんですけど、メンバーが段々集まってきてから、コンセプトはサイバーパンクを体現しようというふうに1本決めたんです。そこからずっとサイバーパンクのなんたるかを考えながら、ヴィジュアルを作ったり、曲の展開を作ったりっていうのは一貫してやっています。
-サイバーパンクはどんなところから出てきたアイディアだったんですか?
K-BOM:コロナの閉塞した雰囲気が終末的というか、SFチックというか、Netflixっていう動画の配信サイトはみなさんご存じだと思うんですけど、Netflixユーザーはそういう映画が好きなんですよ。デストピアというか、終わりゆく世界観に出てくるヒーローが。そういう世界観は今の世の中にハマると思ったし、僕らの心境にも近いと思ったので、終わりゆく世界の救世主になるバンドということで、バンド名もGUNIXという伝説のグラディエーター(ローマ時代の剣闘士)から付けました。
-今回、インストの「INVADE」とクラブ・ヒットをバンド・バージョンにアレンジした「MAKE SOME NOISE!!Feat.GUNIX」以外の7曲はK-BOMさんの作詞作曲なのですが、このバンドはどんなふうに曲作りを進めていくんですか?
K-BOM:曲作りは、僕がまずワンコーラスだけ作ったものをみんなに渡して、スタジオで詰めていきます。今回の曲は、ラウドロックや打ち込みに造詣が深いまっつん(Matsubai)にいろいろアドバイスを貰いながら、リフとリズムはArly、とよてつにお任せでやってもらっていますね。
-では、それぞれのパートを考えるうえでは、どんなことを意識したのでしょうか?
Arly:ラウドロックということで、激しめのリフが多いんですけど、どの曲でも強めに鳴っているシンセに混ざるリフということを意識しながら考えました。ヴォーカルがふたりいて、シンセがガンガンに鳴っていると、どうしてもバンドは一歩退くことが多くなるんですけど、それでも印象に残るようなフレーズを作るのは、悩みながらもすごく楽しかったです。
Matsubai:僕は土台になることを意識しました。ベーシストとしては速弾きを含め、派手なことはしていませんけど、シーケンスが鳴っているサウンドを支えるという意味では、僕の音が重要になるんです。なので、Arlyのギターとユニゾンするとか、とよてつのドラムのキックに合わせるとか、曲の一体感を考えながら下の帯域を埋められるように作りました。
とよてつ:ドラムのフレーズは、曲の途中で展開が変わって、激しい曲やったんがいきなりダンサブルになったりするので、パートパートではっきりさせるようにしています。例えば、裏打ちだったら裏打ちだけにするとか、重めのフレーズだったら以前メタル・バンドをやっていたときのニュアンスも取り入れるとか、みんなの意見も参考にしつつ、ノリがいい感じで叩くようには意識していますね。
-アミさんがヴォーカリストとして意識していることはどんなことですか?
アミ:GUNIXの曲って、とよてつさんも言っていたようにいろいろなジャンル感になっているので、歌に関しても繊細に歌わなあかんとことか、逆に激しめというか、突き放すように歌うとことか、とにかくテンション感だけでいくとことか、ほんとにいろいろな使い分けをしています。あとツイン・ヴォーカルやから、ハモリも結構あって、主メロを歌っているのに、急にハモリにいってというのをふたりでやっているところもあるので、なかなか難しいですけど、ね、和教さん、やってますよね?
K-BOM:ほんとにGUNIXの曲、めっちゃ難しいんですよ。転調をアホみたいに、小室哲哉さんもびっくりするぐらいするんです(笑)。だから、転調多い、リズムは変わる、ハモリのコンビネーションも多いというので、コピーするのは難しいと思います(笑)。もっと簡単にしないとキッズは喜ばないかもと思って、いろいろ考えてますけどね。でも、ツイン・ヴォーカルのいいところは、低いところから高いところまでキーをめっちゃ幅広く使えるんですよ。だから、メロディの幅がめちゃくちゃ広がるので、そこは他のバンドにはない強みだと思っていますね。
-K-BOMさんの中には男女ツイン・ヴォーカルというこだわりがあるんですか?
K-BOM:こだわりと言うよりは、アドバンテージ(優位性)だと思っています。僕は男女ツイン・ヴォーカルのバンド(少年カミカゼ)でメジャー・デビューして、キャリアを築いてきたので、そのノウハウは誰よりもあるという自信があるんです。だったら、そのノウハウを生かすのが夢に到達するには一番早いんじゃないかって、第一人者だという自負を持ってやっています。