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INTERVIEW

Broken By The Scream

2019.10.08UPDATE

2019年10月号掲載

Broken By The Scream

Member:野月平イオ 熊埜御堂ヤエ 雲林院カグラ 流鏑馬アヤメ

Interviewer:吉羽 さおり

メタルとか激しい曲はあまり......という人も、聴いてほしい


-曲の振り幅もかなりありますが、高速のメタルコア曲も多いじゃないですか。ラウドで勢いのある曲がまたパワーアップしていますよね。

イオ:たしかにそうですね。「KI・RA・I !!」はイントロのアラビア調の感じが個人的にすごく好きで、サビが繰り返されるのもインパクトがある曲だなと思っていて。かと思うといきなりジャズみたいなパートがくるとか(笑)。すごく面白い。こういう展開がヤバい曲もBBTSならではかなと思います。

ヤエ:これ同じ曲なのかなっていうのが、1曲になってますよね。部分部分で聞いたら、どの曲かわからないくらいになるので(笑)。その曲の展開に合わせて、ひとつの曲の中でダンスや振付も変わってきたりするので面白いと思います。

-カグラさんは印象的だった曲はありますか?

カグラ:「知らないキミと真夏の夜空」は、基本的にはしっとりめの曲なんですけど、しっとりとしながらも、ヘヴィなデス・ヴォイスが交ざった曲で、いつもと違った空気感だなと思います。デス・ヴォイスで重いんですけど、そこにクリーン・パートのきれいな声が入って、美しくまとまっている曲で、でもラストにくると、ドコドコドコっていうラウドなビートが入るとか、後半でまた違った音の流れも感じられる曲です。

イオ:この「知らないキミと真夏の夜空」は、BBTSの中では変わり種の曲でもあるので。こういうダウン・テンポの曲も入れたいなっていうのはあって、私がリクエストして収録した曲でもあったんです。

-「GoodnightはKissのあと」も今までにないリズムやグルーヴ感で聴かせる曲ですよね。

イオ:これは変わり種その2ですね。最初のシャッフル・ビートのノリからかわいい感じになっていくっていう。ささやき声での、"Good Night..."でキュンとなったあとに、デスボでの"オヤスミ"で永遠におやすみになるような感じになっているのもいい(笑)。

ヤエ:こういうビートの曲は難しかったですけどね。

-作品やライヴを重ねてきて、レコーディングはスムーズになっていったんですか?

イオ:それが、そんなこともないんですよね。

ヤエ:自分との戦いがすごくありますね。レコーディングはみんなそれぞれ格闘していると思います。

-やはり作品ごとに曲の難しさも増している感じですかね。

ヤエ:どう表現するかということでは、言葉の伝え方や、言い方とかがリズムでも変わってくるので。うまくいかないと私はすぐに"フンっ"てなってしまうので、ブースを出てメンバーの顔を見て落ち着いて、もう1回ブースに戻ってレコーディングをするという感じです。つらいときはメンバーの顔を見て、甘やかしてもらって戻ります。

イオ:いいこと言うね。私は、うわ~ってなってるところをあまり見られたくないから、無表情でごまかしてます(笑)。マッサージをして落ち着いたりして、もう1回頑張ろうとなりますね。リズムが難しくなっているぶん、どうしても肩に力が入っていて苦戦することもあるんですよ。

-デス・ヴォイスのふたりは、曲の中でリズム的な面も担っているというか、曲を転がしていく役割もあるからこそ、リズムやグルーヴ感が大事になりそうですね。

イオ:そうですね。リズムは全部、大変さはありますよね。「知らないキミと真夏の夜空」はゆっくりで、しかもサビが高めで、サビのパートが大変でした。

カグラ:「Over the Sea」とか「宝物」も、デス・ヴォイスのパートがパンチのあるところなので、そこは何回もいろんな出し方をしながら、これがしっくりくるかなとか、これが心にガツンとくるかなとか、考えながらやっていましたね。

-そういったデス・ヴォイスのパート、ディレクション的なところは自分たちで考えながらやっているんですね。

カグラ:イオも私もすべて自分で考えながらやってます。

-アヤメさんは、レコーディングはどうでしたか。

アヤメ:「宝物」はクリーン・パートが多くて。今までは、バラードでもここまでクリーンは多くなかったんです。しかも、この曲では初めてサビをひとりずつ歌っていて。これまでサビのパートはみんなで歌っていたから、ひとりで歌うことや、Aメロとかとの差をつけるという意味でも難しかったですね。

ヤエ:私の声はいい意味でも悪い意味でもまっすぐなので、声を張ったりするのは得意なんですけど、バラードや優しく歌うのは苦手で。「宝物」のようなしっとりとした曲を私がそのまま歌うと、熱い曲になってしまうんです。なので、どうしたらバラードを歌えるのかというのは、私自身いつも課題でもあって。そういう面では、アヤメはしっとりとした曲の方が得意なので、アヤメの声を聞きながら、なるほどここは空気多めで歌うのかとか(笑)。アヤメの声は、私にないものをたくさん持っているんです。

アヤメ:それは、どちらにも当てはまるんですよね。私は、ヤエちゃんのような元気に歌うというのが難しいというか。だから、もっと自分の声をうまく伝えたいなと思うんですよ。その面では、元気な曲ではヤエちゃんに合わせてやっていますね。得意なものが真逆なので。

ヤエ:お互いにないものを盗もうと頑張ってます(笑)。

-幅広い内容の曲が揃って、最後に「宝物」で締めくくる。それもしっかりと歌う曲でアルバムを締めくくりますが、この曲では、どんな意味合いを込めて歌っていますか?

カグラ:このクリーンのパートを聴いていると、心に秘めた大事にしているもの、内側にあるものを大事に歌に込めていくという感じなんですけど、デスボのところで、その宝箱をバーンと開けた感じがあるんですよね(笑)。その感じがいいなと思ってます。

イオ:歌詞に、"喜びも悲しみだって ふたりには宝物なんだよ"というフレーズがあって。ここは、クリーンふたり(ヤエ、アヤメ)で歌ってるからそのバディ感があったり、クリーンとデスボが支え合うイメージもあったり、あとは私たちとお客さんという捉え方もできる曲だなと思うし。そういう思いを込めて歌ってます。

-ライヴを重ねてきて、お客さんと触れ合うような時間が増えることで、曲の捉え方とか、こういうことをより伝えたいというのは何か出てきていますか?

ヤエ:『AN ALIEN'S PORTRAIT』に収録された「message」とかは、感情移入して歌っている感じがありますね。東名阪のワンマン・ツアーで「message」をやっているときに、自分があまりに楽しすぎて、曲の感じと相まって泣けてきました。今いる空間がすごく楽しくて、自然と涙が出てきたんですよね。デス・ヴォイスやってる間に、踊りながら涙を拭ってました(笑)。

-そういう経験があると、曲への思い入れも変わってくるし、もっとこの思いを伝えようというきっかけにもなりますよね。

ヤエ:そうですね。私たちも自分たちの曲が大好きですけど、ファンのみんながこうしてBBTSの曲を好きになって大切にしてくれるから、ライヴでもできるわけで。その空間ってすごく幸せだなと思いました。

-このアルバムでもまた、変化した4人の姿を見てもらえそうだし、ライヴで見せるのが楽しみじゃないですか。

ヤエ:早くライヴで見せたいですし、100パーセントじゃなく、120パーセントでも伝えられるようになりたいですね。

イオ:幅広い曲があって。「Last minute」とかは王道のデス・メタルな感じで始まって、初めて聴いたときから、"イカツイわ~"ってイオ的には血が滾る感じがあるんですけど(笑)。でも。一転してサビがかわいい感じで、一番ギャップがある曲じゃないかなと思うので。これライヴでやったらどうなるんだろう?

ヤエ:初めて聴いたらびっくりしちゃうよね。でも、"かっこいい"と"かわいい"の最強を自分たちなりに精一杯詰め込んだアルバムなので、ライヴも楽しみです。

イオ:声の表現の振り幅もサウンド面でも、BBTSにしかできないものが詰まった感じなので、そこを感じていただきたいですね。

ヤエ:今回はクリーン・オンリーの曲とか、ポップな曲も多くて、あまり激しい曲は好きじゃないよっていう人にも、受け入れられる曲がたくさんあると思うので。メタルとか激しい曲はあまり......という人も、聴いてほしいなと。あとはライヴに行く友達がいなくて、この人を連れていきたいなって思う人がいたら、1回このアルバムを聴かせたらいいかもしれない。"激しい曲って結構かっこいいじゃん"ってなったら、こちらの世界にいらっしゃいませ~っていう感じで(笑)。

LIVE INFORMATION
"Broken By The Scream ONEMAN LIVE「Killswitch Young Lad」"

10月26日(土)Veats shibuya
OPEN 17:30 / START 18:00
[チケット]
前売 ¥3,500 / 当日 ¥4,000(ドリンク代別)
イープラス チケットぴあ ローソンチケット