INTERVIEW
BUZZ THE BEARS
2018.06.05UPDATE
2018年06月号掲載
Member:越智 健太(Gt/Vo) 池田 大介(Ba/Cho) 桑原 智(Dr/Vo)
Interviewer:荒金 良介
-改めてBUZZ THE BEARSの原点になる音楽というと?
池田:それこそHi-STANDARDを聴いて、メロコアやりたいと思ったときのテンションを思い出したんですよ。
越智:ほかにもGOOD4NOTHINGやlocofrankを聴いたときの衝撃も思い出して、曲作りを始めました。
-それで随所に2ビートが入った楽曲があるんですね。ほかにはどのへんのバンドを思い浮かべました?
池田:NEW FOUND GLORY、SIMPLE PLAN、GOOD CHARLOTTEとか、GREEN DAYあたりです。僕らが高校生のころに流行った音楽は、今聴いてもかっこいいですからね。
桑原:僕はほぼ越智君と一緒かな。あとは、MONGOL800も昔から聴いてましたからね。でも、イメージ的にもっとメロコアっぽい作品になるのかなと思ってたけど、できあがってみると、俺らっぽい仕上がりだなと思いました。若干想定外のところはありますね(笑)。
-ええ、ものすごくBUZZ THE BEARSらしい作品だなと思います。それで、昔聴いてきた音楽を振り返って、何を感じたんですか?
越智:その曲を聴いたときの自分の気持ちみたいなものですね。"うおー、すげぇ!"と思った感覚を思い出して。あのころはドキドキして、一度聴いたあとにまたその曲を頭から聴きたい! って感じでしたからね。なので、自分たちでもそういう曲を作りたくて。改めて聴くと、こうなってたんやなって気づくこともあったし、その一方で、バンドを始めたころの気持ちみたいなものは残さなきゃダメだな、とも思いましたね。
池田:とにかく、自分たちがかっこいいと思うものを作ろうと思って作っていきました。
桑原:今までの経験や知識をミックスさせたうえで、かっこいいものを作ろうという感じでしたね。昔はメインディッシュをふたつつけて、ハンバーグのあとにラーメンみたいな感じでしたけど(笑)。今回は、昔の衝動と今の知識を合わせて、うまく曲作りを進められたと思います。
-今作はバラエティに富んでいるというか、曲調の振り幅がかなりありますもんね。
桑原:ほんとはメロコアでギュッと固めようと考えていたけど、最終的にこうなったんですよ(笑)。
-あっ、そうなんですか。
桑原:ベスト盤のあとなので、衝動を受けたメロコアをドーンとやってみようと。そういうふうにメンバー3人の中で意思疎通できていたはずなんですけどね。
-メロコアを目指したのに、結果的に振り幅のある楽曲が揃ったと。
桑原:そうですね。結局、10代のときに聴いていた音楽が最強やなって思いました。そこからは逃れられないなと。自然にかっこいいと思ってしまうのは、あのころに聴いていた音楽ですからね。だから、僕らなりのメロコアを表現すると、今作のような音楽になるのかなと。
池田:今回のジャケットに関しても今までと違うし、そこも振り切ってしまえ! って感じでしたね。前だったら、"これはちょっと「ぽく」ないんじゃないの?"と思っていたけど、今回は"これもありでしょ"って、すんなりいきました。
桑原:ジャケットに関してはそれほど知識もなかったし、今まではクールなテイストを好んでましたからね。情報量がわりと少ないデザインを選んでいたけど、今は許容範囲が広がったというか、"いいんちゃう?"って。
越智:僕の中ではドヤ感がありますね。こんなに面白い曲がいっぱい詰まっているし、これまでと違う印象を受けると思うけど、どうですか? って。
-今作で越智さんが思う"ドヤ感"をもう少し詳しく言うと?
越智:単純にいい曲が揃っているし、13曲でいろんな色があって、1曲1曲がしっかりしてるっていうところですかね。
桑原:僕は今までの作品の中でも一番いいと思ってます。1曲1曲が4番バッターになり得るくらい個性があるし、強い楽曲が揃ったなと。
-今作は無理なく様々な要素を消化しているし、全体を通して、人間味もグッと増してきたなと思いました。
池田:歌詞もわりと日常的なことを題材にしたものが多いんじゃないの?
越智:うん、僕らはバンドをずっとやってきて、2~3年CDを出せない時期があったんですよ。そのころはライヴでも売るものがなかったし、そこでいろんなバンドのレコ発ツアーに参加したときに、CDを出しているバンドってすごくキラキラしているなと思って。そう考えると、レコーディングできることって幸せやなって思ったんですよね。それからいざ新曲を作ろうということになったときに、自分たちが書いた曲や歌詞が誰かに共感してもらえることって、すごいことやなと。そこで、どういう曲や歌詞を世の中に出そうかなと考えていたら、少し肩の荷が下りたんですよね。自然に自分が思ったことをそのまま書いてもいいのかなと。そういう気持ちになれたのも大きかったですね。人にどう見られているかじゃなく、自分がどう思っているのかを出して、シンプルにやったらええやんって。今作はそう思えた1枚なんですよ。おじいちゃんみたいな発言になりますけど、"あぁ、またやれるんだな、ありがたいな"って。
-それはキャリアを重ねてきたからこそ、ですね(笑)。
越智:はははは(笑)、そうですね。
-経験値もありつつ、バンドを始めたころの"スタジオで音を出すだけで楽しい!"みたいな衝動も、今作にはちゃんと入ってますよね。
越智:あぁ、そうですね。スタジオで3人で音を合わせたときに、"いいやん!"と思うことが多かったですから。今までは行き詰まることもあったけど、今回はスススッと進むことが増えました。
-今作の1曲目「FAR AWAY」の1行目から"失敗が教えてくれたのは 間違っているということ"(※歌詞和訳)で始まるので、エモさ全開だなと(笑)。
越智:まぁ、そうですね。失敗だらけですからね。ミスしたらそれはそれでいいし、失敗は学習したらええやんって。
-「FAR AWAY」の歌詞全体から感じるのは、例えるなら、ボクサーが一度試合で負けてしまうんだけど、そこで心が折れるわけじゃなく、再び頂上を目指すような強さを感じます。
越智:ベスト盤を出したあとに自分たちの立ち位置が見えてきて......俺らはここで満足してるんかな? って。こんなところでは終わられへん、という気持ちのなかで出す作品ですから、また気合を入れ直してやってやろう! と。そのボクサー感は大いにあるかもしれないですね。