三瀬 ふう子　杉原 由規奈　朝日向 星羅　木山 しずか
レーベル・オーナー：株本 鉄
インタビュアー：荒金 良介

"スパスピ"の愛称で親しまれているSPARK SPEAKERの2ndアルバム『THE WORLD IS MINE』がすごいことになっている。今作はレーベル・オーナーである株本 鉄と、惜しまれながら活動休止したINCEPTION OF GENOCIDEのJiro（Gt）が2ヶ月かけてじっくり作り込んだ作品に仕上がった。"どエモ・パンク・アイドル"というスパスピの魅力にさらなるぶっとい芯を作るべく、重心の低いヘヴィなサウンドの中で彼女たちのエモーショナルな歌声が輝きを放っている。アイドル、ラウド、メタル、パンク好きなどを射程圏内に収めた今作の吹っ切れた作風について、メンバー4人と株本氏に話を訊いた。

アルバム・タイトルには"自分自身で世界は変えられる"という想いを込めました

－今作はすでに発売済みですけど、すごくいいアルバムができましたね。みなさんも手応えはあるんじゃないですか？

杉原：これまでにないエモさと音の重さも相まって、いいアルバムになったと思います。

木山：今回はチャレンジが多かったですね。

三瀬：曲調は重いけど、バリエーションはあるなと思います。

－完全にバンド・サウンドですもんね。朝日向さんはいかがですか？

朝日向：攻めたアルバムができたなと......かっこいい！

一同：ははははは（笑）。

－今作の制作はどういう過程で進めていったんですか？

杉原："THE WORLD IS MINE"というアルバム名だけが先に決まってたんですよ。

木山：そのアルバム名を冠したワンマン・ツアー（2018年6月から7月にかけて開催した[東名阪ワンマンライブツアー"THE WORLD IS MINE"]）を先にやって、そこで得たものが大きくて。アルバム名は"世界は自分のものだ"という意味で、"自分自身で世界は変えられる"という想いを込めて付けました。曲が重い方に寄ったのも、好き嫌いは分かれるかもしれないけど、それが自分たちだって。賛否両論あってもいいやって思ったんです。

－振り切ってしまおうと。

杉原：そうですね。自信を掴むには時間がかかるけど、人それぞれに色があって、それが強みに繋がると思うんです。このアルバム名があることで、周りに左右されずに我が道を行こうという気持ちを持つことができました。

三瀬：アルバム名はくるりの作品名（2002年リリースの4thアルバム）から取ったみたいで、それを知ったあとにくるりの作品を聴いたんですけど、いろんな挑戦をしていたので、自分たちの作品も新しい一歩になったのかなと思います。

株本：スパスピ（SPARK SPEAKER）はいつもコンセプトが先なんですよね。よく"実力がある"と言われるんですけど、このメンバー4人は自信がないんですよ。心の中には自信があるのに表に出さないタイプだし、ロック・バンドが"俺についてこい！"とか言うじゃないですか。スパスピはそういうことを言わないんですよ。いいライヴをやっているんだから、"ついてこい！"でいいんじゃないかと思って、このタイトルになったんです。

－なるほど。今回できあがった曲を聴いたとき、メンバーのみなさんの印象はいかがでしたか？

木山：重いけど、曲によってはメジャー感が出てきたかなと思いました。

三瀬：サウンドはリッチになりましたね。前作（2018年4月リリースの1stミニ・アルバム『Meaning of Life』）はライトだったけど、今作は『"KYO-MEI"』（2017年リリースの1stアルバム）のころを彷彿させるなと。原点回帰みたいな。

木山：ちょっと回帰するのは早いけどね（笑）。

杉原：私はレコーディングでつまずきました。うまく歌えなくて、曲の世界観に入るのが難しかったです。

木山：逆に今回星羅が得意なところを出せたのかなと思いますね。

杉原：そうだよね。

朝日向：今までアイドルやアニソンが好きだったので、今回の曲を歌ううえでは洋楽のロックを聴いたりして、勉強しました。

木山：NICKELBACKとか聴いてたもんね。

朝日向：そう！ かっこいいなと思う部分はマネしたり、英語の発音も研究したりしました。

木山：星羅の声の良さは前作より出てると思います。

三瀬：由規奈も星羅も今までとは違う声になってるし、「SUNRISE」の由規奈の歌い方は一番好きかも。

杉原：嬉しい！ 新しい引き出しを作った感じはありますね。

－木山さんはどうですか？

木山：曲にもよるんですけど、今回は歌い出しを担当することが多くて。今作で自分の良さをやっと見つけることができたかなと思います。今まで自分の声にコンプレックスがあったけど、逆に自分らしさを生かせる場所がわかった気がして。