BLOOD STAIN CHILDの新旧歴代総メンバーが揃い踏みし、全曲再録による究極のベスト盤『THE LEGEND』を完成させた。新加入したYASUを迎えた現メンバー6人＋旧メンバー5人の11人体制でアップデートされた楽曲群は、進化し続けるブラステ像がくっきりと刻まれている。また、RYUが作曲＆プロデュースを担当し、演奏もBLOOD STAIN CHILDが務め、Q'ulleのメンバーでもあるYUZUKIがフロントマンを務める新プロジェクト YUZUKINGDOMのデビュー・アルバム『GENESIS』も同時発売されるということで、その2作品について話を訊いた。

BLOOD STAIN CHILD：RYU（Gt/Composer） Yakky（Ba） YASU（Dr）
YUZUKINGDOM：YUZUKI（Vo）
インタビュアー：荒金 良介

－今回はBLOOD STAIN CHILDのベスト盤『THE LEGEND』、そして、RYUさんが作曲＆プロデュースを手掛けた新プロジェクト YUZUKINGDOMの1stフル・アルバム『GENESIS』。この2作品が同時発売されるということで、それぞれ話を訊かせていただければと思います。まずはブラステ（BLOOD STAIN CHILD）のベスト盤から進めたいんですが、これはいつごろから考えていたんですか？

RYU：ベスト盤の構想は3～4年前からあったんですよ。

－今年に入り、新ドラマー YASUさんが加入しました。ドラマー交替はバンド的には予想外の出来事ですか？

RYU：そうでもなかったですね。メンバー交替もスムーズでしたから。で、今回は前のメンバーを含めて、ブラステ・ファミリーでベスト盤を作ろうと。

－新旧のメンバーでベスト盤を作るのは珍しいケースですよね？

RYU：そうですね、でも最近HELLOWEENがやって話題になってましたね。

－「Pumpkins United」ですね（笑）。日本を含めて世界中で凄まじく盛り上がっているみたいで。

RYU：まぁ、そこを意識したわけじゃないけど、みんなブラステのことが好きで応援してくれているから、みんなのパワーを集めて、また新しいブラステを作れたらいいなと思ったんですよね。ライヴももしかしたら、出てくれるかもしれないし......。

－完全に"PUMPKINS UNITED"じゃないですか！

RYU：ははははは（笑）、狙ったわけではないんですよ。どうせベスト盤を作るなら、当時のメンバーを迎えて一緒にやりたいなと。今回はベスト盤だけど、ニュー・アルバムとして聴いてほしくて。それは成功したと思います。音的にも満足しているし、最高傑作だと思いますね。

Yakky：完全に全曲再録しているので、もとのフレーズもなぞってないから、まったく新しいものになってると思います。

YASU：僕は今年加入したんですけど、もともと憧れのバンドだったので、自分だったら過去曲をこういうふうに叩きたいというイメージがあって。なので、よりエクストリームにパワーアップできたと思います。ブラステのメタルという根本をハズさないドラムになってるかなと。

RYU：新曲が1曲（「KAMUI-神威-」）あるんですけど、そのドラムはYASUが担当してるんですよ。彼の持ち味とも言える超高速ツーバスというか、テクニカル・ドラミングは聴きどころかなと思います。

－鬼のツーバスが炸裂してますよね！

YASU：ツーバスが好きなんです。メロディック・デス・メタルはひととおり聴いたし、激しい音楽ばかり追い掛けていたので、ブラステにはそういうドラムが一番似合うやろうと。

RYU：これ以上ないドラマーが入ってくれたので、今までにない曲もできそうだなと思ったんです。新曲は今後のブラステにとってキーになると思います。1stアルバム（2002年リリースの『Silence of Northern Hell』）はシンフォニック・メタル、2ndアルバム（2003年リリースの『Mystic Your Heart』）でデジタルな音が入って、4thアルバム（2007年リリースの『mozaiq』）でトランス、EDMを混ぜたサウンドをやったから......ブラステ＋EDMみたいなイメージがついていると思うけど。メタル＋EDMは古いという感じで、ブラステはさらに先へ行きますよと（笑）。美しさもあるし、古代文明的なムードもあるし......。

－そういうニュアンスも出てますね。フューチャリスティックな音色のなかに古代遺跡が垣間見えるような（笑）、時空を超えたサウンド感もあるなと。

RYU：いい表現ですね（笑）。ノスタルジックな感じもあるし、デジタルやオーケストラ・アレンジも入れて、壮大な雰囲気も出せたなと思います。シンセは今までどおりAKIが担当しているけど、彼とも綿密に打ち合わせをしましたからね。練りに練られたサウンドだと思います。

－曲によって、トリプル・ヴォーカル編成でもやってますよね。

RYU：和気あいあいと3人でやるのかと思ったら、みんな戦いみたいになって（笑）。"まだまだイケるんだぞ！"って。そのせめぎ合いが曲の中で生まれているので、それも聴きどころですね。

Yakky：自分は加入して2～3年なんですけど、それまでいろんな曲をライヴで弾いてみて、自分だったらこう弾くだろうという気持ちでやっていたので。それをやっと音源にできた嬉しさはありますね。

RYU： Yakkyのベースは動き回っているので、グルーヴ感がプラスされたと思います。

Yakky：まったく違うフレーズを弾いてるものが多いので、そこも楽しんでもらえたらなと。ヘヴィ・メタルでは使わないだろうというフレーズもふんだんに使ってます。